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第五話 奇妙な家族①
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「ハアッ、ハアッ、ハア………マジッで死ぬかと思ったわ!! 4,5回は走馬灯見たで、何やこのポンコツゥッ!!」
出発から一時間後、何とか目的地に到着した二人であったが、揃ってその顔は真っ青になっていた。原因は警察の追跡、ではない。何度か歩道を歩いている警官や警察車両とすれ違ったが流石に光学を応用したディックの変装がバレる事は無かった。
では何故彼らがこれ程九死に一生という顔をしているかと言うと、その原因は乗り物にあった。
フートがバイクだと言い張るゴミの固まりは冗談抜きで曲がり角を曲がる度にパーツがボロボロと取れていくのである。その結果出発時には大型バイクほどの大きさがあったにも関わらず、今は安物の原付以下の大きさまで縮んでいた。
しかも問題はそれだけでは無い。廃品の溝なんて存在しないタイヤを使っている為ブレーキの効きは絶望的、エンジンが悪いのか燃料が悪いのか最早分からないが急加速急減速があって速度が不安定、ブレーキレバーを引いても一定確率でブレーキが掛らないまるでロシアンルーレット。
逆に良く此処まで死なずに辿り付けたと自分の運を褒めたい位であった。
「けッ、結構スリリングで楽しかったですね。でもこれちょくちょくパーツは取れますけど、1度も本格的に壊れた事無いんで大丈夫ですよ。何せネジで七十カ所以上留めて……」
カッ、……ガッシャアアン!!
フートが見苦しく自己弁護を吐き駐輪スタンドを立てた瞬間、ポンコツが音を立てて崩れた。僅かに遅れて折り重なった金属の中から無数のネジが飛び出し地面を転がっていく。
バイクの様なポンコツは、鉄屑の山へと進化を遂げた。
「……やっぱり、お前を弟子に取るっていう話は無しでッ」
「偶々ですッ!! 偶々偶然今この瞬間にバイクが寿命を迎えてしまったみたいです!! いや~諸行無常って奴ですね。僕達も限られた時間を大切にしなきゃ! さあこうしてる時間も勿体ない、急いで秘密基地へと向かいましょうッ!!」
「もう着いとるで」
「へぇ?」
瓦礫の山から目を逸らす為腕を引っ張ってきたフートにディックが言う。
その言葉を受けてフートは直ぐに周囲を見渡すが、何処にもそれらしき建物は存在しない。360度有り触れた住宅街が続くだけ。
するとそんなフートを見かねて、ディックが真っ直ぐに一つの家を指差した。
「これ、ですか?」
「そうや。何か問題あるか?」
それは何の変哲も無い一軒家であった。悪の巨大ロボットどころか小さな庭すらない、とても悪の科学者プロフェッサーディックの秘密基地には見えない建物。
「いやッ別に何も問題はないんですけど、もっと派手なのを想像してたんで。なんというか……あんま凄くないですね。なんかこう、巨大なパラボラアンテナとかミサイルの発射台とかがあるイメージだったんですけど」
「はぁ、良く聞け馬鹿フート。んなもん付けとったら目立ちまくりやろうがッ。秘密でも何でも無い、唯の基地や! 一見普通の建物と見分けが付かんから秘密が先頭に付いとるんや!!」
「ああ、確かに。でも小さすぎません?」
「お前…ッ、小さいとか凄くないとか人様の家をボロクソ言いおって。まあ良いわ、何時まで立ち話しとんねん。さっさと中入るでッ!!」
ディックはそう言ってフートを秘密基地の中へと招き入れた。
家の内装は外観から想像していた全くその通り。少し低くなっている玄関には幾つか靴が並んでおり、そこから続く廊下には三つの扉と一枚の絵が掛けられている。そしてその更に奥には階段が見えた。
余りに普通。寧ろ飾り気が無さ過ぎるくらいである。
しかしそう思ったのも束の間、正面奥の階段から異常が飛び出して来た。お掃除ロボットの様な形状の円盤が凄まじいスピードで二階から駆け下りてきたのだ。不思議な事にその円盤は段差でひっくり返る事無く体勢を保ち、一直線に此方へ突っ込んで来る。
ぶつかる、そう思いフートは身構えたがそんな彼を嘲笑うかの如くに円盤は彼の目前で急停止。更にその上部から光が溢れ、何とそれが像を結び美しい女性を映し出したのである。
