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贈り物編 ― 星をかたどる指輪
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季節は巡り、夜空が澄み渡る頃。
屋敷の庭には小さな灯が並び、ふたりだけの晩餐の準備が整えられていた。
エリスは戸惑いながら席に座る。
「こんな素敵な準備……わたしにはもったいないくらいです」
レオンは穏やかに首を振った。
「もったいないどころか、まだ足りないくらいだ」
夕餉を終え、星空を仰いだそのとき。
レオンは懐から小さな箱を取り出した。
「君に、ずっと渡したかったものがある」
そっと開かれた中には、星をかたどった銀の指輪が輝いていた。
中央の小さな宝石は、夜空に瞬く星そのもののようだった。
「……これは」
「僕にとって星は、永遠の象徴だ。
だから、君との未来をここに込めた」
指先が震えながら、エリスはその指輪を受け取る。
涙がにじみ、声にならない想いが溢れる。
「レオン様……」
「言葉はいらない。ただ――これからも隣にいてほしい」
彼の手で指輪がエリスの指にはめられた瞬間、
胸の奥に宿っていた“永遠”が、確かな形となった。
夜空の星々が祝福するように瞬き、
ふたりの未来をやさしく照らしていた。
屋敷の庭には小さな灯が並び、ふたりだけの晩餐の準備が整えられていた。
エリスは戸惑いながら席に座る。
「こんな素敵な準備……わたしにはもったいないくらいです」
レオンは穏やかに首を振った。
「もったいないどころか、まだ足りないくらいだ」
夕餉を終え、星空を仰いだそのとき。
レオンは懐から小さな箱を取り出した。
「君に、ずっと渡したかったものがある」
そっと開かれた中には、星をかたどった銀の指輪が輝いていた。
中央の小さな宝石は、夜空に瞬く星そのもののようだった。
「……これは」
「僕にとって星は、永遠の象徴だ。
だから、君との未来をここに込めた」
指先が震えながら、エリスはその指輪を受け取る。
涙がにじみ、声にならない想いが溢れる。
「レオン様……」
「言葉はいらない。ただ――これからも隣にいてほしい」
彼の手で指輪がエリスの指にはめられた瞬間、
胸の奥に宿っていた“永遠”が、確かな形となった。
夜空の星々が祝福するように瞬き、
ふたりの未来をやさしく照らしていた。
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