'寄宿学校シリーズ──5つの恋短編集

だって、これも愛なの。

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星の涙に願う夜

第十二章 「伝えるために」

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 夜の寄宿学校。
 静まり返った回廊を歩きながら、カイルは心の中で何度も自分を責めていた。

 ──また言えなかった。
 剣の稽古では一度も怯まずに前に出られるのに、
 彼女の前では、ただの一言さえ喉に詰まる。

 「……情けない」
 誰もいない廊下で、低く呟く。
 だが同時に胸の奥に、確かな熱が芽生えていた。

 彼女は明るく、誰にでも分け隔てなく笑う。
 その笑顔は自分だけのものではない。
 だからこそ、伝えなければならない。

 「リリアは……特別だ」

 小さく言葉に出してみる。
 その響きは拙くも、胸の奥で確かな形を持った。

 星の涙に願ったのは、彼女の隣にいられること。
 だが、願うだけでは足りない。
 自分の声で、想いを告げなければ。

 カイルは窓越しに夜空を見上げた。
 幾千もの星々が瞬き、湖面に揺れている。
 その光を前にして、彼は拳を強く握りしめた。

 「次こそは……必ず」

 決意の言葉は夜に吸い込まれ、静かに響いた。
 無口で不器用な少年が、初めて“伝える勇気”を胸に宿した瞬間だった。
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