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第1章 庭園での挨拶
「おはようございます、殿下」
リリアーナは、庭園で見かけた婚約者に両手でスカートをつまみ、にっこりと微笑んだ。
少し風に揺れるブロンドの髪と、鈴のように澄んだ声。彼女は今日もおっとりとした笑顔を浮かべている。
「……おはよう」
対する彼――アレクシス殿下は冷徹と名高い権力者。威厳を湛えた視線を落としながらも、足を止めた。
無邪気に笑う彼女の様子を見ていると、胸の奥に妙なざわつきを覚える。
(どうして、こんなに無防備なんだ。周囲がどんな目で見ているか、わかっているのか……)
「殿下はいつもお忙しいのですね。きっと、わたしの顔など見飽きてしまわれたでしょう」
「なっ……」
さらりと零された言葉に、アレクシスは思わず眉をひそめる。
(見飽きる……? 一日たりとも忘れられたことがないというのに)
「そんなことは、ない」
思わず声を荒げそうになって、すぐに抑える。
彼女に怯えられるのだけは、何としても避けたい。
「……君の顔を見ると、余計な心配が増える」
「まあ! ご迷惑をかけていたのですね」
「……違う」
彼はこめかみを押さえた。
どうして、こうも伝わらないのか。心配で、気になって仕方がないのに。
「……君は、もう少し気をつけろ。庭園に一人で出歩くな」
「でも、花が咲いていると、つい嬉しくなってしまって」
「……無邪気すぎる」
吐息と共に呟いたその言葉は、本人の耳に届かない。
リリアーナはただ、ふんわりとした笑みで首をかしげるだけ。
恋が何かもまだ知らないその瞳は、まっすぐにアレクシスを見上げて――彼の胸をぎゅっと締めつける。
(……どうすればいい。どうすれば、この想いを伝えられる)
冷徹と呼ばれる権力者は、ただ一人の令嬢の前でもだもだと足を止める。
無邪気なおっとり令嬢と、素直になれない殿下の、じれじれの時間は始まったばかり。
リリアーナは、庭園で見かけた婚約者に両手でスカートをつまみ、にっこりと微笑んだ。
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対する彼――アレクシス殿下は冷徹と名高い権力者。威厳を湛えた視線を落としながらも、足を止めた。
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「なっ……」
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(見飽きる……? 一日たりとも忘れられたことがないというのに)
「そんなことは、ない」
思わず声を荒げそうになって、すぐに抑える。
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「まあ! ご迷惑をかけていたのですね」
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どうして、こうも伝わらないのか。心配で、気になって仕方がないのに。
「……君は、もう少し気をつけろ。庭園に一人で出歩くな」
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「……無邪気すぎる」
吐息と共に呟いたその言葉は、本人の耳に届かない。
リリアーナはただ、ふんわりとした笑みで首をかしげるだけ。
恋が何かもまだ知らないその瞳は、まっすぐにアレクシスを見上げて――彼の胸をぎゅっと締めつける。
(……どうすればいい。どうすれば、この想いを伝えられる)
冷徹と呼ばれる権力者は、ただ一人の令嬢の前でもだもだと足を止める。
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