夜明け草の誓い ―政略で結ばれたふたりが見つけたのは、孤独を越える小さな光―

だって、これも愛なの。

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最終話 群青の誓い

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夏の夜の庭園。
空は群青に染まり、数えきれぬほどの星々がきらめいていた。
噴水の水音が遠くで響き、花々は夜露をまとって静かに揺れている。

俺とリリアナは並んで歩いていた。
指先は自然に触れ合い、やがて絡む。
あの日のぎこちなさはもうなく、互いの温もりは当たり前のように馴染んでいた。

「殿下」
リリアナが夜空を仰ぎながら、小さく声をかけてきた。
「今日の空は……殿下のお好きな色ですね」

群青。
俺が唯一、心を映せる色だと打ち明けたときの、彼女の嬉しそうな顔が脳裏に浮かぶ。

「そうだな。だが、今は――」
言葉を切り、彼女の瞳を見下ろす。
「お前の瞳のほうが、ずっと美しく見える」

リリアナの頬が赤く染まり、夜空の下で花のように笑みが咲いた。

静寂が心地よく流れる。
やがて俺は立ち止まり、彼女の手を強く握った。

「リリアナ」
改めて名を呼ぶ。
「……私は長く孤独に慣れてきた。役割のために生き、心を閉ざしていた」

夜風が髪を揺らす。
彼女は黙って聞いている。

「だが、お前と出会い、誓いを交わし、夫婦となった今……初めて“未来”を望むようになった」

胸の奥から言葉があふれる。
「これから先も、どれほど困難が訪れようとも。
私は必ずお前の傍にあり、お前と共に歩む」

リリアナの瞳に涙が浮かぶ。
けれど、その表情はどこまでも幸せそうだった。

「……わたしも。
どんなときも殿下のおそばにいます。
だって、殿下こそが……わたしの光なのです」

その声に胸が熱くなる。
俺は彼女を抱き寄せ、額に口づけた。

夜空の群青に、ふたりの誓いが溶けていく。
孤独に覆われていた心は、もう完全に消えていた。

――これからの未来は、彼女と共に。
星々の祝福を浴びながら、強くそう願った。
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