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第三話 バンクエットオブレジェンズ⑩
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『ジーク君正面から戦っちゃ駄目だッ!! 幾ら君でもレベル差が2もある敵、しかもレベル10のウォーリアクラスは相手がわるッ……』
ダッ ズオ“オ”オ“オ”オ“オ”ンッ!!
モッチーナの警告が吐ききられるより早く仮面の敵プレイヤーは地を蹴り、瞳に正しく瞬間移動の如く映る速度でジークを間合いに入れた。
そしてほぼ直感のみで回避したジークの額を横凪に振られた長剣の切っ先が薄く引き裂いていく。
「………ッ」
全く見切れていなかった。又も唯の豪運に助けられ命を繋いだ。
それを自分に教えてくれる背筋の悪寒に、背後へ飛び距離を作ったジークは引き攣った笑みを浮かべる。
(戦うなって言われてもこの速度……背中を向けるどころか焦点をあいつから外した瞬間やられる)
戦うしかない、そうジークはあくまで理性的判断であるかの様に内心で呟いた。
しかしその判断を彼が下した最も大きな要因に、この強敵と戦える機会を逃したくないという恐ろしく煩悩的な思考が存在していた事は言うまでもないだろう。
ジークはたった一太刀見ただけでヒシヒシと感じた自分と敵の間に存在するパワーとスピードの溝に、馬鹿正直な真っ向勝負では勝ち目がないと悟る。
其処で重心を中央に据えて低く落とし、敵の出方を眼光鋭くした瞳で伺った。
どんな極小の隙だろうと刃を潜り込ませ突破口をこじ開けてやる、そう己の積み重ねてきた経験という自信と共に剣を正中線に沿わせ構えたのだ。
ッダアン
しかし、そんな彼の全神経を傾けた視界の中で仮面の騎士は忽然と鋭音を残し消えた。
隙どころか敵が踏み込んだ事さえ認識できないまま、気が付くと3人目の命を求める血塗られた刃がジークの眉間へと振り下ろされていたのである。
「…ッ!!」
だが、そこで容易く脳天を二つに割らせてやる程ジークは素直な男ではない。
もう此処までくれば第六感の域である反応速度でその振り下ろされた斬撃に対応、長剣と眉間の間に己が剣を割り込ませ防御の形を作る。
そして、その竜の血を吸った聖剣と人の血を吸った魔剣が交錯した。
ガァギイイイイイイインッ!!
しかし刃と刃が触れ合った瞬間、ジークの全身を頭頂からつま先まで宛ら落雷でも受けたかの様な衝撃が突き抜けた。そしてその衝撃が痺れへと転じ全身の筋肉を強張らせる。
(嘘だろッ!? たった一太刀受けただけで…身体が………動かなく………………)
ジークは何とか敵の攻撃を受け止め、即次撃への備えに移ろうとする。
だが、身体が動かない。まるで周囲を漂う空気がコンクリートの如く固まってしまったかの様に、一部も彼の意志が付け入る隙が無い程の強制力で身体が縛られていた。
何が起った、何も出来ない、訳が分からない、そんな絶望的な言葉だけが脳内を埋めていくジークの前で仮面の騎士はトドメの第三撃を振りかぶる。
(動けッ! 動けッ! 動けッ! クソッ、このままじゃやられちまう!!)
線を断たれたかの如く指示が届かなく成った身体へとジークは無意味にも胸中で叫び続けた。
硬直が解け再び動ける様に成るのが先か、将又敵の剣が振り抜かれるのが先か。その勝負を前に黙って運命の指し示すがまま従うという選択肢など彼の中には存在しなかったのである。
勝負事、特にゲームに関する事であれば例え四肢を捥がれようと牙だけで喰らい付く。コード・ジークとはそういうプレイヤーの名であった。
(動けッ!! 動けッ!! 動けッ!! 動けッ!! 動けッ!! 動けええええッ!!)
ズバア”ア”ア”ンッ………………
ダッ ズオ“オ”オ“オ”オ“オ”ンッ!!
モッチーナの警告が吐ききられるより早く仮面の敵プレイヤーは地を蹴り、瞳に正しく瞬間移動の如く映る速度でジークを間合いに入れた。
そしてほぼ直感のみで回避したジークの額を横凪に振られた長剣の切っ先が薄く引き裂いていく。
「………ッ」
全く見切れていなかった。又も唯の豪運に助けられ命を繋いだ。
それを自分に教えてくれる背筋の悪寒に、背後へ飛び距離を作ったジークは引き攣った笑みを浮かべる。
(戦うなって言われてもこの速度……背中を向けるどころか焦点をあいつから外した瞬間やられる)
戦うしかない、そうジークはあくまで理性的判断であるかの様に内心で呟いた。
しかしその判断を彼が下した最も大きな要因に、この強敵と戦える機会を逃したくないという恐ろしく煩悩的な思考が存在していた事は言うまでもないだろう。
ジークはたった一太刀見ただけでヒシヒシと感じた自分と敵の間に存在するパワーとスピードの溝に、馬鹿正直な真っ向勝負では勝ち目がないと悟る。
其処で重心を中央に据えて低く落とし、敵の出方を眼光鋭くした瞳で伺った。
どんな極小の隙だろうと刃を潜り込ませ突破口をこじ開けてやる、そう己の積み重ねてきた経験という自信と共に剣を正中線に沿わせ構えたのだ。
ッダアン
しかし、そんな彼の全神経を傾けた視界の中で仮面の騎士は忽然と鋭音を残し消えた。
隙どころか敵が踏み込んだ事さえ認識できないまま、気が付くと3人目の命を求める血塗られた刃がジークの眉間へと振り下ろされていたのである。
「…ッ!!」
だが、そこで容易く脳天を二つに割らせてやる程ジークは素直な男ではない。
もう此処までくれば第六感の域である反応速度でその振り下ろされた斬撃に対応、長剣と眉間の間に己が剣を割り込ませ防御の形を作る。
そして、その竜の血を吸った聖剣と人の血を吸った魔剣が交錯した。
ガァギイイイイイイインッ!!
しかし刃と刃が触れ合った瞬間、ジークの全身を頭頂からつま先まで宛ら落雷でも受けたかの様な衝撃が突き抜けた。そしてその衝撃が痺れへと転じ全身の筋肉を強張らせる。
(嘘だろッ!? たった一太刀受けただけで…身体が………動かなく………………)
ジークは何とか敵の攻撃を受け止め、即次撃への備えに移ろうとする。
だが、身体が動かない。まるで周囲を漂う空気がコンクリートの如く固まってしまったかの様に、一部も彼の意志が付け入る隙が無い程の強制力で身体が縛られていた。
何が起った、何も出来ない、訳が分からない、そんな絶望的な言葉だけが脳内を埋めていくジークの前で仮面の騎士はトドメの第三撃を振りかぶる。
(動けッ! 動けッ! 動けッ! クソッ、このままじゃやられちまう!!)
線を断たれたかの如く指示が届かなく成った身体へとジークは無意味にも胸中で叫び続けた。
硬直が解け再び動ける様に成るのが先か、将又敵の剣が振り抜かれるのが先か。その勝負を前に黙って運命の指し示すがまま従うという選択肢など彼の中には存在しなかったのである。
勝負事、特にゲームに関する事であれば例え四肢を捥がれようと牙だけで喰らい付く。コード・ジークとはそういうプレイヤーの名であった。
(動けッ!! 動けッ!! 動けッ!! 動けッ!! 動けッ!! 動けええええッ!!)
ズバア”ア”ア”ンッ………………
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