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第一部
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「…」
『…』
食事を終え、私達はお互いにどうしたら良いか分からずに無言で座っていた。
長い沈黙を破ったのはカイン様だった。
「あまり長居しても悪いな。あ~
洗い物を手伝おう」
コップを持ち、流しへと向かうカイン様。
片付けてもらうのは申し訳なくて、呼び止めようとした。
『いえ、コップだけですし、大丈夫です』
慌てて私も流しへと向かった。
『後ほど洗いますので…』
コップを流しへと一旦置いた。
私は、先にカイン様の見送りをするつもりだったので、玄関へと向かっていた。
すると、後ろからカイン様の声が聞こえた。
「今、洗いたい気分だ。」
『え?』
振り向くと、カイン様がコップを洗っていた。
『…』
せっかちな方なのね。
仕方ない。
私は、カイン様が洗い終わったコップを拭くことにした。
「あ~リィーンは、
ゆっくり…拭くといい」
カイン様は、きれい好きな方なのかもしれない。
神経質な方なのね。私は、いつもより丁寧に時間をかけて拭いていた。
その間カイン様は、家の中を見渡していた。
「思ったより、何もないのだな。」
一通り見渡した後、私をじっと見つめてきた。
『何か…?』
私の方へ近づいてくると、上から下まで全身を眺めていた。
恥ずかしくなって、目を逸らし俯いていた。
遠ざかる気配がしたので、さほっとして顔を上げると、カイン様は今度は食器棚を見ていた。
「一応皿などはあるのだな
鍋などは…」
ぶつぶつと何かつぶやいているようだった。
もしかして、何か怪しまれたのだろうか。
『あ、あのカイン様、
その、あまり掃除も行き届いてないですし、それに、
私、何も隠したりしていません!』
「あ、いやすまない。不快にさせただろうか。
ん?隠すとは?」
カイン様は謝ると、見回すことを止めていた。
『カイン様は、私が怪しいと思われたからここに来られたのではないですか?
騎士団にお勤めだとおっしゃってましたし』
「は? 何を。リィーン、いやそういう訳では。
不躾な行動をとってすまなかった
今日のところは、帰るとしよう」
カイン様はそれ以上何かを話す事もなく、あっさりと玄関へと向かった。
私はカイン様の後に続いた。
すると、カイン様が立ち止まり、
「見送りはいらない、ここでいい」
と一言だけ言うと、そのまま帰って行った。
『あ、あの、ご馳走さまでした。ありがとうございました。
お気をつけて…』
私は、カイン様の後ろ姿に、何とかお礼を伝えると、家の中からカイン様を見送った。
『はぁ』
変な汗がでた。
どっと緊張感から解放された気がする。
何もしてないのに、家宅捜索されてる気分になってしまった。
不審人物と疑われた訳ではないのなら、
助けを、求めてもいいのだろうか。
『…』
食事を終え、私達はお互いにどうしたら良いか分からずに無言で座っていた。
長い沈黙を破ったのはカイン様だった。
「あまり長居しても悪いな。あ~
洗い物を手伝おう」
コップを持ち、流しへと向かうカイン様。
片付けてもらうのは申し訳なくて、呼び止めようとした。
『いえ、コップだけですし、大丈夫です』
慌てて私も流しへと向かった。
『後ほど洗いますので…』
コップを流しへと一旦置いた。
私は、先にカイン様の見送りをするつもりだったので、玄関へと向かっていた。
すると、後ろからカイン様の声が聞こえた。
「今、洗いたい気分だ。」
『え?』
振り向くと、カイン様がコップを洗っていた。
『…』
せっかちな方なのね。
仕方ない。
私は、カイン様が洗い終わったコップを拭くことにした。
「あ~リィーンは、
ゆっくり…拭くといい」
カイン様は、きれい好きな方なのかもしれない。
神経質な方なのね。私は、いつもより丁寧に時間をかけて拭いていた。
その間カイン様は、家の中を見渡していた。
「思ったより、何もないのだな。」
一通り見渡した後、私をじっと見つめてきた。
『何か…?』
私の方へ近づいてくると、上から下まで全身を眺めていた。
恥ずかしくなって、目を逸らし俯いていた。
遠ざかる気配がしたので、さほっとして顔を上げると、カイン様は今度は食器棚を見ていた。
「一応皿などはあるのだな
鍋などは…」
ぶつぶつと何かつぶやいているようだった。
もしかして、何か怪しまれたのだろうか。
『あ、あのカイン様、
その、あまり掃除も行き届いてないですし、それに、
私、何も隠したりしていません!』
「あ、いやすまない。不快にさせただろうか。
ん?隠すとは?」
カイン様は謝ると、見回すことを止めていた。
『カイン様は、私が怪しいと思われたからここに来られたのではないですか?
騎士団にお勤めだとおっしゃってましたし』
「は? 何を。リィーン、いやそういう訳では。
不躾な行動をとってすまなかった
今日のところは、帰るとしよう」
カイン様はそれ以上何かを話す事もなく、あっさりと玄関へと向かった。
私はカイン様の後に続いた。
すると、カイン様が立ち止まり、
「見送りはいらない、ここでいい」
と一言だけ言うと、そのまま帰って行った。
『あ、あの、ご馳走さまでした。ありがとうございました。
お気をつけて…』
私は、カイン様の後ろ姿に、何とかお礼を伝えると、家の中からカイン様を見送った。
『はぁ』
変な汗がでた。
どっと緊張感から解放された気がする。
何もしてないのに、家宅捜索されてる気分になってしまった。
不審人物と疑われた訳ではないのなら、
助けを、求めてもいいのだろうか。
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