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第一話 ヒーローとヴィラン②
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「ハアーハッハッハア!! レディース・アンド・ジェントルメェーンッ!! 最高にイカしてイカれた夜へようこそ。我が輩の名はプロフェッサーディック。今宵の主役であり正義の天敵、悪の代名詞、全ての犯罪の頂点に立つ男ッ!!」
全世界のテレビ画面に彼の存在が映し出される。その男プロフェッサーディックはピエロの仮面を付け、真っ黒なスーツの上をアメーバ状の何かが這いずっているという何とも生理的嫌悪感を煽る姿をしていた。
その余に異様な姿と堂々とした立ち振る舞いに周囲を取り囲んでいる警官達までもが呑まれ、口をポカンと開けたまま空を見上げ事しか出来ていない。
「皆既に知っているとは思うが、今宵はこの巨像を破壊する為に参上した。この街、ニューディエゴとは我が輩の庭である。この街の人間は皆我が輩の為に働き、この街で生まれた金は全て我が輩に盗まれる為に存在し、この街の食べ物は一つ残らず我が輩の胃の中へ入るべきだ。皆そう思うであろう?」
ディックは傲慢という表現ですら生ぬるい言葉を宣い、人々に耳を貸す様な素振りを見せたが同時にスピーカーの音量を上げブーイングの声を掻き消す。そして全人類を嘲笑するかの様に腹を抱えて爆笑した。
その一挙手一投足全てが市民達の神経を逆撫でする。
「肯定感謝する。だがしかし、踏ん反り返っているだけでは宜しくない。我が輩が唯椅子に座っているだけでも皆は泣いて感動するだろうが、多少は下々の者達のために汗を流すのもやぶさかでは無い。そこで街の為のボランティアとして、この公然猥褻物の撤去を行う事を決定したのだッ!!」
そう発狂しながらディックは目の前の巨像を指差した。
「自らの庭に巨大な野糞が落ちていて我慢出来る人間など何処に居ようか。この金色の髪、白い肌、青い瞳、全てが目障りだ。視界に入る度に奴を思い出して虫唾が走る。しかもこの何の役にも立たないデカ物が差別是正の象徴として多額の税金を投じ造られたという事実には怒りを通り越し、最早呆れて物も言えない。こんなガラクタを造る位ならいっそ市議会議員の皆様で仲良く海外視察で観光名所を飲み歩きでもしてくれた方が幾分かマシだっただろうよ。おっと、それはもうやっているか……まあ良い、兎に角ワシは独断でこの『愛と祝福の像』を木っ端微塵にする事を決定したのだッ!!」
ディックの言葉に呼応する様に彼の乗る飛行物体の前面がまるで飢えた猛獣が牙を剥いたかの如くにガバリと開き、其処に隠されていたミサイルが露見する。
「この像が真に愛情と祝福を与えてくれるというのなら、例え炎熱と爆煙だろうともそのいと慈悲深き懐で受け入れてくれるだろう。ワシがこのミサイルでもって、その露骨なプロパガンダを芸術作品の域まで高めてやろうではないか。醜ければ醜い程それが破壊される瞬間は美しく光輝く、せめて派手に燃えて街頭を照らす薪となるが良いッ!!」
その言葉と共にミサイルは発射され、一筋の光りが一直線に巨像へと吸込まれる。そしてほんの一瞬のラグを挟み、暗闇が閃光と轟音と共に弾けた。
衝撃波が大気を震わせ、振動は地面を伝い人々の足まで届く。
その光景を見た人々の反応は千差万別。恐怖に悲鳴を上げる者、轟音に耳を塞ぐ者、露骨なテロ行為に対する怒りで震える者、そして偶々通りかかった電気屋のテレビに映るその光景を見て密かにガッツポーズを作る者など様々であった。
爆音の残響いまだ残る中、燃え盛る像が放つオレンジ色の光りに照らし出されたピエロは壊れた玩具の様な耳障りで病的な笑い声を上げる。
それは地獄の一丁目が如き光景。法にも、倫理にも、道徳にも縛られぬピエロが火の上で踊る様に身をくねらせている様は余に終末的で、人々の心をジワジワと言いようのない焦燥が埋めていく。
一人の少女がその宝石に瓜二つな青い瞳に炎色で染まった空を映していた。上等そうなピンクの服を着て、つい先程父親に買って貰った人形を命綱か何かの様に握り締めている。
そして遂に、その真っ白な肌の中で一際目立つ赤い唇の隙間からあの言葉が零れ出た。
