Love affair〜ラブ アフェア〜

橘 薫

文字の大きさ
121 / 171
♠︎理解♠︎弘田宇丈

4

しおりを挟む
 二人が話し込んでるのを黙って聞いていた。
 アオは、みひろさんやオレにわかりやすいよう、言葉を選んでくれてる。

「最終的には愛したい、愛されたいの欲求が満たされれば、大概は解決します」
「愛したい、愛されたい…ですか?」
「うん。まぁオレの経験値だけですけどね。どんな人間も持っている欲求で、これが行動の原動力になる。ここをベースにその後の感情や行動が生まれるんです」
「はぁ」
「真柴さんのアイデンティティがしっかりしたことで、自分の感情の源…愛し愛されるを見直す準備ができたと思います」

 アオがみひろさんに言っていることを、オレなりに理解しようと注意深く聞いていた。

「真柴さん、お祖母さんと同居する前の、家族四人だけの時の家族関係はどうでした?」
「仲は良かったです。両親には愛されてたと思います。厳しかったけど、叱られても愛を感じてました。特に父は…冷たくて怖い時もありましたけど、すごく大事にされてたと思います。だからこそ、冷たいときとのギャップが嫌でした」
「うん、なるほどね。幼少期に親の愛をちゃんと受け取ってますね」
「はい…そう、ですね」
「愛された経験がある人は強い…それが無条件の、親からの愛であればなおさらです」
「でも、私…両親に、私の味方になって欲しかったです。白石の血を継いでないことがわかってから、私…ずっと孤独を感じてたんです」
「うん…それもわかります」
 アオは、ビールの空き缶を握りつぶすとみひろさんに聞いた。
「真柴さんが望む愛情表現はどんなものでしょう?」

 みひろさんはしばらく考え込んだ。オレも一緒に考える。愛情表現…そういえば、きちんと考えたことがない…お袋やおばあちゃんはどうだったかな…?

「かわいいかわいいと甘やかすのも一つの愛情表現ですが、それはその人のためになりますか?」
「…いいえ、ならないと思います…」
「そうですね、それに愛情表現が苦手な世代もいますよね?オレの両親もですが、真柴さんのご両親も世代的には「好き」とか「かわいい」とか抱きしめる、という行動よりも、社会に出た時に恥ずかしい思いをさせないようにきちんと育てる、躾る、叱る…そういうことが親の務め、と思われてたのではないでしょうか」
「はい…」
「もし愛されてなかったら、何をしても無視されたと思いますし、放置されたと思います。そんなことはなかったでしょう?」
「そうですね…」
「親の愛情表現と、子どもが求める愛情表現は噛み合わないことが多いんです。自分が求める愛情表現にこだわり続けるか、親は親なりの愛情表現をしてくれていた、愛してくれていた…と思えるかどうかだと思うんですよね」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

還暦妻と若い彼 継承される情熱

MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。 しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。 母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。 同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...