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【11】紅(紅茶、紅花、口紅、紅鮭)
・―・―・―・―・
あのチューリップハットの老婆に一撃されたのがよほどの痛手だったのか、あれ以来、公園でクイズ男を見ることはなかった。
それでも一縷の望みにかけて、僕は毎日のように公園に行っていた。
それは、5月に入って間もなくだった。例のベンチに人集りができていた。まさかと思いながらも、期待を胸に小走りになると、急いで人垣を掻き分けた。
そこに居たのは、紛れもなくクイズ男だった。僕は思わず笑みが溢れ、無意識のうちに握手を求めていた。
「よぉ、お馴染みさん。またよろしく頼んますよ」
クイズ男は笑顔を向けると、そう言って、気安く握手に応じた。
「えー、3ヶ月のご無沙汰、玉置セマシです」
ハハハ……。周りが笑った。
僕も嬉しかった。クイズ男は余計なモノが吹っ切れたかのように快活で、こっちまで気持ちがよかった。
サンドウィッチマンの格好は相変わらずだったが、着ている物がダウンジャケットからTシャツに変わっていた。
「信州信濃の新蕎麦よりも、私ゃあんたの側がいいってね。またまたやって来ましたクイズ男。難問奇問、何問でもキモーン(come on )でぃっ!」
「よっ、待ってましたっ!」
常連の一人が声をかけた。
パチパチ……。周りからも拍手が起きた。
「嬉しいね。ありがとさん」
「じゃ、俺からいくか。快気祝いだ。Bコースを」
馴染みの見物人が名乗りを上げた。
「悪いね、どうも。快気祝いってこた、こっちが頂かなくっちゃな。じゃ、これでもいってみっか」
クイズ男は、例のメモ用紙をパラパラと捲ると、適当なのを中年男に見せた。
【12】次のスケルトンから、ナナメに四字熟語を探せ。
雨音 一時雨 情熱
台 風物 風流 帯
風媒花 姿 星月夜
酌 花見客 下
偉人伝 車海老
大 書留郵便 人情
「ゲッ!マジかよ。俺から金を巻き上げる気だな?四字熟語なんて、キキイッパツかキキキリンぐらいしか知らないや」
ハハハ……。周りが笑った。
「どうする、やめとくかい?」
「いや、やるさ。武士に二言はないやい」
「じゃ、スタートするぜい」
「あいよぉ」
「3・2・1、スタート!」
クイズ男がスタートの合図を送った。
中年男は腕組みすると、ああでもない、こうでもないと呟きながら、頭を捻っていた。――
「もう時間が来たろうでぃ。おーい、きたろー!」
「うむ……たぶん、これじゃないかな」
「どれ?」
「とき、かぜ、ほし、した」
「で、どういう意味?」
「風が吹く時は星の下がキレイだなぁ、みたいな?」
「ブー!残念。答えはこうよ」
クイズ男は手招きすると、答えを見せた。
「……何これ?難し過ぎだよ。それに誰よ、このセアヤって」
「ハハハ……。セアヤじゃないよ」
「さっぱりだ。ま、ご祝儀だと思えば、安いもんだけどね。はいよ、1,000円」
中年男はそう言いながら、財布から千円札を出した。
「こりゃどうも。ありがたく頂きますよ、ご祝儀を。エヘヘ。次はいないかい?難問奇問、何問でもキモーン!(come on )」
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あのチューリップハットの老婆に一撃されたのがよほどの痛手だったのか、あれ以来、公園でクイズ男を見ることはなかった。
それでも一縷の望みにかけて、僕は毎日のように公園に行っていた。
それは、5月に入って間もなくだった。例のベンチに人集りができていた。まさかと思いながらも、期待を胸に小走りになると、急いで人垣を掻き分けた。
そこに居たのは、紛れもなくクイズ男だった。僕は思わず笑みが溢れ、無意識のうちに握手を求めていた。
「よぉ、お馴染みさん。またよろしく頼んますよ」
クイズ男は笑顔を向けると、そう言って、気安く握手に応じた。
「えー、3ヶ月のご無沙汰、玉置セマシです」
ハハハ……。周りが笑った。
僕も嬉しかった。クイズ男は余計なモノが吹っ切れたかのように快活で、こっちまで気持ちがよかった。
サンドウィッチマンの格好は相変わらずだったが、着ている物がダウンジャケットからTシャツに変わっていた。
「信州信濃の新蕎麦よりも、私ゃあんたの側がいいってね。またまたやって来ましたクイズ男。難問奇問、何問でもキモーン(come on )でぃっ!」
「よっ、待ってましたっ!」
常連の一人が声をかけた。
パチパチ……。周りからも拍手が起きた。
「嬉しいね。ありがとさん」
「じゃ、俺からいくか。快気祝いだ。Bコースを」
馴染みの見物人が名乗りを上げた。
「悪いね、どうも。快気祝いってこた、こっちが頂かなくっちゃな。じゃ、これでもいってみっか」
クイズ男は、例のメモ用紙をパラパラと捲ると、適当なのを中年男に見せた。
【12】次のスケルトンから、ナナメに四字熟語を探せ。
雨音 一時雨 情熱
台 風物 風流 帯
風媒花 姿 星月夜
酌 花見客 下
偉人伝 車海老
大 書留郵便 人情
「ゲッ!マジかよ。俺から金を巻き上げる気だな?四字熟語なんて、キキイッパツかキキキリンぐらいしか知らないや」
ハハハ……。周りが笑った。
「どうする、やめとくかい?」
「いや、やるさ。武士に二言はないやい」
「じゃ、スタートするぜい」
「あいよぉ」
「3・2・1、スタート!」
クイズ男がスタートの合図を送った。
中年男は腕組みすると、ああでもない、こうでもないと呟きながら、頭を捻っていた。――
「もう時間が来たろうでぃ。おーい、きたろー!」
「うむ……たぶん、これじゃないかな」
「どれ?」
「とき、かぜ、ほし、した」
「で、どういう意味?」
「風が吹く時は星の下がキレイだなぁ、みたいな?」
「ブー!残念。答えはこうよ」
クイズ男は手招きすると、答えを見せた。
「……何これ?難し過ぎだよ。それに誰よ、このセアヤって」
「ハハハ……。セアヤじゃないよ」
「さっぱりだ。ま、ご祝儀だと思えば、安いもんだけどね。はいよ、1,000円」
中年男はそう言いながら、財布から千円札を出した。
「こりゃどうも。ありがたく頂きますよ、ご祝儀を。エヘヘ。次はいないかい?難問奇問、何問でもキモーン!(come on )」
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