「助けて、ヒーロー……」
彼女の唇の隙間から漏れた言葉は世界に染み込み、確かにその存在へと届いた。燃え盛る像より立ち上る黒煙によって覆われた空を蒼白色の閃光が切り裂く、そしてその光を号令として至る所からそれまでの絶望的な空気感を塗り替える歓声が沸き起こったのである。
もう人々の中に不安を抱く者はいない。それは勝利の約束、とうの昔に決まっていた結末への片道切符。
「ああ勿論だ。私がこの世界に居る限りッ誰にも苦しい思いはさせない、誰にも涙は流させない!! そう我の名はッ」
「「「「「「ルネフォンスッ、ハルトマァァァンッ!!!!!」」」」」」
燃え盛る炎の爆ぜる音、スピーカーから放たれる大音量の音楽、全てを嘲笑うが如きピエロの笑い声、それらに対する市民のカウンターの様に高らかとその名は掲げられた。
その声に引き寄せられ蒼白色の光は急降下し、宿敵の正面へと立ち塞がる。
「ハハアッ! のこのこと出てきたなハルトマン、自分の像を壊されて怒ったのかい?」
ディックは目の前に降ってきた存在。金色の髪、白い肌、青い瞳の男をおちょくる様な口調で言った。
「あの像は私の像ではない、我々市民の像だ。君は100万を超える人間の平和への祈りを踏みにじった。その罪は償って貰うぞ、ディック」
ハルトマンはディックの拡声器で増幅された声に己の声帯のみで対抗し、其れ処か凌駕した。その一言一言、吐く息一つにも人々は熱狂して歓声を上げる。
街に存在する全ての人間が一点を見上げ、全身全霊でその存在を賛美した。数万人の人間が一つの生命体を構成する細胞であるかの様に繋がり、ハルトマンを中心に凄まじいエネルギーを生み出している。街全体の感情が唯一色に塗り潰されていく。
それは先程ディックが巨像を爆破した瞬間よりもよっぽど異様な光景。
その希望に満ちた顔が、力に溢れた声が気に入らんと言わんばかりにディックは全身を掻きむしる。そして苛立ちを隠す気もなく剥き出しながら叫んだ。
「やれるものならやってみろ!! 我が輩がいる限り平和など訪れない。貴様らの下らぬ綺麗事など、このプロフェッサーディックがねじ伏せてくれるッ。今日こそ決着を付けるぞ、ヒーロォォォォッ!!」
ディックはその言葉が切れるや否や腰に付けていたレーザー銃を抜き去り、引き金を引いた。そして七色の閃光がヒーローの頭部を貫いたのである。
全世界のテレビ画面に彼の存在が映し出される。その男プロフェッサーディックはピエロの仮面を付け、真っ黒なスーツの上をアメーバ状の何かが這いずっているという何とも生理的嫌悪感を煽る姿をしていた。
その余に異様な姿と堂々とした立ち振る舞いに周囲を取り囲んでいる警官達までもが呑まれ、口をポカンと開けたまま空を見上げ事しか出来ていない。
「皆既に知っているとは思うが、今宵はこの巨像を破壊する為に参上した。この街、ニューディエゴとは我が輩の庭である。この街の人間は皆我が輩の為に働き、この街で生まれた金は全て我が輩に盗まれる為に存在し、この街の食べ物は一つ残らず我が輩の胃の中へ入るべきだ。皆そう思うであろう?」
ディックは傲慢という表現ですら生ぬるい言葉を宣い、人々に耳を貸す様な素振りを見せたが同時にスピーカーの音量を上げブーイングの声を掻き消す。そして全人類を嘲笑するかの様に腹を抱えて爆笑した。
その一挙手一投足全てが市民達の神経を逆撫でする。
「肯定感謝する。だがしかし、踏ん反り返っているだけでは宜しくない。我が輩が唯椅子に座っているだけでも皆は泣いて感動するだろうが、多少は下々の者達のために汗を流すのもやぶさかでは無い。そこで街の為のボランティアとして、この公然猥褻物の撤去を行う事を決定したのだッ!!」
そう発狂しながらディックは目の前の巨像を指差した。
「自らの庭に巨大な野糞が落ちていて我慢出来る人間など何処に居ようか。この金色の髪、白い肌、青い瞳、全てが目障りだ。視界に入る度に奴を思い出して虫唾が走る。しかもこの何の役にも立たないデカ物が差別是正の象徴として多額の税金を投じ造られたという事実には怒りを通り越し、最早呆れて物も言えない。こんなガラクタを造る位ならいっそ市議会議員の皆様で仲良く海外視察で観光名所を飲み歩きでもしてくれた方が幾分かマシだっただろうよ。おっと、それはもうやっているか……まあ良い、兎に角ワシは独断でこの『愛と祝福の像』を木っ端微塵にする事を決定したのだッ!!」
