『完全無欠のハッピーエンドを、きみに。』 ─ 理論派男子と巻き込まれ系ヒロインの、恋愛実験ラブコメ!

だって、これも愛なの。

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最終話『“好きだ”が、永遠になりますように』

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白いチャペルの控室。
大きな鏡の前で、小比類巻 陸はポーズを決めていた。

「これは……かっこいい……」

鏡の前で、片手をスッと胸元に当てる。
蝶ネクタイを直し、角度を確認し、ウインクの練習までした。

「やばい……史上最強に俺が輝いている……!タキシードという概念、ありがとう……!」

ふいに、スタッフさんが控室のドアをノックする。

「ご新婦さま、入られます~」

「っっっっっ!!??」



バタンと扉が開いたその瞬間。
空気が、まるごと、変わった。

そこに立っていたのは──
白いウエディングドレスに身を包んだ、望月 柚(ゆず)

その姿は、まるで光をまとうようで。

花の香りと、これまでの全部の思い出が、
一気に胸にこみ上げた。

「…………っ……きれいすぎるだろ……」

「……陸くん?」

「…………だめだ……」

陸は、言葉を継げなくなっていた。

目の端が熱くて、見ていたはずなのに、見えなくなってしまった。

「ちょ、えっ、泣いてるの!?
ウインクの練習してたじゃん、さっきまで!」

「だって……だって、
きみがさ……
あんなに、笑ってるから……」

「……」

「今までの全部が、今日でよかったって、言ってくれてるみたいで……
俺、全部わかったよ。
“きみが隣にいる”ってことが、
人生のなかで一番すごいことなんだなって……」



チャペルの扉が開いて、
ふたりの歩幅が、今、並んだ。

ゆっくりとバージンロードを歩いていく。
手と手が、自然に重なる。



誓いの言葉は、用意していたけれど、
本番で、全部ふっとんだ。

それでも陸は、ちゃんと目を見て、言った。

「……俺は、
きみといる未来を、
“絶対にハッピーエンドにしてやる”って、
本気で思ってる。だから……」

「……うん」

「これからも、一緒に、
たくさん仮説立てて、検証して、
いっぱい間違えて、いっぱい笑って、
ずっと、ずっと、そばにいてほしい」

柚は、にこっと笑った。

「じゃあ、“ずっと一緒にいたいふたりは、結婚式で誓いを立てる”って仮説、
これで……証明されたね?」

「……完全に。
世界で一番、しあわせな証明」



鐘が鳴る。
花びらが舞う。
すべての未来が、ふたりを祝福していた。



【仮説No.∞】
“好き”という気持ちは、
論理じゃ説明できない。
でも、“この人と生きていきたい”っていう想いがあれば、
永遠だって、ちゃんと手を伸ばせる。



◾️おわり
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