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第12話『静かな合図』
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次の日の夜は、不思議なほど静かだった。
扉の鈴はほとんど鳴らず、店内には星灯の明かりと時計の音だけが流れている。
私は奥の棚で瓶を並べていたが、ふと視線を感じて振り向く。
悠真が作業台からこちらを見ていた。
何か言うかと思ったが、彼は小さく首を傾けるだけだった。
——来て。
そう言われたような気がして、足が自然と動いた。
隣に腰を下ろすと、悠真は黙って星砂の瓶を差し出す。
受け取るとき、彼の指先がそっと私の手に触れた。
一瞬だけ、昨日の距離が嘘のように縮まる。
「……澪さん」
「はい」
「今日は、隣にいてくれてよかった」
それだけを言って、彼はまた作業に戻る。
言葉は少ないのに、胸の奥まで温かさが広がっていく。
きっと私たちは、こうして静かに気持ちを渡し合うのがいちばん合っているのだろう。
作業台の上で輝く瓶の光が、いつもより長く、やさしく瞬いていた。
扉の鈴はほとんど鳴らず、店内には星灯の明かりと時計の音だけが流れている。
私は奥の棚で瓶を並べていたが、ふと視線を感じて振り向く。
悠真が作業台からこちらを見ていた。
何か言うかと思ったが、彼は小さく首を傾けるだけだった。
——来て。
そう言われたような気がして、足が自然と動いた。
隣に腰を下ろすと、悠真は黙って星砂の瓶を差し出す。
受け取るとき、彼の指先がそっと私の手に触れた。
一瞬だけ、昨日の距離が嘘のように縮まる。
「……澪さん」
「はい」
「今日は、隣にいてくれてよかった」
それだけを言って、彼はまた作業に戻る。
言葉は少ないのに、胸の奥まで温かさが広がっていく。
きっと私たちは、こうして静かに気持ちを渡し合うのがいちばん合っているのだろう。
作業台の上で輝く瓶の光が、いつもより長く、やさしく瞬いていた。
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