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第一話 ヒーローとヴィラン③
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「キャアアアアアアアアアッ!!」
ディックの放った光線がハルトマンのシルエットを貫いた瞬間地上から甲高い悲鳴が上がる。
しかしそれは直ぐに歓声へと変わった。数百メートル離れていても凄まじい速さとだと分かる蒼白色の光が天へと昇っていくのをテレビカメラが捉えたのである。
ディックが打ち抜いたのはハルトマンの残像であり、本体は攻撃を予測し引き金が引かれた時既に遙か上空へと飛び去っていたのだ。
「チッ、相変わらず獣染みた危機感知能力だな。まあ良い、これで終わっても味気ない……おいニカッ! 聞こえるか!!」
ディックは遠ざかっていく光を忌々しそうな口調、しかし僅かに吊り上がった口元と共に眺めた。そして自らの背中にくっ付いている小さめのリュックサックの様なPCへと声を掛ける。
するとPCが人間と見分けの付かない声で返答をよこした。
『何、パパ? 大体何が言いたいのかは分かってるけど』
「その予測通りだ。もう燃料も重力も勘定に入れる必要は無い、全速力で急上昇ッ! ボードの制御は全てお前に任せる!!」
『了解。全セーフティーを解除、パパ舌噛まないでよねッ!』
そのPCから声がするや否やボードの下部が突如爆発。ディックの乗る飛行物体は飛行というより殆ど吹飛ばされていると言った方が正しい様子で高度を上げていく。だが次第に爆発によって放出された炎は青く細く纏まっていき、安定した推進力へと変化していった。
ものの二秒で音速を超え、生身であれば間違い無く四肢が千切れ飛んでいた程の風圧を受ける。しかしこの日の為に開発した新型パワードスーツの補助に全身を支えられ、留まる事無く速度を上げ続けた。
「見えたッ」
小島の如き巨大積乱雲を突っ切り、発生させたソニックブームにてそれを四散させた先に光が現われた。遂に目標を捉えたのである。
「逃げるなよヒーロー。下らない平和に飽き飽きしてたんだ、一緒に遊ぼうではないか。そんなに急いで……何処へ行こうというのだねッ!!」
自らの発した言葉を追い抜きながらディックは両手に持った光線銃を構え、引き金を引いた。瞬間、光の花が咲く。
武器の名前は『アセビマリウス』、ハルトマンのスピードに対応するため彼が開発した広域攻撃兵器。トリガーを引いたと同時に九十分裂する光線が放たれ、ランダムに屈折しながら夜空を貫く。
両手合わせて計百八十、それが毎秒十発放たれ宙が七色に染まっていった。
「何だ、これは……」
上空から見下ろしたハルトマンの目に飛び込んで来たのは地獄の花園。まるで初めてクレヨンを持った子供が無我夢中で重ね書きしたかの様な無数の色で出来た光の網が迫ってきていた。
人生で驚いた事等片手で数える程しかない彼も流石に思考停止する。しかし光に待てが通じる筈が無く、遂に第一陣が到来した。
「グッ……………!!」
通り過ぎた光線が頬の皮を弾き飛ばし、この攻撃が十二分に彼の肉体を害せるだけの破壊力を秘めている事を言葉無く物語る。一発掠っただけでこの威力、今迫ってきている何万という光で構成された極彩色の網に呑み込まれれば皮所か骨の髄まで焼き尽くされてしまうだろう。だがしかし、攻撃範囲が広過ぎて回避は不可能。
だとするともう全身全霊で防御に徹するしかない。ハルトマンは両手を顔の前にクロスして、意識を心臓へと潜り込ませていく。するとまるで大河の水源が如くに止めどなくエネルギーが溢れだし、彼の身体を包んでいった。超高エネルギーの壁、プラズマシールドの出現である。
そして遂に光の本陣が到来。幾万という殺人光線が彼の身体を抱擁した。
ディックの放った光線がハルトマンのシルエットを貫いた瞬間地上から甲高い悲鳴が上がる。
しかしそれは直ぐに歓声へと変わった。数百メートル離れていても凄まじい速さとだと分かる蒼白色の光が天へと昇っていくのをテレビカメラが捉えたのである。
ディックが打ち抜いたのはハルトマンの残像であり、本体は攻撃を予測し引き金が引かれた時既に遙か上空へと飛び去っていたのだ。
「チッ、相変わらず獣染みた危機感知能力だな。まあ良い、これで終わっても味気ない……おいニカッ! 聞こえるか!!」
ディックは遠ざかっていく光を忌々しそうな口調、しかし僅かに吊り上がった口元と共に眺めた。そして自らの背中にくっ付いている小さめのリュックサックの様なPCへと声を掛ける。
するとPCが人間と見分けの付かない声で返答をよこした。
『何、パパ? 大体何が言いたいのかは分かってるけど』
「その予測通りだ。もう燃料も重力も勘定に入れる必要は無い、全速力で急上昇ッ! ボードの制御は全てお前に任せる!!」
『了解。全セーフティーを解除、パパ舌噛まないでよねッ!』
そのPCから声がするや否やボードの下部が突如爆発。ディックの乗る飛行物体は飛行というより殆ど吹飛ばされていると言った方が正しい様子で高度を上げていく。だが次第に爆発によって放出された炎は青く細く纏まっていき、安定した推進力へと変化していった。
ものの二秒で音速を超え、生身であれば間違い無く四肢が千切れ飛んでいた程の風圧を受ける。しかしこの日の為に開発した新型パワードスーツの補助に全身を支えられ、留まる事無く速度を上げ続けた。
「見えたッ」
小島の如き巨大積乱雲を突っ切り、発生させたソニックブームにてそれを四散させた先に光が現われた。遂に目標を捉えたのである。
「逃げるなよヒーロー。下らない平和に飽き飽きしてたんだ、一緒に遊ぼうではないか。そんなに急いで……何処へ行こうというのだねッ!!」
自らの発した言葉を追い抜きながらディックは両手に持った光線銃を構え、引き金を引いた。瞬間、光の花が咲く。
武器の名前は『アセビマリウス』、ハルトマンのスピードに対応するため彼が開発した広域攻撃兵器。トリガーを引いたと同時に九十分裂する光線が放たれ、ランダムに屈折しながら夜空を貫く。
両手合わせて計百八十、それが毎秒十発放たれ宙が七色に染まっていった。
「何だ、これは……」
上空から見下ろしたハルトマンの目に飛び込んで来たのは地獄の花園。まるで初めてクレヨンを持った子供が無我夢中で重ね書きしたかの様な無数の色で出来た光の網が迫ってきていた。
人生で驚いた事等片手で数える程しかない彼も流石に思考停止する。しかし光に待てが通じる筈が無く、遂に第一陣が到来した。
「グッ……………!!」
通り過ぎた光線が頬の皮を弾き飛ばし、この攻撃が十二分に彼の肉体を害せるだけの破壊力を秘めている事を言葉無く物語る。一発掠っただけでこの威力、今迫ってきている何万という光で構成された極彩色の網に呑み込まれれば皮所か骨の髄まで焼き尽くされてしまうだろう。だがしかし、攻撃範囲が広過ぎて回避は不可能。
だとするともう全身全霊で防御に徹するしかない。ハルトマンは両手を顔の前にクロスして、意識を心臓へと潜り込ませていく。するとまるで大河の水源が如くに止めどなくエネルギーが溢れだし、彼の身体を包んでいった。超高エネルギーの壁、プラズマシールドの出現である。
そして遂に光の本陣が到来。幾万という殺人光線が彼の身体を抱擁した。
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