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サバゲー大会決勝戦!

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「サシで勝負!」

 喜々とした声を上げて、尋に向けて二発。走るアルファの横をかすめ、牽制でふたりで二発ずつ。

「あっハ! ダメダメ! 遅いよ!」

 当然二発とも避けて、走り続ける。

 距離を縮められれば、その分不利になる。拳銃とライフルでは、取り回しの範囲が違うのだ。

 アルファは対角線を、つねに一定の距離を保って攻撃を続ける。

 ――すごい――

 アキラは猛然と走りながらも、上半身は微動だにしない。走る砲台とでも云えるほどに、正確な攻撃を繰り返す。

 一方アルファは、あたかもバレエでも舞うように、優雅で上品。しかし急所を突きつつ、呼吸がぴたりと合い、互
いに守りあっている。完璧な戦闘態勢。

 両者共に全力で森の中を駆ける。互いの攻撃を回避するために、横に走りつつ動く相手を撃つ。

 二発。状態をひねり避ける。

 二発。伏せて避け、バディが反撃。

 二発、撃てない。

 五秒目の出来事。

「ヒット、ぉー」

 アキラは両手を上げて、立ち止まった。

「誘い込まれた感じかー」

 笑って周囲を見渡したアキラは、自分の置かれた状況に納得した。

 すぐ後ろに、音羽たちクイーンの建物。落ち着いて狙えば、絶対に当たるほど近く。

 尋との攻防に、夢中になりすぎていた彼女は、他の敵を見誤っていた。

 フーの距離をとりながらも、着弾が等間隔になるように計った攻撃。

 尋のわざと自分に注目させる、派手な挙動。

 ぎりぎりまで待ち構えた、音羽の決定打。

「次が来るぞ!」

 撤収するアキラたちのすぐ脇、さらに別の集団が少しずつ前に出てきていた。

「十人出てきた。弾幕で近寄せないつもりだろうな」

 ふんふんと状況を分析しているフー。

 直後、猛烈な弾幕がクイーンを凪いだ。

「ヒット!」

「ヒットぉ」

 幸と百合がヒット。慌てて音羽が動こうとしたが、それをフーが止める。

「今は行くな」

「でも……」

 その直後にもう一度、弾幕が襲った。今被弾したふたりに、もう一度弾が当たる。

「こうなる」

 ぐっとこらえ、やり過ごす。

 ジャックとは塔をはさんだ場所に集まる。

「オフェンスチーム。そっちは?」

『デルタがやられたわ。それ以外は無事』

 損耗は予想以上だった。

 一秒間の敵の大火力弾幕。身を極限まで低くして、耐える。

『反撃、どう出る?』

「フーが、出よう」

『その間に突っ込むわ』

 状況を整える。屋上ではフーが狙撃のため、ジャックから死角になる塔の裏、その背後に音羽。一階では残りの全員が用意。

『サッキーとしおチャンは少し遅れて来てクダサイネー。中堅任せたネー』

『でも……』

 さきは自分の狙撃銃M700をぎゅうと握り、何か言いかけ、

『元ライフル射撃選手ネー。落ち着いてけば、絶対大丈夫ヨー!』

 励ますが、彼女の危惧する場所はそこではない。

『汚名は、拭うものよ。新しい名誉でね』

 去年の大会で、珠希は尋を撃てなんて命令はしていない。左の暴走だ。

 前に出て、いつも名誉と、珠希の賛辞を受けている尋が、少しだけ気に食わなかった。

 魔が差したなんていえば聞こえはいい。

 それでも、やってしまったのは、左自身の心の弱さだ。そしてその弱さが、チームの敗退と、分解へと繋がっていった。

『絶対、顔出させませんから』

 二度と自分に負けない。己の決意と共に、愛銃を握り締めた。
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