令嬢様のおなーりー!

悠木矢彩

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公爵令嬢様は発明好き

あなたはきっと眠くなーる君

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サラサラとペンを滑らせていく。

“紙”とよばれるもの。

実はアリシアは元々あった紙をさらに書きやすく改良をした。
レイランド領の特産品になったものだ。

「うん、異常は見られないわね。現在、7時間経過か…これくらいなら大丈夫かしら…?」

すぅすぅと穏やかな寝息を立てているレイモンド。
特変ないなら、ここらで一発…



スパアアアアアアン!!



「痛ってええええええ!!お嬢!!痛いです!!!!!」


ガバリと体をおこすレイモンド。


「おーほっほっほ!これは東方の国に伝わる“ハリセン”とよばれるものよ!試したかったのよ。ありがとうレイモンド!結構痛いのね!!」

「力加減を考えてください!!あんた思いっきりしたでしょうが!!」

「んまぁあ!主人に向かって“あんた”はないでしょう?最近言葉遣いがなっていなくてよっ!」

「主人は公爵様ですよ!お給金も払ってくださっています!あんたは違うでしょう!!」

しゅんとするアリシア。

言い過ぎたかとレイモンドは気まずい表情になる。

「…悪かったわレイモンド。主人じゃない私が偉そうに言って…」

「いや…お嬢…その俺も言い過ぎました…」


お互いしょんぼりしている。

アリシアの良いところは、素直さだ。
しかし、貴族としては致命的かもしれない。
権謀術数渦巻く貴族社会ではこの素直さは仇になる。
公爵夫妻は危惧している。

“いつかアリシアは潰されるのではないだろうか?”

公爵令嬢という地位は狙われやすい。
地位も彼女の美貌も利用手段として大きい。

次期公爵は兄のアルフレドが継ぐので、彼女はどこかに嫁ぐことになる。
未だに婚約者が決まらないのは彼女にまつわる噂のせいである。

変態令嬢
錬金術狂い狂科学者

しかし、彼女の素直さに引き寄せられる人間もいる。
だからソナタ嬢のように彼女アリシアを友人として慕ってくれる人もいる。

「すみません、お嬢…痛かったからついつい言ってしまいました」

改めてアリシアに謝る。
本当ならクビ勧告されてもおかしくない。
しかしこれが彼と彼女の関係性。

「私も悪かったわ、あなたを見るとついつい色々試したくなるの」

「見るな」

「何よ!」

「実験するな」

「それは無理」


はぁとレイモンドはため息をつく。


「ほどほどにしてください!」


ぱぁあ!っとアリシアは花が開いたように笑う。

「うん!」




ところで…あなたはきっと眠くなーる君はどうした!?
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