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サバゲーの頂点に立ちたいでしょう?

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「50yardっていうのはデスネー」

 尋が説明しようとしたが、その肩を珠希が掴んで止めた。

「オフ状態のあなたは猿以下なのだから、言うよりも体を動かしなさい」

「Monkey!? ひどいネー!?」

 ひどいなぁ、ひどいなぁとつぶやきながらも、尋はグラウンドに引かれた白い線の前に立った。

 線は横に十人程度が並んで歩けほどの長さがあり、5メートルの等間隔に引かれている。ハードル走のマーキングのようだ。

 しかしゴールのおおよそ50メートル地点には、ゴールラインではなく、人の胴体ほどの大きさのダンボール箱が、机の上に人の胸の高さと同じになるように置かれている。

 尋はゴーグルを装着して、スタートラインに立つ。ライフルを斜め下に向けて、腰を落とす。

 すーと彼女の周囲が凍っていくように、静かになった気がした。

「Are you raedy? ……Standby!」

 珠希が掛け声をかけ、そして突然、ピーという電子音が鳴った。

 その刹那、尋は前に滑った。否、飛んだ。

 爆発でもしたのか、そう疑いたくなる速さで、5メートル先の線まで一瞬で移動。そして立ち止まり射撃。ぼすぼすと箱が音を立てる。着弾したのだ。

 そしてまた爆発のようなダッシュ。停止、攻撃。ダッシュ。

 やっていることはただそれだけ。それでもひとつずつが機械以上に正確で早い。

 半分まで行くと、走りながら射撃。腰を落として、膝を曲げての射撃姿勢。下半身を隠したら、横移動式のエスカレーターに乗っているように見えるほど、尋の上半身は微動だにしない。

 ばすばすばすと、セミオートで一発ずつ、確実に箱の中心3センチメートル以内に全部当てていく。

 ゴールの前の線。そこでぴたりと止まり、周囲をぱし、ぱしっと制動しながら見回して、

「Clear!」

 つぶやいて、姿勢を伸ばした。

「久々だと、ちょっとにぶいネー」

 恥ずかしいなぁと呟いて、顔を赤らめて後頭部をかく尋。

 しかし今の実演を見て、一体どこの何が鈍かったのか、言い当てられるものはいなかった。音羽に至ってはぽかんと、呆けてしまっている。

「Sorryネー。下手だったし、七つ目でちょっと上半身ぶれたし――」

 ――まねなんて、できないよ!?――

 尋の自己反省を聞いて、その場のほとんどが心の中で悲鳴を上げた。

「まぁ、これくらいはできて当然と思ってもらっていいわね。さあ、五人やりますわよ」

 さも当然という顔の珠希。自信のない者の顔が青くなった。
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