浜辺のスローライフ~カニさんたちとの異世界生活日誌~

かにすごくうまい

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41話:ブルークラブ

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異世界生活三十一日目(続)



私たちがキノコを抱えて楽しげに帰ってくると、住処の様子は一変していた。



なんと、大きく青いカニたちが我が物顔で闊歩していたのだ。



【ブルークラブ】

・ワタリガニ科。青く美しいハサミが特徴で、甲幅15cm以上になる大型のワタリガニ。

・アメリカ大西洋岸の河口や内湾に生息し、ヒレ状の脚で巧みに泳ぎ回る。

・食用可。アメリカ東海岸の代表的な食材で、特に脱皮直後の「ソフトシェルクラブ」は絶品。



カニペディアが発動する。ブルークラブ……ワタルくんたちと近い種類みたい。

「絶品」とか書いてあっても食べないからね!



それにしても、どうして彼らがここに?



「ダメです! メグミさん、彼らから敵意を感じます! 危険です!」

ワタルくんが私を羽交い締めにして止めた。



「わしらの留守をいいことに、住処を乗っ取るとはふざけたやつらじゃな」

ガザ爺が渋く言い放つ。



「ケイちゃんやオカちゃんたちは大丈夫かな? 私、やっぱり行って――」



「ご安心を! 拙者のカニセンスで、モクさんたちは海へ、我らは森へと安全に撤退済みですぞ!」



「ケイちゃん、それなら住処には誰もいないのね?」



「はい! もぬけの殻を制圧して、あの者たちは得意げになっておるのです!」



「いやー、乗っ取られるのはマズいっすよ~。ちょっと俺、殴ってきてもいいっすか?」



「ダメだよヤッシー! いきなりケンカしちゃだめ。相手にも何か理由があるかもしれないし……」



「ならば、わしが話を聞いてくるとしよう。メグミはここでおとなしくしとるんじゃぞ」



そう言って、ガザ爺は森の影から姿を現した。



「おぬしら、わしらの住処に何の用じゃ?」



「む、ようやくここの住人が戻ってきたか。我々が包囲したときには、すでにもぬけの殻でな。これほど立派な住処を捨てる者がいるとは思えなかったので、待っていたのだ」



「この海岸一帯が、我ら青い一族の支配地であることは知っているな?」



「いや? わしが海に出ていたころは、お前たちなんぞ影も形もなかったぞ」



「……どうやら、海の勢力図を知らぬらしいな。現在、海岸は我々青い一族と、反対側の“力の一族”で二分されておる。ここはその中間点。つまり、我々の領地だ。

それを無断で住処を築かれては、我らの面目が立たぬ」



「ふん、最近できた勢力図でなにを偉そうに……」



「ならば、力に訴えるまで。我ら青い一族の誇りにかけて――」



「ストーップ! ストップストップ! ダメだよ戦っちゃ!」



「メグミ!? なぜここに!」



「すみません! ガザ爺、メグミさんの力がなんかすごくて……抑えきれませんでした!」



「まったく、なにをやっとるか!」



「……なんと……美しい……」



「ん? こいつ、メグミを見て固まっとるぞ?」



「青き方よ、あなたがこの住処の主なのか?」



「え? あ、はい……」



「そうですか……我々青い一族と同じ美しさを持つ方よ。あなたがここを治めるのであれば、そちらの最強の戦士と私が一騎打ちを願いたい!」



「結局、戦うんですか?」



「戦いを避ければ、我々は“力の一族”に弱みを見せることになります。そうなれば、この海岸の平和も揺らぐのです」



「わかりました。ガザ爺、相手をバラバラにせずに勝てる?」



「ふむ、目の前の小僧が相手なら造作もないわい」



「……私も、見くびられたものだ。では、勝負!」



ブルークラブの戦士は素早い動きでガザ爺を翻弄したが――

ガザ爺は一瞬の隙を見逃さず、ノコギリハサミで甲羅をガシッと挟み、勝負は決した。



「見事……私の完敗です。我々はここを明け渡しましょう」



「ブルークラブさん、よければ一緒に暮らしませんか? みんなでひとつの共同体になれば、海岸の平和も保てると思います」



「敗者の私が口出しすることではありませんが……その提案、受け入れましょう。仲間たちが従うかは分かりませんが」



「リーダーが手も足も出なかった相手のもとなら、我々も従う理由があります」



「じゃあ、みんなで一緒に暮らそう! 君、騎士っぽいし“ナイトくん”でいいかな!」



「ナイトくん……! なんと素晴らしい名だ。これからは青い一族一同、あなたにお仕えします!」



「うん、そこまで堅苦しくしなくていいからね?」



「いえ、我々は攻め込んだ身。けじめは大切にしなければ」



「……うーん。そういうとこも、ほんとに騎士っぽいんだね」



こうして少しの行き違いはあったものの――

ブルークラブさんたちは新たに、私たちの仲間となったのでした。
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