神崎 ルナ

神崎 ルナ

18
魔王が勇者に倒れて幾星霜――。 ここサダル王国には平和が訪れていた。 が、ここにきて謎の病が王国を脅かしていた。 聖女の力も及ばず、幻水晶によるとこの病に効くのは、魔界との国境付近にいる女魔族ミスティアが持つ宝の枝を使うしかないとこのことだった。 早速、かつての勇者の孫が中心となりパーティが組まれ、ミスティアの元へ向かうことになる。 だが話を聞いたミスティアは宝の枝を渡すことを拒否する。 『これで皆の病が治るんですっ!! 少しの間でいい、貸してくれませんかっ!?』 『断るっ!!』 戦闘になる勇者の孫一行とミスティア。 ミスティアには彼女なりの事情があった。 (いや何でそんなことになってるのよっ!! これって初恋の勇者への想いを封じ込めた枝なんだから、そんなもの使ったら――) 恋心が国中に吐露されてしまう。 (冗談じゃないっ!!) こうしてかつての魔王VS勇者を思わせる、激しい闘いの火蓋が切って落とされたのだった。
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文字数 9,693 最終更新日 2023.12.25 登録日 2023.12.23
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「ロクサーヌ・クライスト公爵令嬢っ!! 貴様との婚約は今日この時を持って破棄するっ!! そしてこのロッテ・ブラウン男爵令嬢と婚約を結ぶっ!!」 卒業パーティーでのダルロ・エリオット・シーズクリースト第3王子の発言に傍らにいたロッテは慄いた。 (え? まさか本当にそんなことを言うんですのっ!?) いつの間にか肩まで抱かれていたがロッテの胸中は暴風雨だった。 何故って今まさにダルロが憎々し気に睨んだ公爵令嬢の中身は――。 (ごめんなさい。マリーベル) 今日のために身代わりを頼んだ従姉妹なのだ。 そして『ロッテ』と呼ばれている自分は本当は――。 「ああ。こんなに震えて。もう何の心配もないよ」 甘く正に蕩けるような眼差しでこっちを見るダルロは、先ほど怒鳴っていた人物とはほぼ別人。 そこでスチャッ、と公爵令嬢(従姉妹のマリーベル)に向かい、 「これまでロッテはお前に数々の嫌がらせを受けてきたっ!! よって貴様を国外追放とするっ!!」 (は?) 会場内の皆が同じ空気になった。 何故こんなややこしいことになったかと言えば――。 第3王子ダルロの婚約者として王子妃教育を乗り越えてきたロクサーヌだったが、肝心のダルロとの関係は膠着状態だった。 ――会話は弾まない。 ――夜会でも目線が合わない。 ――学園でも一緒にすごしたことがない。 こんなないない尽くしの生活で、この先やっていけるのだろうか。 悩むロクサーヌに転機が訪れた。 とある事件でロクサーヌははダルロに偽名を名乗るハメになり、そこから王家を巻き込んでの一人二役が始まったのだった。 『もし、卒業までにロッテが自分の婚約者のロクサーヌ・クライスト公爵令嬢と気付かぬのであれば婚約を王家の責として解消する』 国王主導で取られたこの処置に意外と反論はなかった。 それほどダルロの態度が悪かったとも見られる。 そして卒業までの約1ヶ月、ロクサーヌは『ロッテ』になることになった。 (まさか、こんなことになるなんて) ※注 作中に出て来る恋愛小説は全て架空のものであり、既存のものとは何の関係もありません。
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文字数 49,642 最終更新日 2023.12.21 登録日 2023.08.13
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バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
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エリーゼ・マラカイト伯爵令嬢には幼い頃から決められた婚約者がいる。 カイル・ファサード侯爵子息は人族のエリーゼとは違い、銀色の獣耳を持つ狼の獣人だった。 彼は体が弱いらしく、昔からエリーゼと長い時間一緒にいたためしがない。 エリーゼはそう思っていたのだけれどどうやら本当は違うらしく――。
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文字数 3,687 最終更新日 2023.06.16 登録日 2023.06.16
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「運命の番に出会ったからローズ、君との婚約は解消する」  ローズ・ファラント公爵令嬢は婚約者のエドモンド・ザックランド公爵令息にそう言われて婚約を解消されてしまう。  ローズの居るマトアニア王国は獣人国シュガルトと隣接しているため、数は少ないがそういった可能性はあった。  だが、今回の婚約は幼い頃から決められた政略結婚である。  当然契約違反をしたエドモンド側が違約金を支払うと思われたが――。 「違約金? 何のことだい? お互いのうちどちらかがもし『運命の番』に出会ったら円満に解消すること、って書いてあるじゃないか」  確かにエドモンドの言葉通りその文面はあったが、タイミングが良すぎた。  ここ数年、ザックランド公爵家の領地では不作が続き、ファラント公爵家が援助をしていたのである。  その領地が持ち直したところでこの『運命の番』騒動である。  だが、一応理には適っているため、ローズは婚約解消に応じることとなる。  そして――。  とあることを切っ掛けに、ローズはファラント公爵領の中でもまだ発展途上の領地の領地代理として忙しく日々を送っていた。  そして半年が過ぎようとしていた頃。  拙いところはあるが、少しずつ治める側としての知識や社交術を身に付けつつあったローズの前に一人の獣人が現れた。  その獣人はいきなりローズのことを『お前が運命の番だ』と言ってきて。        ※『運命の番』に関する独自解釈がありますm(__)m