『もうッ、何処行ってたのよパパ!! ずっと帰って来ないから心配してたのよッ!!』
出発から一時間後、何とか目的地に到着した二人であったが、揃ってその顔は真っ青になっていた。原因は警察の追跡、ではない。何度か歩道を歩いている警官や警察車両とすれ違ったが流石に光学を応用したディックの変装がバレる事は無かった。
では何故彼らがこれ程九死に一生という顔をしているかと言うと、その原因は乗り物にあった。
フートがバイクだと言い張るゴミの固まりは冗談抜きで曲がり角を曲がる度にパーツがボロボロと取れていくのである。その結果出発時には大型バイクほどの大きさがあったにも関わらず、今は安物の原付以下の大きさまで縮んでいた。
しかも問題はそれだけでは無い。廃品の溝なんて存在しないタイヤを使っている為ブレーキの効きは絶望的、エンジンが悪いのか燃料が悪いのか最早分からないが急加速急減速があって速度が不安定、ブレーキレバーを引いても一定確率でブレーキが掛らないまるでロシアンルーレット。
逆に良く此処まで死なずに辿り付けたと自分の運を褒めたい位であった。
「けッ、結構スリリングで楽しかったですね。でもこれちょくちょくパーツは取れますけど、1度も本格的に壊れた事無いんで大丈夫ですよ。何せネジで七十カ所以上留めて……」
カッ、……ガッシャアアン!!
フートが見苦しく自己弁護を吐き駐輪スタンドを立てた瞬間、ポンコツが音を立てて崩れた。僅かに遅れて折り重なった金属の中から無数のネジが飛び出し地面を転がっていく。
バイクの様なポンコツは、鉄屑の山へと進化を遂げた。
「……やっぱり、お前を弟子に取るっていう話は無しでッ」
「偶々ですッ!! 偶々偶然今この瞬間にバイクが寿命を迎えてしまったみたいです!! いや~諸行無常って奴ですね。僕達も限られた時間を大切にしなきゃ! さあこうしてる時間も勿体ない、急いで秘密基地へと向かいましょうッ!!」
「もう着いとるで」
「へぇ?」
瓦礫の山から目を逸らす為腕を引っ張ってきたフートにディックが言う。
その言葉を受けてフートは直ぐに周囲を見渡すが、何処にもそれらしき建物は存在しない。360度有り触れた住宅街が続くだけ。
するとそんなフートを見かねて、ディックが真っ直ぐに一つの家を指差した。
「これ、ですか?」
「そうや。何か問題あるか?」
それは何の変哲も無い一軒家であった。悪の巨大ロボットどころか小さな庭すらない、とても悪の科学者プロフェッサーディックの秘密基地には見えない建物。
「いやッ別に何も問題はないんですけど、もっと派手なのを想像してたんで。なんというか……あんま凄くないですね。なんかこう、巨大なパラボラアンテナとかミサイルの発射台とかがあるイメージだったんですけど」
「はぁ、良く聞け馬鹿フート。んなもん付けとったら目立ちまくりやろうがッ。秘密でも何でも無い、唯の基地や! 一見普通の建物と見分けが付かんから秘密が先頭に付いとるんや!!」
「ああ、確かに。でも小さすぎません?」
「お前…ッ、小さいとか凄くないとか人様の家をボロクソ言いおって。まあ良いわ、何時まで立ち話しとんねん。さっさと中入るでッ!!」
ディックはそう言ってフートを秘密基地の中へと招き入れた。
家の内装は外観から想像していた全くその通り。少し低くなっている玄関には幾つか靴が並んでおり、そこから続く廊下には三つの扉と一枚の絵が掛けられている。そしてその更に奥には階段が見えた。
余りに普通。寧ろ飾り気が無さ過ぎるくらいである。
しかしそう思ったのも束の間、正面奥の階段から異常が飛び出して来た。お掃除ロボットの様な形状の円盤が凄まじいスピードで二階から駆け下りてきたのだ。不思議な事にその円盤は段差でひっくり返る事無く体勢を保ち、一直線に此方へ突っ込んで来る。
ぶつかる、そう思いフートは身構えたがそんな彼を嘲笑うかの如くに円盤は彼の目前で急停止。更にその上部から光が溢れ、何とそれが像を結び美しい女性を映し出したのである。
『もうッ、何処行ってたのよパパ!! ずっと帰って来ないから心配してたのよッ!!』
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