ディックの言葉に呼応する様に彼の乗る飛行物体の前面がまるで飢えた猛獣が牙を剥いたかの如くにガバリと開き、其処に隠されていたミサイルが露見する。
「この像が真に愛情と祝福を与えてくれるというのなら、例え炎熱と爆煙だろうともそのいと慈悲深き懐で受け入れてくれるだろう。ワシがこのミサイルでもって、その露骨なプロパガンダを芸術作品の域まで高めてやろうではないか。醜ければ醜い程それが破壊される瞬間は美しく光輝く、せめて派手に燃えて街頭を照らす薪となるが良いッ!!」
その言葉と共にミサイルは発射され、一筋の光りが一直線に巨像へと吸込まれる。そしてほんの一瞬のラグを挟み、暗闇が閃光と轟音と共に弾けた。
衝撃波が大気を震わせ、振動は地面を伝い人々の足まで届く。
その光景を見た人々の反応は千差万別。恐怖に悲鳴を上げる者、轟音に耳を塞ぐ者、露骨なテロ行為に対する怒りで震える者、そして偶々通りかかった電気屋のテレビに映るその光景を見て密かにガッツポーズを作る者など様々であった。
爆音の残響いまだ残る中、燃え盛る像が放つオレンジ色の光りに照らし出されたピエロは壊れた玩具の様な耳障りで病的な笑い声を上げる。
それは地獄の一丁目が如き光景。法にも、倫理にも、道徳にも縛られぬピエロが火の上で踊る様に身をくねらせている様は余に終末的で、人々の心をジワジワと言いようのない焦燥が埋めていく。
一人の少女がその宝石に瓜二つな青い瞳に炎色で染まった空を映していた。上等そうなピンクの服を着て、つい先程父親に買って貰った人形を命綱か何かの様に握り締めている。
そして遂に、その真っ白な肌の中で一際目立つ赤い唇の隙間からあの言葉が零れ出た。
「助けて、ヒーロー……」
彼女の唇の隙間から漏れた言葉は世界に染み込み、確かにその存在へと届いた。燃え盛る像より立ち上る黒煙によって覆われた空を蒼白色の閃光が切り裂く、そしてその光を号令として至る所からそれまでの絶望的な空気感を塗り替える歓声が沸き起こったのである。
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「ああ勿論だ。私がこの世界に居る限りッ誰にも苦しい思いはさせない、誰にも涙は流させない!! そう我の名はッ」
「「「「「「ルネフォンスッ、ハルトマァァァンッ!!!!!」」」」」」
燃え盛る炎の爆ぜる音、スピーカーから放たれる大音量の音楽、全てを嘲笑うが如きピエロの笑い声、それらに対する市民のカウンターの様に高らかとその名は掲げられた。
その声に引き寄せられ蒼白色の光は急降下し、宿敵の正面へと立ち塞がる。
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ディックは目の前に降ってきた存在。金色の髪、白い肌、青い瞳の男をおちょくる様な口調で言った。
「あの像は私の像ではない、我々市民の像だ。君は100万を超える人間の平和への祈りを踏みにじった。その罪は償って貰うぞ、ディック」
ハルトマンはディックの拡声器で増幅された声に己の声帯のみで対抗し、其れ処か凌駕した。その一言一言、吐く息一つにも人々は熱狂して歓声を上げる。
街に存在する全ての人間が一点を見上げ、全身全霊でその存在を賛美した。数万人の人間が一つの生命体を構成する細胞であるかの様に繋がり、ハルトマンを中心に凄まじいエネルギーを生み出している。街全体の感情が唯一色に塗り潰されていく。
それは先程ディックが巨像を爆破した瞬間よりもよっぽど異様な光景。
その希望に満ちた顔が、力に溢れた声が気に入らんと言わんばかりにディックは全身を掻きむしる。そして苛立ちを隠す気もなく剥き出しながら叫んだ。
「やれるものならやってみろ!! 我が輩がいる限り平和など訪れない。貴様らの下らぬ綺麗事など、このプロフェッサーディックがねじ伏せてくれるッ。今日こそ決着を付けるぞ、ヒーロォォォォッ!!」
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