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 オフィーリア・マベウス公爵令嬢は自他共に認める完璧な令嬢である。  婚約者のロメオ王太子も勿論眉目秀麗で二人はお似合いだと周囲は認識していた。 「君は完璧だが、愛することはできない」  ある日、オフィーリアはロメオにそう断言されてしまう。 「何故ですか?」 「俺は真実の愛を見付けたんだ」 「……何とおっしゃいました?」 「だから真実の愛だっ!! 俺はシェリー・ピアーズ男爵令嬢と愛し合っているんだっ!!」 「それでは婚約は解消ですね」  何とかそれだけ言ったオフィーリアに更にロメオが続ける。 「いや、それでは困る。シェリーは男爵令嬢なんだ。大臣達の反対に合うだろう。だから」    ――形だけの王太子妃になってくれないか? ※全9話
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【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。  だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。 「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」  マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。 (そう。そんなに彼女が良かったの)  長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。  何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。 (私は都合のいい道具なの?)  絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。  侍女達が話していたのはここだろうか?  店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。  コッペリアが正直に全て話すと、 「今のあんたにぴったりの物がある」  渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。 「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」  そこで老婆は言葉を切った。 「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」  コッペリアは深く頷いた。  薬を飲んだコッペリアは眠りについた。  そして――。  アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。 「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」 ※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)  (2023.2.3)  ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000 ※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)
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文字数 149,617 最終更新日 2023.03.19 登録日 2023.01.28
 フラン・サンシェルジュ侯爵令嬢は、義妹のローズに『お義姉様だけずるい』と何度も持ち物を取り上げられてきた。  ついにはアール王子との婚約も奪われてしまう。  フランは隣国へと出奔し、生計を立てることに。  一方その頃、アール王子達は――。 『おい、何でこんな簡単な書類整理ができないんだ?』 『お義姉様にできたことなら私にだってできますわ。もうしばらくお待ち下さい』  仕事をフランに押し付けていたため、書類が山のように溜まる王子の執務室では毎日のように言い合いがされていた。 『やはり、フランでないとダメだ』  ローズとの婚約はそのままに、フランをタダ働きさせるつもりのアール王子がフランを探しに行くが既にフランは隣国で新しい生活を手に入れていた。  その頃サンシェルジュ侯爵邸ではーー。 「見つけたぞっ!!」 「なっ、お前はっ!?」  冒険者風の男がローズと継母に迫っていた。
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