11 / 14
特別編:ほどほどを越えて(クラリッサ視点)
午後のサロン。
窓からの陽射しがカーテン越しに柔らかく差し込む中、クラリッサは紅茶を口にしていた。
「クラリッサ」
名前を呼ぶ声がやけに優しい。振り向くと、レオナルド殿下が真剣な顔でこちらを見つめている。
「……どうなさったのです?」
「ただ、言いたくなっただけだ。君が好きだ」
「~~っ! 殿下、急にそういうことを……!」
クラリッサは思わず顔を覆った。
心臓は跳ね、頬は熱い。
「……言われると困るのか?」
「いえ……困るというか……」
「……嫌ではない?」
「っ……」
クラリッサは一瞬黙り込んだ。けれど視線を逸らしながら、小さく呟いた。
「……嫌どころか……嬉しゅうございますわ」
その声はかすかで、本人も聞かれたくなかったのかもしれない。
けれど殿下の耳には、しっかり届いていた。
彼は目を細め、ゆっくりと笑った。
「……なるほど。照れているけれど、本当は喜んでいるのだな」
「っ、そ、そんなこと……!」
クラリッサが慌てて否定しようとすると、殿下はすかさず言葉を重ねた。
「合理的に考えれば、今の反応が何よりの証拠だ」
「もう……合理性など持ち出さなくてもよろしいですわ!」
「では素直に言おう。君が僕の言葉を喜んでくれるとわかった。だからこれからは、もっと言う」
「~~~っ!」
クラリッサは真っ赤になって立ち上がりかけたが、殿下に手を取られて座らされる。
「……ほどほどに、と言うのだろう?」
「も、もちろんです!」
「承知した。ほどほどに、毎日欠かさず」
「それは全然ほどほどではありませんわ!!」
けれど、胸の奥は確かにときめいている。
──殿下に愛されていると気づくたび、どうしようもなく幸せになるのだから。
窓からの陽射しがカーテン越しに柔らかく差し込む中、クラリッサは紅茶を口にしていた。
「クラリッサ」
名前を呼ぶ声がやけに優しい。振り向くと、レオナルド殿下が真剣な顔でこちらを見つめている。
「……どうなさったのです?」
「ただ、言いたくなっただけだ。君が好きだ」
「~~っ! 殿下、急にそういうことを……!」
クラリッサは思わず顔を覆った。
心臓は跳ね、頬は熱い。
「……言われると困るのか?」
「いえ……困るというか……」
「……嫌ではない?」
「っ……」
クラリッサは一瞬黙り込んだ。けれど視線を逸らしながら、小さく呟いた。
「……嫌どころか……嬉しゅうございますわ」
その声はかすかで、本人も聞かれたくなかったのかもしれない。
けれど殿下の耳には、しっかり届いていた。
彼は目を細め、ゆっくりと笑った。
「……なるほど。照れているけれど、本当は喜んでいるのだな」
「っ、そ、そんなこと……!」
クラリッサが慌てて否定しようとすると、殿下はすかさず言葉を重ねた。
「合理的に考えれば、今の反応が何よりの証拠だ」
「もう……合理性など持ち出さなくてもよろしいですわ!」
「では素直に言おう。君が僕の言葉を喜んでくれるとわかった。だからこれからは、もっと言う」
「~~~っ!」
クラリッサは真っ赤になって立ち上がりかけたが、殿下に手を取られて座らされる。
「……ほどほどに、と言うのだろう?」
「も、もちろんです!」
「承知した。ほどほどに、毎日欠かさず」
「それは全然ほどほどではありませんわ!!」
けれど、胸の奥は確かにときめいている。
──殿下に愛されていると気づくたび、どうしようもなく幸せになるのだから。
あなたにおすすめの小説
明るいヤンデレ王子は、全肯定のお姫様にだけ止められる
星乃和花
恋愛
王太子レオンハルト殿下は、明るく爽やかで完璧な王子様。
――ただし、幼馴染の姫君リリアのことになると、少しだけ愛が重い。
リリアに近づく人にはにこやかに圧をかけ、危うく暴走しかけることもしばしば。
けれどそんな殿下も、リリアがそっと袖を引けばぴたりと止まる。
「その嫉妬は、わたしのところへ持ってきてくださいね」
全肯定で受け止めるのに、だめなことはちゃんと止める最強のお姫様と、
受け入れられるほど愛が深くなってしまう明るいヤンデレ王子。
これは、重たい愛を“ふたりだけのもの”としてやさしく育てていく、
幼馴染ふたりの甘くて少し危うい溺愛ラブコメです。
☆*:.。. 完結済ー本編12話+番外編2話 .。.:*☆
【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない
ユユ
恋愛
【 お知らせ 】
先日、近況ボードにも
お知らせしました通り
2026年4月に
完結済みのお話の多数を
一旦closeいたします。
