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本章
10.アリソン・レドブルガは憎んでいる
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side.アリソン
ああ、憎い。
あの女が憎い。
あの、リリー・ロックベルが憎い。
私と同じ子爵令嬢だったのに、私だって愛していたのに。
身分が違う。
だから諦めた。
私は自分の身分をしっかりと弁えていたから。
でも、あの女は違った。
子爵令嬢の身分にも関わらず、当時まだ王太子だった陛下に近づき、誘惑した。
公爵令嬢である婚約者を退けて。
穢らわしい体を使って、誘惑したのだ。
ああ、憎い。
憎くてたまらない。
あの女はまんまと王子妃に収まった。
純粋な公爵令嬢では、あの穢らわしい女に勝てないのは当然だ。
私だって無理だ。
だって生粋の淑女だから。
淫らな体を使うなんて商売女のような行為、そもそも考えつきもしない。
体しか取り柄のない馬鹿女
すぐに王子妃の器でないとみなが知ることになり、早々に側近を募ることになった。
彼女の代わりに、執務をこなせる女性を。
私はチャンスだと思った。
あの人に近づけるチャンスだ。あの女より有能で、王子妃の器があることを示せれば、私にも目を向けてくださるはず。
同じ子爵令嬢なら、私でもいいじゃない。
あの女と違って、私の方があなたに相応しい。
私は頑張った。努力したのだ。そして、あの女の側近に選ばれた。
思った通り、大したことのない執務内容だ。
この程度もできないなんてと、嘲笑しながらも私はひたすら自分の職務に忠実だった。
なのに、あの人は私に目を向けてくれない。
向けてくれないまま、あの人は陛下に、あの女は王妃になった。
そして、二人には子供ができた。
何で?何で私じゃダメなの?同じ子爵令嬢じゃない。
私の方があなたに相応しい。あなたの隣に居るべきは私なのに、何で気付いてくれないの?
何で?
何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?
何でよっ!
ああ、憎い。
憎くてたまらない。
でも、神様は私をまだお見捨てにはならなかった。
「Ω?」
あの女の子供が?
よりにもよって、やっとできた、あの女の子供がΩ
「あっは」
笑える。
罰が下ったのだ。
分不相応にもあの人を望んだ罰が。
本来ならあの人の隣には私がいるべきだった。なのに、その座を奪った。だから神様が罰を下してくださった。
そう、これは天罰なのだ
「姫様、あなたは本来生まれてくるべきではなかったのです」
でも私は優しいから、存在することを許して差し上げます。
子供にはなんの罪もありませんからね。
だけど、あの女の子供だから躾はしっかりしないと。
あの女みたいに、分不相応な望みを抱かないように、私のようなは哀れな被害者を出さないように。
あの女みたいに、罪を犯す前に私が教えてあげるの。私は優しいから。
私は近い将来、あの人の妻に、王妃になるから。
だから教えてあげる。
あなたの存在がどれほど罪深いか。
生まれてきた子供に罪はないからね。
ああ、なんて、私は優しいのだろう。
さすがは王妃になる器を持った女だわ。
私こそが王妃に相応しい。
あの女ではなく、私こそがあなたに相応しいの。
「は?姫様がΩ?私が、姫様と一緒に隣国へ?」
陛下に呼ばれた。
やっと私の価値を分かってくれたのだと。
「私が間違っていた。そなたこそ、私に相応しい妃だ」と、そう言ってくれると思っていた。
だから、呼ばれたのだと思っていた。
なのに、姫様がΩだということを隠してαだと偽り、真実を知る乳母を口封じに殺した罪で私は姫様と一緒に隣国へ追放となった。
今更、姫様をΩだとバラせば王家の恥となるから関係者には箝口令が敷かれたそうだ。
そして姫様は隣国のΩ嫌いで有名な王子にαとして嫁ぐことになった。
実質、追放だ。
どうして私まで?
姫様だけなら分かる。姫様の存在は罪深い。
でも、私は違う。
私は人生の全てをあなたに捧げてきた。
なのに、何で?
