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「実摘、今日仕事の後に2人で食事に行きませんか」
狭間の世界で働き始めて5ヶ月経った頃、数人で休憩している中、サミュエルさんに食事に誘われた。2人でかー。休憩時間以外で2人なんて初めてじゃない?無駄にドキッとしちゃう!
仕事の後どこかで食事なんて初めてだ!!ちょっぴり心が浮き足立つ。この世界には、私のような転生前の人のために用意されている宿泊施設的なものがあり、この5ヶ月間、仕事の後はそこで食事や入浴などをしている。
ちなみにお昼はおやつ付きのお弁当を用意してもらってそれを食べている。飲み物もつく。この世界のレストランには行ったことがないし、施設的なところで用意してもらったもの以外そもそも口にしたことが無かったので、わくわくした。
でもなんか周りの困惑や驚きの混じった視線をめちゃくちゃ感じるんだけど、これってOKしちゃダメなの???
「サ、サミュエルさん、それは」
耐えかねたように1人の金髪美人が、恐る恐る声をかけてきた。なんだか、不安になるぞその様子。微妙な空気だし、残念だけど断ろうと思って口を開きかけた。
「大丈夫ですよ。ね、実摘?行きますよね?」
大丈夫??なにが?それって何か問題があって、でも問題ないですよーって言ってるってことだよね?え?私これOKして本当に平気?そもそも、2人でご飯行くのそんなに問題なの?なんかあるの?
「え、えと、その」
「行きますよね?」
「はい!!!」
目が笑ってない美人こわい!断れない。何この威圧感!
「よかった。じゃあ実摘、仕事が終わったら声をかけるので、待っていてもらえますか?」
「わかりました」
えーーー。なんだろこの空気。ちょっと心配。サミュエルさんもなんだか少し怖いし。ご飯食べるだけだよね?この世界、2人でご飯食べるのに条件とかある感じなのかなぁ。声をかけてきた金髪美人に話を聞こうと思ったが、休憩も終わるし皆席に戻りなさいと上司のサミュエルさんに言われれば、従わないわけにもいかず、悶々としながらも仕事に戻った。
「実摘、お待たせしました。行きましょうか」
「はい」
結局何故か職場の人は皆、仕事が終わると逃げるように帰ってしまい誰にも何も聞けなかった。
「あの、サミュエルさん」
「何ですか?」
思い切って本人に聞いてみようと思い、顔を見上げて声をかけると、なんだか今までで見たことないくらい蕩けそうな笑みを浮かべるサミュエルさんの顔が目に飛び込んだ。やばい、何この顔。美しすぎるし、勘違いしちゃいそう。
「2人でご飯行くのって何か問題とか…」
「あぁ、私が誰かを2人きりの食事に誘うのが初めてだったので、皆も驚いたんじゃないでしょうか」
なにそれ!初めて誘うの?それが私?あと1ヶ月くらいでいなくなるから、もしかして気を使ってくれてる?そう思わないと本気で勘違いしちゃいそう!!
「今日行くところは、私の気に入っている店で個室もあるので気楽に食事できますよ。予約の時間が近いので行きましょうか」
個室?それってお高いお店なのでは??気楽どころか、余計に緊張してきた。私、衣食住全て施設で賄ってもらってて、この世界のお金持ってないけど本当に平気??
「サミュエルさん、私お金は…」
「あぁ、大丈夫ですよ。心配しないで。今日の食事は私が誘ったのですから、勿論私もちです。ーーーそれに大切な記念ですからね」
最後に何かボソッと言ったようだが、聞こえなかった。とりあえず奢りか。なんだか恐縮するが、相手は期間限定のとはいえ上司。甘えておこう。
「ありがとうございます。ご馳走になります」
私がそう返すと、サミュエルさんはにっこり笑って店への案内を始めた。
狭間の世界で働き始めて5ヶ月経った頃、数人で休憩している中、サミュエルさんに食事に誘われた。2人でかー。休憩時間以外で2人なんて初めてじゃない?無駄にドキッとしちゃう!
仕事の後どこかで食事なんて初めてだ!!ちょっぴり心が浮き足立つ。この世界には、私のような転生前の人のために用意されている宿泊施設的なものがあり、この5ヶ月間、仕事の後はそこで食事や入浴などをしている。
ちなみにお昼はおやつ付きのお弁当を用意してもらってそれを食べている。飲み物もつく。この世界のレストランには行ったことがないし、施設的なところで用意してもらったもの以外そもそも口にしたことが無かったので、わくわくした。
でもなんか周りの困惑や驚きの混じった視線をめちゃくちゃ感じるんだけど、これってOKしちゃダメなの???
「サ、サミュエルさん、それは」
耐えかねたように1人の金髪美人が、恐る恐る声をかけてきた。なんだか、不安になるぞその様子。微妙な空気だし、残念だけど断ろうと思って口を開きかけた。
「大丈夫ですよ。ね、実摘?行きますよね?」
大丈夫??なにが?それって何か問題があって、でも問題ないですよーって言ってるってことだよね?え?私これOKして本当に平気?そもそも、2人でご飯行くのそんなに問題なの?なんかあるの?
「え、えと、その」
「行きますよね?」
「はい!!!」
目が笑ってない美人こわい!断れない。何この威圧感!
「よかった。じゃあ実摘、仕事が終わったら声をかけるので、待っていてもらえますか?」
「わかりました」
えーーー。なんだろこの空気。ちょっと心配。サミュエルさんもなんだか少し怖いし。ご飯食べるだけだよね?この世界、2人でご飯食べるのに条件とかある感じなのかなぁ。声をかけてきた金髪美人に話を聞こうと思ったが、休憩も終わるし皆席に戻りなさいと上司のサミュエルさんに言われれば、従わないわけにもいかず、悶々としながらも仕事に戻った。
「実摘、お待たせしました。行きましょうか」
「はい」
結局何故か職場の人は皆、仕事が終わると逃げるように帰ってしまい誰にも何も聞けなかった。
「あの、サミュエルさん」
「何ですか?」
思い切って本人に聞いてみようと思い、顔を見上げて声をかけると、なんだか今までで見たことないくらい蕩けそうな笑みを浮かべるサミュエルさんの顔が目に飛び込んだ。やばい、何この顔。美しすぎるし、勘違いしちゃいそう。
「2人でご飯行くのって何か問題とか…」
「あぁ、私が誰かを2人きりの食事に誘うのが初めてだったので、皆も驚いたんじゃないでしょうか」
なにそれ!初めて誘うの?それが私?あと1ヶ月くらいでいなくなるから、もしかして気を使ってくれてる?そう思わないと本気で勘違いしちゃいそう!!
「今日行くところは、私の気に入っている店で個室もあるので気楽に食事できますよ。予約の時間が近いので行きましょうか」
個室?それってお高いお店なのでは??気楽どころか、余計に緊張してきた。私、衣食住全て施設で賄ってもらってて、この世界のお金持ってないけど本当に平気??
「サミュエルさん、私お金は…」
「あぁ、大丈夫ですよ。心配しないで。今日の食事は私が誘ったのですから、勿論私もちです。ーーーそれに大切な記念ですからね」
最後に何かボソッと言ったようだが、聞こえなかった。とりあえず奢りか。なんだか恐縮するが、相手は期間限定のとはいえ上司。甘えておこう。
「ありがとうございます。ご馳走になります」
私がそう返すと、サミュエルさんはにっこり笑って店への案内を始めた。
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