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ニコライ視点✖️ビル

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「それで?お話しとは?」


私は部屋に残したマリーベル様が心配でならなかった。今まで安全だと思われていた神殿。 このような神聖な場所に侵入者など…
とにかくビル殿との話を切り上げて一刻も早く戻ろう。


「ニコライ殿、何事にも動じないあなたにしては随分と焦っておられるようですが。入口までゆっくり歩きしょう」


ビル殿は何を考えておられるのか。

「それにしても、アーサー様のお側から離れてわざわざビル殿がこちらへ来られるなど珍しいですね。何か今回の件について重大な秘密でもあるのでしょうか。」

「秘密だなんて。アーサー様は常に国民の安全を願っておりますので。神殿に関しても例外ではありません」

「そうですか。」

まぁ、何かあるな。アーサー様か。


「それはそうと、ニコライ殿は随分とマリーベル様を気にかけておられるようですね。」

「どういう意味でしょうか。私はマリーベル様に神殿で快適に過ごしていただけるよう当然のことをしているまでですが。」

ビル殿は表情を一切変えずにずに淡々と続ける。

「だとよいのですが。知人としてご忠告させていただきます。」

そう言うとビル殿は立ち止まり私を真っ直ぐに見つめた。

「これ以上マリーベル様に関わらないように。特別な感情を持つ前に離れなさい。
あぁ。もうここで結構です。ではまたお会いしましょう。ニコライ殿」


「なん…それはどういう?」

私の返答を待たずに振り向きもせずビル殿は去って行った。

特別な感情…?私がマリーベル様に…?

まさか、そんなつもりは。まだ知り合って間もないのに。

ビル殿は何を勘違いされてるのか。

はぁ。とりあえず戻ろう。


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