傷だらけのプー

紫 李鳥

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傷だらけのプー

 

 ぼくがまだ赤ちゃんだったときからプーはいた。プーは茶色いくまのぬいぐるみ。ぼくが生まれたお祝いにパパがプレゼントしてくれたんだ。だから、いつもぼくのそばにいて、ぼくを見守ってくれてた。でも、それに気づいたのは、ぼくがもうちょっと大きくなってから。

 1回目の事件が起きたのは、ぼくがゆりかごでお昼寝中だったとき。2階の窓からは白いレースのカーテンを揺らす涼しい風が入ってきて、ぼくはスヤスヤ眠っていた。すると、

「プー、どうしたの?」

 ママの驚いたような声が聞こえたんだ。

 何があったのかとプーを見ると、おでこに傷があったんだ。そこをママがさすってた。プーはぼくのそばにずっといたのにどうして傷をつけたのかわからなかった。

 2回目の事件が起きたのは、ぼくが4つのときだった。その日も、プーと一緒に2階でお昼寝してたんだ。

 すると、「シャー」て聞こえたから、びっくりして目を覚ましたんだ。そのときぼくが見たのは、ぼくをおそおうとした黒いネコと戦うプーの姿だった。

 プーはネコの爪で傷だらけになりながらぼくを守ってくれてた。

 ネコはあきらめると、窓のそばにある松の枝に飛び降りた。

 たぶん、1回目のおでこの傷もネコと戦ったときのかもしれない。

 ぼくは、ぼくより大きなプーに抱きつくと、

「プー、ありがとう。ぼくをまもってくれて」

 そう言って、プーのほっぺたの傷をやさしくなでた。

 このことは、パパにもママにも言わないとちかったんだ。だって、どうせ信じてもらえないもん。ぬいぐるみがぼくを守るためにネコと戦っていたなんて話。



 おわり
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