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第1話 合理的すぎる求愛
舞踏会の余韻がまだ残る夜。
令嬢クラリッサは、父母に言われるまま婚約を結ぶことになった青年──レオナルド殿下と向き合っていた。
「クラリッサ、少し相談がある」
「……はい?」
まじめな顔で呼び出されたから、また政略や家の話かと思えば、彼の口から出てきたのはまったく予想外の一言だった。
「どうすれば、君に“好き”だと伝わるだろうか」
「…………え?」
クラリッサは紅茶を吹きそうになった。いや待って。
──え、それを私に相談なさるんですか?
「他の誰に相談しても意味がない。僕が君を好きだと、君自身に伝わらなければならないのだから」
「……いえ、理屈はわかりますけれど……」
理屈だけは正しい。けれど、照れくさいにもほどがある。
クラリッサはうっかり頬に熱を感じ、視線を逸らした。
「たとえば、毎朝花を贈るのはどうだろう」
「……宮殿が花畑になりますわ」
「ならば手紙は? 一日に五通」
「読む時間がなくなります」
「……ではいっそ、毎日お迎えに行こう」
「殿下、それはもう“監視”です」
次々と合理的(?)な案を出してくる殿下に、クラリッサは半ば呆れつつも、なぜだか胸が温かくなる。
だって、こんなに一生懸命なのだ。
──ほんとうに、好きでいてくださるのね。
けれど口に出すのは照れくさくて、クラリッサは紅茶のカップを強く握った。
「……殿下。そういうことは……ほどほどで、お願いいたします」
「なるほど。君は“ほどほど”が嬉しいのだな。承知した」
満足げに頷く殿下を見て、クラリッサは思った。
──きっと、好きが伝わるのは時間の問題だわ。
令嬢クラリッサは、父母に言われるまま婚約を結ぶことになった青年──レオナルド殿下と向き合っていた。
「クラリッサ、少し相談がある」
「……はい?」
まじめな顔で呼び出されたから、また政略や家の話かと思えば、彼の口から出てきたのはまったく予想外の一言だった。
「どうすれば、君に“好き”だと伝わるだろうか」
「…………え?」
クラリッサは紅茶を吹きそうになった。いや待って。
──え、それを私に相談なさるんですか?
「他の誰に相談しても意味がない。僕が君を好きだと、君自身に伝わらなければならないのだから」
「……いえ、理屈はわかりますけれど……」
理屈だけは正しい。けれど、照れくさいにもほどがある。
クラリッサはうっかり頬に熱を感じ、視線を逸らした。
「たとえば、毎朝花を贈るのはどうだろう」
「……宮殿が花畑になりますわ」
「ならば手紙は? 一日に五通」
「読む時間がなくなります」
「……ではいっそ、毎日お迎えに行こう」
「殿下、それはもう“監視”です」
次々と合理的(?)な案を出してくる殿下に、クラリッサは半ば呆れつつも、なぜだか胸が温かくなる。
だって、こんなに一生懸命なのだ。
──ほんとうに、好きでいてくださるのね。
けれど口に出すのは照れくさくて、クラリッサは紅茶のカップを強く握った。
「……殿下。そういうことは……ほどほどで、お願いいたします」
「なるほど。君は“ほどほど”が嬉しいのだな。承知した」
満足げに頷く殿下を見て、クラリッサは思った。
──きっと、好きが伝わるのは時間の問題だわ。
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