推しカプを愛でるために、悪役令嬢の私は壁姫になろうと思います!

明夏 向日葵

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誕生祭前夜――ドレス姿のロゼリスにアーロン、理性崩壊!?

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いよいよ誕生祭も明日に迫り、王宮の空気は慌ただしくなっていた。
ロゼリスは、ソファの上でノートを開き、真剣な表情でペンを走らせていた。

(アーロン殿下のことを考えるのは一旦やめて、リリネ嬢のケーキ崩壊事件を止めることに集中ですわ!
ルチア様の渾身のケーキを壊すなんて、あまりにも性格が悪すぎますわ!)

鼻息荒く作戦を練るロゼリスのノートには、「壁と一体化して見張る」「転倒してケーキを死守」「華麗に受け止める」などの文字が並んでいる。
(ふふ…。完璧な作戦ですわ!)

そこへ、軽やかなノックの音と共に、アーロンが入ってきた。
「なぁ。明日の誕生祭でペアダンスをするだろ? その練習をしておかないか?」

珍しく頬を少し赤らめながら言うアーロン。
ロゼリスは一瞬きょとんとしたあと、ぱっと笑顔を浮かべた。

「そうですわね! ならばドレスを着て、明日の予行練習をしましょうか!」
「ああ。」

ロゼリスは、キースが用意してくれた白と赤のドレスに袖を通した。
胸元には白と赤の薔薇が寄り添うように飾られ、裾には細かなダイヤが散りばめられている。
シャンデリアの光を受けて、その姿はまるで一輪の光の薔薇のようだった。

(アーロン殿下に、変に思われないかしら…?)

不安を胸に、ロゼリスはアーロンの前に立ち、微笑む。
「どうでしょうか…? 少し派手でしょうか?」

その瞬間、アーロンの喉が小さく鳴った。
「……そんなに綺麗な顔で微笑むな。今すぐ攫いたくなる。」

「えっ——」
次の瞬間、アーロンはロゼリスの腰をぐっと抱き寄せた。
ロゼリスの身体が、彼の腕の中にすっぽりと収まる。

「アーロン殿下……」
震える声で名を呼びながらも、ロゼリスは彼の背に腕を回し、そっと抱きしめ返した。

そして始まるダンスレッスン。
夜の広間に響くのは、二人の足音と心臓の鼓動だけ。

(アーロン殿下の手が、私の腰に触れている…。
見つめる瞳も、囁く声も優しくて、どうしようもなくドキドキしてしまいますわ…。)

彼女の視界には、アーロンしか映っていなかった。
(もう……アーロン殿下しか見えませんわ……。)

一方で、アーロンもまたロゼリスから目を離せずにいた。
(シャンデリアに照らされる白い肌、薔薇のように美しいドレス、黄金の瞳——すべてが眩しい。
明日の誕生祭では、きっと他の男たちもこの姿を目にする。そんなの、許せねぇな。
ドレスを変えさせるか? ……いや、違う。離さなければいい。
ロゼリスのこの姿を見ていいのは、俺だけでいい。)

そして——レッスンの終盤。
ロゼリスが回転するステップを踏み、アーロンの胸元へと近づいていく。
その勢いが、ほんの少し強すぎた。

(いけませんわ! このままではアーロン殿下にぶつかってしまいます!!)

止まらないスピン。
次の瞬間——ふたりの唇が重なった。

時間が、止まったようだった。

(ま、またアーロン殿下とキスをしてしまいましたわぁぁ!!)

乙女テンパりMAXのロゼリスに対し、アーロンは迷うことなく、彼女の腰を再び引き寄せた。
後頭部に手を添え、もう一度、今度は深く唇を重ねる。

長く、熱を帯びた口づけ。
ロゼリスの思考は完全に停止した。

ゆっくりと唇を離し、アーロンは彼女の唇を指でなぞる。
「ロゼリス、明日は、俺のそばにだけいろ。
お前のこんな綺麗な姿を見ていいのも、ドキドキさせていいのも、キスしていいのも……俺だけだ。
まぁ、嫌がっても離してやらねぇけどな。」

ロゼリスの頬が一瞬で真っ赤になった。
そして彼の腕の中で、かすかに呟く。
「……ずるいですわ、アーロン殿下。」
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