【ダン信王】#Aランク第1位の探索者が、ダンジョン配信を始める話

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第六話 #できれば時間はお金以外で

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 ダンジョンでの初配信を終えて、ミノタウロスの戦利品を回収し、配信機材を片してからダンジョンの出口へと向かって行った。
 出口と言っても五十七階層に登っていくのだが。

 ダンジョンは階層を超えたりするにはその場所まで出向く必要がある。
 だが80階層に辿り着くと転移装置テレポートという画期的な物が手に入る。

 転移装置テレポートは、これまで登録してきた転移所にどこでも転移ができるようになる。
 ダンジョンのどこからに点在する転移遺跡に登録すると、その場所から他の転移遺跡にテレポートができるという仕組みだ。

 初めは探索者の中では遺跡の存在意義が分からなかった。
 しかしアンタレスがテレポートを手に入れ、謎の遺跡が大きな転移装置だと見抜いた時はそれはもう大盛り上がり。
 
 ダンジョン研究会のダンジョンについての考察が大いに捗ったとかなんとか。
 まあ俺には関係ない話だな。

 転移をする際に、転移遺跡から転移遺跡にしか転移はできないが、それでも移動時間を大幅に削減できる。
 だから探索者には必須級アイテムだが、80階層まで行かないと貰えないのでいかんせん持ってる人が少ない。

 ちなみに持っているのは俺含めて14人だけだ。
 しかも全員Aランク探索者。
 まあ仕方ないよね。
 50階層から一気に難易度が跳ね上がるからなあ……。
 
 転移遺跡は現在1、5、18、43、56、77、80、105
階層で見つかっている。

 つまり俺は今五十五階層にいるから五十六階層の転移遺跡に行き、転移をして帰ろうというわけだ。
 

「! マジノコ、前方にでっけえ狼いる! こいつなんだっけ!」
「ガルウルフだクロ! 魔法ダメージが効かないから戦闘は頼んだ!」
「はいよぉ!」
 
 
 猛ダッシュで爆速しているとこれまたデカい3メートルほどの狼と遭遇した。
 マジノコによると物理ダメージしか効かないらしい。 
 だがそれは、


「俺の得意分野だなぁ!」
「GRAAAAAAAAAAA」


 こちらに気づいたガル何某は此方を睨み戦闘態勢をとる。
 腕をダラン、と垂らしているが一体なんの意味があるのだろうか。
 ってかそれは戦闘態勢なんかな?
 意味はなんだろうか、早く走れるとか? 
 まあ初めてまたモンスターだし分かんねえな。


「まあどうでもいいか!」


 時間が無い早く姉さんに会いたいので、足元に力を込めて地面を踏みしめる。
 一瞬の内に狼へと肉薄し、死角になる足元に潜る。
 俺を見失ったガルウルフはキョロキョロと見失った獲物を探すように首を振っていた。
 そのうちに。

「顎がガラ空きだぜ、狼さん」
「GOA!?」
「うらぁ!」

 顎毛が無駄に伸びたその顎に俺の振り上げた拳が思い切り当たると、ゴッ、と骨が砕けるような音が鳴った。
 アッパーカット成功だ。

 思い切りアッパーカットを決められた狼は、上にふっとばされて、そのまま頭を洞窟の天井に激突。
 勢い余りすぎたのが狼はそのまま天井にめり込み洞窟内を揺らして消滅。

 足元を見ると何にもなかったので、今回のドロップアイテムは無しだ。


「よし、倒したからはよいくぞマジノコ!」
「了解!」
 

 俺は早くフードコートのお姉さんにあって褒めてもらうんだ!

 そうこうしているうちに五十六階層の転移遺跡へとやってきた。
 くる道中初めのガルウルフ以外のモンスターと出会わなかったのは疑問に思ったが仕方がない。

 ってか五十六階層って今までモンスターと出会ったことなかったんだよね。
 でもマジノコはあのモンスターが何か分かっていたがなぜだろう。
 俺が知らないだけか!
 まあいいや。

 そんなことを考えながら遺跡に踏み入る。
 中は薄暗く、中央にある装置が放つ仄かな青白い光だけが部屋を照らしていた。


「いつ見てもきれーだよなここ」
「わかる。幻想的だよね」


 いつもの感想を呟き、中央の装置へと近づく。
 遺跡の装置にある長方形の、ちょうどスマホの形のような窪みに80階層でもらったスマホのような転移装置テレポートをはめ込むと、


《転移者情報を確認します。確認しました。転移したい階層を選択してください。》


 こんな具合にアナウンスがはいる。

 そしたらあとは簡単。
 はめ込んだ転移装置テレポートの画面が点き、ダンジョンのマップが表示される。
 そこで好きな階層の転移遺跡を選択するだけで、その階層に飛べるのだ。

 ちなみにこのテレポートスマホ。 
 80階層に入場した時点でポッケに違和感を感じたから確認したらスマホみたいなのが入ってたんだよな。
 軽くホラーだろあれ。
 どうやって入れたんだろって思ってた。

 ちなみに転移装置テレポート所持者しか転移遺跡は使えない。
 持っていない人が持っている人と共に装置を発動させても持っていない人だけが遺跡に残される。
 だから使いたかったら80階層までいけやってことだな。

 まあその辺は問題ねえけど。
 マジノコだって待ってるしな。


「じゃあ僕先に一階層行ってるね」
「おう」
「お先ー」

 
 その言葉と共にマジノコは光の粒になって消えていった。
 見るからにアニメの感動シーンだ。
 前組んでいたサポーターの奴とかつて敵だった奴が主人公の味方となり、主人公を攻撃から庇って死んだ時ごっこを転移の度にやったな。
 あいつ元気してるかな。


「マジノコ行ったし俺も行くか」


 ああ、早くお姉さんに会いてえな。

 そんなことを考えながら俺は一階層に転移した。
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