'寄宿学校シリーズ──5つの恋短編集

だって、これも愛なの。

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星の涙に願う夜

第九章 「言えない気持ち」

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 舞踏会の翌日。
 寄宿学校の庭園には朝露がきらめき、生徒たちの談笑があちこちに広がっていた。

 その中で、リリアの姿を見つける。
 彼女は上級生の男子と並んで歩いていた。
 「昨日は楽しかったですね。次の舞踏会でも、ぜひ」
 そう穏やかに語りかけられるリリアは、少し戸惑いながらも笑顔を返していた。

 その光景を見た瞬間、カイルの胸の奥で何かがずしりと重く沈んだ。

 ──また、だ。
 彼女は誰にでも分け隔てなく笑う。
 それが分かっているのに、なぜこんなにも落ち着かない。

 リリアがこちらに気づき、小さく手を振った。
 「カイル!」
 いつもと変わらぬ笑顔。
 だが、隣にいる男の存在がその笑顔を曇らせる。

 「……何をしていた」
 声が硬くなる。
 「え? ちょっと、次の舞踏会のことで──」
 「断れ」
 思わず言葉が飛び出した。
 リリアは目を瞬かせる。
 「どうして?」
 「……理由は……」

 言葉が続かない。
 自分の胸を締めつけるこの感情を、うまく言葉にできない。
 「お前が……他の誰かと踊るのは……嫌だ」
 絞り出した声は、思った以上にかすれていた。

 リリアはしばらく黙り込み、それから柔らかく笑った。
 「……カイルって、素直じゃないよね」
 「……っ」
 「でも、その気持ち、なんだか嬉しい」

 心臓が大きく跳ねた。
 もっと言いたいのに、声が出ない。
 ただ彼女の笑顔に見透かされて、言葉をなくすしかなかった。
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