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サバゲーの頂点に立ちたいでしょう?
08
しおりを挟む全サバイバルゲーム部が統合された翌日。サバイバルゲーム部の部員は第三グラウンドに集まった。
各々サバイバルゲームの用意をしている。
装備自体は全員好みに分かれている。大きくみっつに分かれていた。
尋やフー、珠希のような、プレートキャリアを主体に装備を組み立てているタイプ。これが全体の三割ほど。
ウィンドブレーカーの上に、簡易なハーネスで組み立てたタイプ。簡素で単純にサバイバルゲームをするための軽量な組み合わせだ。音羽も含め残りのほとんどがこのタイプ。
そしてごく少数の軍装。二次大戦前後の兵士のコスプレをしているものが数人。
「これだけ揃うと、圧巻ネー」
しみじみつぶやく尋。賛同する数名。
「でも、先輩たちが一番しっくりしますね」
昨日一番尋に抱擁されていた少女、阿万田やまが、尋の横で言う。
「Non non. けいチャンの親衛隊が、一番かっこいいネー」
褒められた尋は、コスプレをしている少女を見ながら応えた。
「そんなことよりも、あなた、まさかAK使わないでしょうね?」
珠希がじろりと尋を睨む。
「ミンナ全力で行くネー。ならウチも全力でイくヨー」
つぶやいて、尋はガンケースを開けた。
「やっと使うか」
「たまチャン、付き合ってもらうネー」
「最初からそう言っているでしょう」
尋はプレートキャリアのマガジンポーチを全部外し、ガンケースにつけられていた物と付け替えた。
「最高傑作だ。80ヤード先だって撃ち抜けるぞ」
得意気なフー。装備を作り替えた尋は、ガンケースから取り出したライフルをワンポイントスリングで下げた。
フルサイズの突撃銃に、強化樹脂の銃身被筒や肩当。必要な箇所だけ取り付けたレールには軍用懐中電灯や複合レーザーサイトがつけられ、グリップや三倍固定のスコープなど、徹底的に実用を意識した外観。全体を尋のプレートキャリアと同じ色に塗装されている。今まで音羽の見ていた尋の装備とは違う形だった。
「つよそう……」
装備を変えた尋に対して、音羽は思わずつぶやいていた。
「ヒーロは強いぞ。少なくともこの中の誰よりも」
「そうなんですか?」
「そんなことないヨー」
照れ笑いなのか、よく分からない顔を浮かべて、尋は否定する。
「デルタやシールすら撃破した女が、何をいうか」
「あれはきっと向こうの体調が良くなっかたダケネー」
「ほかにもあるぞ」
「聞こえない聞こえないヨー」
「何を遊んでいるの? 練習を始めますわよ」
装備を整えた珠希が、ライフルの肩当てで尋の背中を小突いた。ごつんと堅い音がした。
「Ouch! たまチャンのが強いネー!」
「喧嘩売ってるの? それともただの嫌味かしら。練習を始めますわよ。整列しなさい」
珠希たちの号令で、グランドに適当に並ぶ。
「それじゃあ、まず、50ヤードから」
「50ヤード?」
初めて聞いた言葉に、首をかしげる音羽。どこかの雑誌で見たような気がするが、それだけだ。内容は全然把握していない。
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