『冷徹公爵は、私にだけ溺愛を隠せない』──噂の“冷徹”は、令嬢ひとりにだけ優しい

だって、これも愛なの。

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特別編 新しい朝

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朝の光が公爵邸の窓から差し込み、レースのカーテンを透かして部屋を柔らかく照らしていた。

クラリッサはベッドの上でそっと目を覚ます。
隣には、いつも通り無表情を保ったまま眠っているアレクシス。
けれど、彼の寝息は驚くほど穏やかで、まるで冷徹と呼ばれていた人とは別人のようだった。

「……可愛い」

思わずつぶやいた声に、ぱちりと青灰色の瞳が開く。
「……何がだ」
「っ! ……な、なんでもありません!」

慌てて顔を赤くするクラリッサ。
アレクシスは目を細め、寝起きの声でぼそりと返す。
「……隣に君がいるのは、悪くない」

クラリッサの胸が一気に熱くなる。

朝食のテーブル。
「このジャム、美味しいです!」と無邪気に笑う妻に、アレクシスは静かに頷く。
──実は取り寄せに三週間かかったとは言えない。
「アレクシス様もどうぞ!」と差し出されたスプーンを受け取り、仕方なく口にする。
(……甘すぎる。だが、君が食べさせてくれるなら悪くない)

午後。
執務室で書類を整理していると、クラリッサがそっと紅茶を運んでくる。
「お疲れではありませんか?」
「……大丈夫だ」
彼女が心配そうに覗き込むと、胸がくすぐったくなって、視線を逸らす。
(……この書類、あとで読み返さねば。頭に入っていない)

夜。
寝室の明かりを落とし、彼女が隣にいる安心感に包まれる。
「おやすみなさい、アレクシス様」
小さな囁きに、思わず手を伸ばして彼女の指を握る。
「……おやすみ」

冷徹と呼ばれた公爵の心は、今やひとりの妻にだけ占められていた。
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