『君だから、恋を知った 』――冷徹殿下×天然令嬢のじれ甘ロマンス――

だって、これも愛なの。

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第3章 舞踏会の夜

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煌びやかな舞踏会。
リリアーナは淡い水色のドレスに身を包み、場の華やかさに少し圧倒されていた。
彼女はまだ恋を知らない。けれど、自分を迎えてくれたアレクシスの隣に立てるだけで十分だと思っていた。

「リリアーナ嬢、今夜はお一人で?」
周囲の貴族の青年が声をかけてくる。
おっとりした彼女はにこりと笑い、悪気なく応じた。
「はい、殿下はお忙しいですから。少しくらい、わたしも一人で大丈夫です」

――その瞬間。
会場の奥から見ていたアレクシスの眉がぴくりと動く。
(……一人で大丈夫だと? 大丈夫なものか!)

彼はすぐに歩み寄り、青年の前に立ちはだかった。
「彼女は、私の婚約者だ」
低い声に、青年は慌てて身を引いた。

「……殿下?」
リリアーナが小首をかしげる。
アレクシスは彼女の腕を取ると、そのまま舞踏の輪へと連れ出した。

「ひゃ……殿下!? わたし、踊りはまだ……!」
「構わん。足がもつれたら、私が支える」
「……」
「……いや、必ず支える」
ぎこちない訂正に、リリアーナは目を瞬かせ、頬を染める。

音楽に合わせて、二人はゆっくりと踊り始めた。
リリアーナの手は少し震えている。
(こんなに近いなんて……胸が、どきどきします……)

「……君は無防備すぎる」
アレクシスが低く囁く。
「誰彼かまわず笑みを向けるな。……私以外に」
「えっ……」
耳元に落とされた言葉に、リリアーナの顔が熱くなる。

「殿下……」
「……何だ」
「今のは…… 嫉妬、でしょうか?」
「っ……!」
アレクシスは言葉を失った。
彼の胸の奥で、冷徹と呼ばれる仮面が崩れそうになる。

(どうしてこんなにも……可愛いことを言うんだ、君は)

「……そうだ」
しばしの沈黙のあと、彼はようやく認めた。
「私は、嫉妬している。……君が気になって仕方がない」

リリアーナは驚いたように目を丸くし、そして花のように笑った。
「殿下はやっぱり……優しい方ですね」
「……優しいのではない」
強く否定する彼の声は、けれど今までで一番震えていた。

――恋をまだ知らない令嬢と、素直になれない権力者。
じれじれともだもだの夜は、二人の距離をまた一歩近づけていく。
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