誤字脱字などを修正して
再掲載をするつもりですが
再掲載しない作品もあります。
再掲載の時期は決まっておりません。
表現の変更などもあり得ます。
他の作品も同様です。
ご了承いただけますようお願いいたします。
ユユ
【 お話の内容紹介 】
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。
既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。
未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。
後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。
欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。
* 作り話です
* そんなに長くしない予定です
【完結/番外追加】恋ではなくなったとしても
ねるねわかば
恋愛
十一年前、彼女は納得して切り捨てられた。
没落した貴族家の令嬢アリーネは、王都の社交サロンで同伴者として生きる道を選んだ。
歳月は、すべてを思い出に変えたはずだった。
会うたびにかつての婚約者を目で追うのは、ただの癖。
今ある思いは、恋ではない。
名がつくことのない二人の関係は、依頼主と同伴者となり、またその形を変えていく。
2万字くらいのお話です。
私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない
朝陽七彩
恋愛
十五年ぶりに君に再開して。
止まっていた時が。
再び、動き出す―――。
*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*
衣川遥稀(いがわ はるき)
好きな人に素直になることができない
松尾聖志(まつお さとし)
イケメンで人気者
*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*
触れられないはずの私が、ただ一人の彼にだけ心も体も許してしまいました
由香
恋愛
男性に触れられると体調を崩す令嬢リリア。
そんな彼女にとって唯一“触れられる”存在は――幼なじみの公爵令息レオンだけだった。
手を取られ、抱き寄せられ、当たり前のように触れられる日々。
それがどれほど特別なことなのか、彼女はまだ知らない。
やがて政略結婚の話が持ち上がり、“触れられない相手との結婚”か、“彼に触れられる人生”かを選ぶことに。
「お前に触れていいのは俺だけだ」
逃げ場のない独占と、甘すぎる溺愛。
これは、触れられないはずの少女が、ただ一人にだけすべてを許していく物語。
偽装恋人のカフェ店長が、全然“偽装”する気がありません
星乃和花
恋愛
仕事帰りに立ち寄るカフェ《miel》は、疲れた心をほどいてくれる大切な場所。
店長の朝倉恒一は、いつもやさしくて、気配り上手で、少しだけ距離が近い人だった。
ある日、取引先の男性からしつこく迫られて困っていたひよりを助けるため、恒一はとっさに言う。
「この人、俺の恋人なんで」
そこから始まったのは、期間限定の“偽装恋人”関係。
――のはずだったのに。
送り迎え、甘い言葉、自然すぎる気遣い。
しかも彼は、ふわっと笑いながらまったく引く気がない。
やさしいのに押しが強いカフェ店長に、慎重なひよりは少しずつ絆されていって……。
偽装から始まる、甘くてやさしい溺愛ラブストーリー。
◇完結済ー本編13話+番外編◇
虚弱姫はコワモテ将軍の筋肉に触りたい
隙間ちほ
恋愛
◼︎無骨な英雄×病弱な筋肉フェチ姫
◼︎辺境伯の末娘エルナは、領軍の英雄マテウスとの結婚が決まった。政略結婚――のはずが、実は姫は将軍の熱烈なファン。姫がノリノリで嫁ぐ一方、当のマテウスは「か弱い姫君に嫌われている」と思い込み、距離を取ってしまう……。
◼︎筋肉と鼻血とすれ違いラブコメ。
◼︎超高速展開、サクッと読めます。
親友と結婚したら、ずっと前から溺愛されていたことに気づきました
由香
恋愛
親友と結婚した。
それだけのはずだったのに――
ある日、夫にキスされて気づく。
彼は“ただの親友”なんかじゃなかった。
「ずっと前から好きだった」
そう言われても、知らなかった私は戸惑うばかりで。
逃げようとすればするほど、距離は縮まっていく。
――これは、親友だったはずの彼に、甘く捕まっていく話。
溺愛、独占欲、全部まとめて受け止める覚悟はありますか?