「お、王妃様は?王妃様もご存知でしたっ!私は王妃様の指示に従っただけです!」
「妃は何も知らぬ。全ては王女を使って影で王宮内を牛耳ろうとしたそなた一人の画策だ」
あんの、腐れ阿婆擦れ女
自分の罪を全て私に押し付けやがった。
どこまでも性根の腐った屑女が。
どうりで近くを通る度に腐臭がすると思った。
臭くて、臭くてかなわない。
「そなたは以前から私に好意を押し付け、妃の座を狙っていただろう。それに執務態度にも苦情が来ていた。まるで自分が王妃のように振る舞っていると」
だって、私は本当にあなたの妃になる女だもの。
今は、あの女に座を奪われてるし、あなたも騙されてるけど、いつか必ずあなたの目を覚させてあげるつもりで私は今まで努力して来た。
あの、憎い女が生んだ子供だってあなたの子供だからと必死に愛して、躾けてあげたのよ。
「全ては私に嫉妬した誰かが流した虚言です、陛下。騙されないでください」
「そのような世迷い言に耳を貸すほど私は暇ではない。第一、王女の悪評を流しているのもそなただろう。此度のことで全て調べさせてもらった。本来なら極刑ものだが、今までの功績に報い恩赦を与えてやる」
それが隣国への追放だと?
私が何をしたというの?王女の悪評?
あれは全て事実じゃない。事実を話しただけ。
話しを聞いた馬鹿な連中が考えなしに流した結果、王女の悪評が広まっただけ。
私のせいじゃない。
「後継はどうなさるのですか?姫様は陛下、唯一の御子ですよ」
「今はな。だが、次期そうではなくなる」
「は、い?」
それは、つまりあの女の腹に陛下の子供がいるということ?
あの女はまた欠陥品を産む気なの?
陛下の尊き血を穢すだけの罪深い存在を?
どこまでも恥知らずで、どこまでも愚かで、どこまでも分不相応な女
どこまでも私の邪魔をする。私の座を奪っていく。
「荷物をまとめ、明日には隣国に発ってもらう。隣国に着くまではそなたと王女に監視をつけるから逃げることはできない」
陛下は下がれと手で合図をする。それと同時に衛兵がやって来て私の両脇を抱えて引きずるように追い出された。
どうして、こんな酷いことができるの?
私はあなたを愛しているのに。あなたの最愛は私だけなのに。
・・・・・どうして
ああ、憎い。
あの女が憎い。
あの、リリー・ロックベルが憎い。
私と同じ子爵令嬢だったのに、私だって愛していたのに。
身分が違う。
だから諦めた。
私は自分の身分をしっかりと弁えていたから。
でも、あの女は違った。
子爵令嬢の身分にも関わらず、当時まだ王太子だった陛下に近づき、誘惑した。
公爵令嬢である婚約者を退けて。
穢らわしい体を使って、誘惑したのだ。
ああ、憎い。
憎くてたまらない。
あの女はまんまと王子妃に収まった。
純粋な公爵令嬢では、あの穢らわしい女に勝てないのは当然だ。
私だって無理だ。
だって生粋の淑女だから。
淫らな体を使うなんて商売女のような行為、そもそも考えつきもしない。
体しか取り柄のない馬鹿女
すぐに王子妃の器でないとみなが知ることになり、早々に側近を募ることになった。
彼女の代わりに、執務をこなせる女性を。
私はチャンスだと思った。
あの人に近づけるチャンスだ。あの女より有能で、王子妃の器があることを示せれば、私にも目を向けてくださるはず。
同じ子爵令嬢なら、私でもいいじゃない。
あの女と違って、私の方があなたに相応しい。
私は頑張った。努力したのだ。そして、あの女の側近に選ばれた。
思った通り、大したことのない執務内容だ。
この程度もできないなんてと、嘲笑しながらも私はひたすら自分の職務に忠実だった。
なのに、あの人は私に目を向けてくれない。
向けてくれないまま、あの人は陛下に、あの女は王妃になった。
そして、二人には子供ができた。
何で?何で私じゃダメなの?同じ子爵令嬢じゃない。
私の方があなたに相応しい。あなたの隣に居るべきは私なのに、何で気付いてくれないの?
何で?
何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?
何でよっ!
ああ、憎い。
憎くてたまらない。
でも、神様は私をまだお見捨てにはならなかった。
「Ω?」
あの女の子供が?
