浜辺のスローライフ~カニさんたちとの異世界生活日誌~

かにすごくうまい

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50話:力の一族の住処

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異世界生活四十七日目



テッポウエビさんの襲撃以来、大きな事件もなく、わたしたちはついに――

ダンジネスクラブさんたちの住処の近くまでたどり着いていた。



「メグミ、もうすぐ我らの住処に着くぞ!」



「は~、長旅だったねぇ。大きなトラブルがなかったのは助かったけど」



「メグミさんを狙ってくる生き物は、ちょこちょこいましたけどね」



「えっ!? そうだったの!?」



「我々の隊列を見て、諦めたようですが」



「この行列、見た目だけじゃなくてちゃんと役に立ってたんだねぇ」



「ええ。これからもメグミ様のお出かけには、鉄壁の布陣が必要ですから」



「……はい」



いまだに恥ずかしいけれど、これで私の安全が守られて、みんなが安心できるなら仕方ない。



「見えてきたぞ。我らの住処だ」



大きな河口付近。ブルークラブさんたちの住処にも似た雰囲気の場所で、数匹のダンジネスクラブさんが組み合って押し合っている。



「センシくん、あれ何してるの?」



「力比べだ。力の一族は、そうやって強さを測るんだ」



「おーい! みんな、帰ったぞ!」



「ん? リーダー、なんで青の一族とかよく分からんのと一緒にいるんです?」



「伝令を送っただろう。我々は、より強い群れの傘下に入ったと」



「え、あれマジだったんすか? 戦いから逃げたやつのホラ話かと……」



「ふむ。うまく伝わってなかったか。まあいい、見ての通り、これが我らの新たな群れだ」



「リーダー……いや、元リーダー。あんたには失望しましたよ。力の一族を率いて行った結果がこれとはね」



「ほう……力の差は変わっていないのに、ただ群れが変わったという理由だけで、勝てる気になっているんだな。――いいだろう、力比べをしてやる」



「ほかの群れの下についたやつなんかに負けませんよ!」



二匹のダンジネスクラブががっしりと組み合い、砂を蹴り上げる。



ズズズ……ズザーッ!



センシくんが一気に押し込み、相手をひっくり返した。



「勝負あり、だな。粋がるだけではこの世界、生きていけんぞ」



「くそっ……! 強さは変わってないのに、なんでほかの群れの下についたんだよ!」



「答えは単純。我らより強い群れだったからだ」



「……えーっと、わたしも力比べ、してみる?」



「メグミ様!? 何を――!」



「いやさ、ダンジネスクラブさんたちに納得してもらうには、力を見せておいた方がいいかなって」



「メグミ、我らを甘く見すぎだ。危険だぞ」



「押し合いくらいなら大丈夫だよ。力比べでしょ?」



「……実際、私より力ありますしね、メグミさん」



「ヤッシーもガザ爺もいないし、センシくんを除けば今のメンバーで一番力があるのはたぶんわたしだと思うんだよね!」



「メグミさん、ただ運動不足なだけなのでは……」



「だって移動中ずっとセンシくんの甲羅の上にいたし!」



「……まあ、メグミがやるっていうなら、やらせてみるか」



「やった~!」



「変な生き物め! 負けるわけにはいかん!」



若いダンジネスクラブさんは、やる気満々だ。



「よーし、いくよ~!」



ズザズザザ……ズザーーーーッ!!



砂浜にちょっと足を取られたけど、一気に押し切った!



「う、嘘だ……なんだこの生き物……ありえない力をしてる……!」



「ふぅ……これでわかっただろう。我らがなぜこの群れの下についたのか。メグミはこの群れの“長”だが、最強ではない。もっと強い者もいるし、数も圧倒的なんだ。――見ていたみんなも、納得してくれたか?」



「……いや、反発してたのは若い連中だけさ。俺たちは最初から異論なんかなかったぜ、リーダー」



「そうか……ああ、それから。これからは俺のことを“センシくん”と呼んでくれ。それがこの群れでの俺の名だ」



「センシくん……なんか、いい響きだな。――ところで、わざわざ伝令だけじゃなくて、直接ここに来たのには何か理由が?」



「ああ、実はメグミが“稲”とか“米”っていうのを探していてな。この辺りに生えていたはずなんだ」



ミコちゃんが、ダンジネスクラブたちにそのイメージを素早く共有する。



「ああ、それか。湿地帯に生えてるよ。結構距離があるから、今日はここで休んでいくといい」



 



――こうして、わたしたちはダンジネスクラブさんたちの住処で、一休みすることにした。
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