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第2章 小さな体調不良
午後の陽射しが和らいだ頃、リリアーナは温室の花を見に行っていた。
しばらく歩いたあと、ふわりと足が止まる。
「……あら」
急に目の前がかすみ、額に汗が滲む。
(少し……ふらふらします……)
持っていた小花の枝を落としかけた瞬間――がし、と腕を支えられた。
「リリアーナ!」
鋭い声に振り返ると、いつの間にかそこにいたアレクシスが彼女を抱き寄せていた。
その表情は、普段の冷徹さを微塵も残さない。
「……っ、殿下? ごめんなさい、少し目が……」
「黙っていろ。歩けるか?」
「だ、大丈夫です。ほら、この通り――」
にこりと笑おうとした途端、膝ががくりと揺れた。
「大丈夫なものか」
低い声が震えている。
アレクシスは彼女をためらいなく抱き上げた。
「ひゃっ……!」
「静かにしていろ」
そのまま歩き出した彼の胸に、リリアーナは小さく縮こまる。
「殿下……重くありませんか?」
「……君が、軽すぎる」
「え?」
「食事はきちんと摂っているのか。休みは足りているのか。……どうして、そんな顔で笑える」
普段なら決して口にしない言葉が、止まらずこぼれていく。
リリアーナは目をぱちぱちと瞬かせ、やがてほんのり頬を赤らめた。
「……ご心配くださるのですね」
「……っ、当たり前だ」
顔を逸らす。冷徹と呼ばれる自分が、まるで狼狽する若者のように見えてしまうのが悔しくてならない。
(もっと強く言いたいのに。君が大切で、気になって仕方ないと……)
けれどリリアーナは、彼の腕の中で安堵のように微笑んだ。
「殿下は、優しい方です」
「……違う」
「え?」
「優しいのではない。……君が、心配なんだ」
ようやく絞り出した言葉は、本人の耳にもぎこちなく響いた。
だがリリアーナは小鳥のように嬉しげに目を丸くして――また、花のように笑った。
アレクシスの胸は、これ以上ないほど熱くなる。
素直になれない心が、今にも弾けてしまいそうだった。
しばらく歩いたあと、ふわりと足が止まる。
「……あら」
急に目の前がかすみ、額に汗が滲む。
(少し……ふらふらします……)
持っていた小花の枝を落としかけた瞬間――がし、と腕を支えられた。
「リリアーナ!」
鋭い声に振り返ると、いつの間にかそこにいたアレクシスが彼女を抱き寄せていた。
その表情は、普段の冷徹さを微塵も残さない。
「……っ、殿下? ごめんなさい、少し目が……」
「黙っていろ。歩けるか?」
「だ、大丈夫です。ほら、この通り――」
にこりと笑おうとした途端、膝ががくりと揺れた。
「大丈夫なものか」
低い声が震えている。
アレクシスは彼女をためらいなく抱き上げた。
「ひゃっ……!」
「静かにしていろ」
そのまま歩き出した彼の胸に、リリアーナは小さく縮こまる。
「殿下……重くありませんか?」
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「え?」
「食事はきちんと摂っているのか。休みは足りているのか。……どうして、そんな顔で笑える」
普段なら決して口にしない言葉が、止まらずこぼれていく。
リリアーナは目をぱちぱちと瞬かせ、やがてほんのり頬を赤らめた。
「……ご心配くださるのですね」
「……っ、当たり前だ」
顔を逸らす。冷徹と呼ばれる自分が、まるで狼狽する若者のように見えてしまうのが悔しくてならない。
(もっと強く言いたいのに。君が大切で、気になって仕方ないと……)
けれどリリアーナは、彼の腕の中で安堵のように微笑んだ。
「殿下は、優しい方です」
「……違う」
「え?」
「優しいのではない。……君が、心配なんだ」
ようやく絞り出した言葉は、本人の耳にもぎこちなく響いた。
だがリリアーナは小鳥のように嬉しげに目を丸くして――また、花のように笑った。
アレクシスの胸は、これ以上ないほど熱くなる。
素直になれない心が、今にも弾けてしまいそうだった。
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