よりにもよって、やっとできた、あの女の子供がΩ
「あっは」
笑える。
罰が下ったのだ。
分不相応にもあの人を望んだ罰が。
本来ならあの人の隣には私がいるべきだった。なのに、その座を奪った。だから神様が罰を下してくださった。
そう、これは天罰なのだ
「姫様、あなたは本来生まれてくるべきではなかったのです」
でも私は優しいから、存在することを許して差し上げます。
子供にはなんの罪もありませんからね。
だけど、あの女の子供だから躾はしっかりしないと。
あの女みたいに、分不相応な望みを抱かないように、私のようなは哀れな被害者を出さないように。
あの女みたいに、罪を犯す前に私が教えてあげるの。私は優しいから。
私は近い将来、あの人の妻に、王妃になるから。
だから教えてあげる。
あなたの存在がどれほど罪深いか。
生まれてきた子供に罪はないからね。
ああ、なんて、私は優しいのだろう。
さすがは王妃になる器を持った女だわ。
私こそが王妃に相応しい。
あの女ではなく、私こそがあなたに相応しいの。
「は?姫様がΩ?私が、姫様と一緒に隣国へ?」
陛下に呼ばれた。
やっと私の価値を分かってくれたのだと。
「私が間違っていた。そなたこそ、私に相応しい妃だ」と、そう言ってくれると思っていた。
だから、呼ばれたのだと思っていた。
なのに、姫様がΩだということを隠してαだと偽り、真実を知る乳母を口封じに殺した罪で私は姫様と一緒に隣国へ追放となった。
今更、姫様をΩだとバラせば王家の恥となるから関係者には箝口令が敷かれたそうだ。
そして姫様は隣国のΩ嫌いで有名な王子にαとして嫁ぐことになった。
実質、追放だ。
どうして私まで?
姫様だけなら分かる。姫様の存在は罪深い。
でも、私は違う。
私は人生の全てをあなたに捧げてきた。
なのに、何で?
「お、王妃様は?王妃様もご存知でしたっ!私は王妃様の指示に従っただけです!」
「妃は何も知らぬ。全ては王女を使って影で王宮内を牛耳ろうとしたそなた一人の画策だ」
あんの、腐れ阿婆擦れ女
自分の罪を全て私に押し付けやがった。
どこまでも性根の腐った屑女が。
どうりで近くを通る度に腐臭がすると思った。
臭くて、臭くてかなわない。
「そなたは以前から私に好意を押し付け、妃の座を狙っていただろう。それに執務態度にも苦情が来ていた。まるで自分が王妃のように振る舞っていると」
だって、私は本当にあなたの妃になる女だもの。
今は、あの女に座を奪われてるし、あなたも騙されてるけど、いつか必ずあなたの目を覚させてあげるつもりで私は今まで努力して来た。
あの、憎い女が生んだ子供だってあなたの子供だからと必死に愛して、躾けてあげたのよ。
「全ては私に嫉妬した誰かが流した虚言です、陛下。騙されないでください」
「そのような世迷い言に耳を貸すほど私は暇ではない。第一、王女の悪評を流しているのもそなただろう。此度のことで全て調べさせてもらった。本来なら極刑ものだが、今までの功績に報い恩赦を与えてやる」
それが隣国への追放だと?
私が何をしたというの?王女の悪評?
あれは全て事実じゃない。事実を話しただけ。
話しを聞いた馬鹿な連中が考えなしに流した結果、王女の悪評が広まっただけ。
私のせいじゃない。
「後継はどうなさるのですか?姫様は陛下、唯一の御子ですよ」
「今はな。だが、次期そうではなくなる」
「は、い?」
それは、つまりあの女の腹に陛下の子供がいるということ?
あの女はまた欠陥品を産む気なの?
陛下の尊き血を穢すだけの罪深い存在を?
どこまでも恥知らずで、どこまでも愚かで、どこまでも分不相応な女
どこまでも私の邪魔をする。私の座を奪っていく。
「荷物をまとめ、明日には隣国に発ってもらう。隣国に着くまではそなたと王女に監視をつけるから逃げることはできない」
陛下は下がれと手で合図をする。それと同時に衛兵がやって来て私の両脇を抱えて引きずるように追い出された。
どうして、こんな酷いことができるの?
私はあなたを愛しているのに。あなたの最愛は私だけなのに。
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