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第二部
番外編 星空の夜
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夜のバルコニー。
ひときわ高い王宮の塔からは、王都の灯りが宝石のように瞬いて見える。
その上には、澄み切った夜空いっぱいの星々。
イザベラは欄干に手を添え、うっとりと夜空を見上げていた。
「……参謀殿。星って、本当に気まぐれですわね。
手を伸ばせば届きそうなのに、決して掴めない」
背後でラウレンスが静かに答える。
「だからこそ、人は憧れるのだろう」
イザベラは振り返り、頬に微笑を浮かべた。
「わたくしも、憧れてばかりでした。
でも今は違いますわ。……こうして、あなたが隣にいてくださるから」
ラウレンスは一瞬言葉を失い、夜風に髪を揺らした。
冷静な彼にしては珍しく、視線を逸らす仕草。
「……先のことを考えるのは苦手だ。政務に追われれば、未来を思う余裕もない」
「ならば、わたくしが考えて差し上げますわ!」
イザベラは胸を張り、扇子をぱたんと閉じる。
「未来の舞踏会も、未来の政務も──そのすべてを、あなたと分かち合いたいのです」
星明かりを映した瞳は、揺るぎなくまっすぐ。
ラウレンスは深く息を吐き、彼女の手を取り、指を絡めた。
「……ならば、私も覚悟を決めよう。
君と共に未来を歩むことを」
イザベラは薔薇のように頬を染め、嬉しさを隠しきれず微笑んだ。
「まあ……やっとわたくしの“計画”に乗ってくださいましたのね」
「計画?」
「ええ。“参謀殿と生涯を共にする計画”ですわ」
ラウレンスは苦笑し、彼女の額にそっと唇を落とした。
星空が二人を祝福するように、柔らかな光を降り注いでいた。
ひときわ高い王宮の塔からは、王都の灯りが宝石のように瞬いて見える。
その上には、澄み切った夜空いっぱいの星々。
イザベラは欄干に手を添え、うっとりと夜空を見上げていた。
「……参謀殿。星って、本当に気まぐれですわね。
手を伸ばせば届きそうなのに、決して掴めない」
背後でラウレンスが静かに答える。
「だからこそ、人は憧れるのだろう」
イザベラは振り返り、頬に微笑を浮かべた。
「わたくしも、憧れてばかりでした。
でも今は違いますわ。……こうして、あなたが隣にいてくださるから」
ラウレンスは一瞬言葉を失い、夜風に髪を揺らした。
冷静な彼にしては珍しく、視線を逸らす仕草。
「……先のことを考えるのは苦手だ。政務に追われれば、未来を思う余裕もない」
「ならば、わたくしが考えて差し上げますわ!」
イザベラは胸を張り、扇子をぱたんと閉じる。
「未来の舞踏会も、未来の政務も──そのすべてを、あなたと分かち合いたいのです」
星明かりを映した瞳は、揺るぎなくまっすぐ。
ラウレンスは深く息を吐き、彼女の手を取り、指を絡めた。
「……ならば、私も覚悟を決めよう。
君と共に未来を歩むことを」
イザベラは薔薇のように頬を染め、嬉しさを隠しきれず微笑んだ。
「まあ……やっとわたくしの“計画”に乗ってくださいましたのね」
「計画?」
「ええ。“参謀殿と生涯を共にする計画”ですわ」
ラウレンスは苦笑し、彼女の額にそっと唇を落とした。
星空が二人を祝福するように、柔らかな光を降り注いでいた。
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