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「まさか十五年も平民として暮らしてきた人を王宮に入れるなんて」
「それだけじゃない。幾ら王家の血が入っているからって半分は平民だろ。そんな奴が我々の上に立つのか?冗談じゃない」
「それに本当に王家の血が入っているか分からないわよ。どうせ別の男との間に子供ができたからバレるのが怖くて身を隠したのよ。それなのに陛下の子だと言い出すなんて浅ましい」
「陛下も陛下だ。あっさりと認めるなんてどうかしている」
「たとえ事実でも違うと言い張ればいいものを。所詮は平民じゃないか」
私がレオンと一緒にパーティー会場に入った時には既に今日の主役であるメロディの話題で持ちきりだった。
みんな、幾ら王家がまだ到着していないからって少しは自重したらいいのに。
それにしてもヒロインが自分から王の元に来たの?
ゲームでは王が迎えに来たって話だったけど。
「メロディ様はご自分から陛下の子だと仰ったの?」
「みたいだよ」
レオンはあまり興味がなさそうね。
「でも平民の子がそんなこと言っても門兵が取り合わないでしょう」
「王家の証を持っていたらしい。それで門兵が慌てて確認しに行ったところ陛下がご自分の子だと認められた」
「それはあまりにも無謀なことをしましたね、そのメロディ様は」
「確信があったんじゃないですか、絶対に受け入れてもらえると。母親からどれだけ自分が愛されていたのかを聞かされていれば浅はかな平民の子供なら容易く信じて乗り込むでしょう。上手くいけば王女様になれるんですから」
けれど一歩間違えれば王族侮辱罪で死刑が投獄だ。王家の醜聞を隠す為に極秘裏に殺される可能性だってある。
でもメロディは十五歳の少女。それに私が前世で暮らしていた世界と違ってこの世界は平民の学力は高くはない。
彼女が平民として暮らしていたのなら考えが足りないのは仕方のないことかもしれない。
「国王陛下並びにメロディ様のご入場です」
告げられた言葉にピタリと話声は止み、全員がその場で頭を垂れた。
国王陛下に続いてやって来たのは紫の髪と目をした少女だった。その後ろをメロディの護衛として私の婚約者ハロルドが歩いてくる。
「面を上げよ」
私も含め会場にいる全ての人間の視線が舞台上のメロディへ向けられた。
メロディは恥ずかしそうに頬を染めながらも余裕の笑みを浮かべて会場を見渡す。
先日まで平民として暮らしてきた少女にできる態度ではなかった。
自信に満ちたその顔にはこういった場が不慣れだということを全く感じさせない。生まれながらの王女だと人々に思わせるには十分な笑みだった。
ただこの場に王妃がいない。つまり彼女はメロディの存在を認めていないと公言しているのだ。
メロディを溺愛している国王としては何としても王妃をこの場に連れて来たかっただろうけどいくら国王でも王妃を無理やり連れてくることはできない。
「暫く社交界が荒れるわね」
「義姉さん、まさか頻繁に社交界に出入りするわけじゃないよね」
眉間に皴を寄せるレオン。
彼はどうしてか私が社交界に参加することをよく思ってはいないのだ。
「情報はちゃんと持っておかないと」
「それなら俺がします」
「女性にしか得られない情報というのがあるのよ」
「でも」
「社交界に参加するのは貴族の義務でもあるんだから」
「どこに不逞の輩がいるか分かりません」
「婚約者がいる私に、しかも公爵家の令嬢である私に手を出す馬鹿がいると?」
どうしてこんなに心配症に育っちゃったのかしら。
「ええ。あなたが想像するよりもはるかに人間というのは悪徳で陰湿ですから」
「あなたの人間観がひどく歪んでいる気がする。ならあなたかハロルドと一緒ならいいんじゃない?」
「ハロルドは役に立ちません。俺が一緒の時だけにしてください」
「はいはい」
私の夫になるのだから義弟としてもう少し仲良くしてくれたらと思うけど昔からレオンはハロルドのことが嫌いなのだ。
気持ちを無理強いすることはできないから仲良くしてと言わないようにはしている。
「それだけじゃない。幾ら王家の血が入っているからって半分は平民だろ。そんな奴が我々の上に立つのか?冗談じゃない」
「それに本当に王家の血が入っているか分からないわよ。どうせ別の男との間に子供ができたからバレるのが怖くて身を隠したのよ。それなのに陛下の子だと言い出すなんて浅ましい」
「陛下も陛下だ。あっさりと認めるなんてどうかしている」
「たとえ事実でも違うと言い張ればいいものを。所詮は平民じゃないか」
私がレオンと一緒にパーティー会場に入った時には既に今日の主役であるメロディの話題で持ちきりだった。
みんな、幾ら王家がまだ到着していないからって少しは自重したらいいのに。
それにしてもヒロインが自分から王の元に来たの?
ゲームでは王が迎えに来たって話だったけど。
「メロディ様はご自分から陛下の子だと仰ったの?」
「みたいだよ」
レオンはあまり興味がなさそうね。
「でも平民の子がそんなこと言っても門兵が取り合わないでしょう」
「王家の証を持っていたらしい。それで門兵が慌てて確認しに行ったところ陛下がご自分の子だと認められた」
「それはあまりにも無謀なことをしましたね、そのメロディ様は」
「確信があったんじゃないですか、絶対に受け入れてもらえると。母親からどれだけ自分が愛されていたのかを聞かされていれば浅はかな平民の子供なら容易く信じて乗り込むでしょう。上手くいけば王女様になれるんですから」
けれど一歩間違えれば王族侮辱罪で死刑が投獄だ。王家の醜聞を隠す為に極秘裏に殺される可能性だってある。
でもメロディは十五歳の少女。それに私が前世で暮らしていた世界と違ってこの世界は平民の学力は高くはない。
彼女が平民として暮らしていたのなら考えが足りないのは仕方のないことかもしれない。
「国王陛下並びにメロディ様のご入場です」
告げられた言葉にピタリと話声は止み、全員がその場で頭を垂れた。
国王陛下に続いてやって来たのは紫の髪と目をした少女だった。その後ろをメロディの護衛として私の婚約者ハロルドが歩いてくる。
「面を上げよ」
私も含め会場にいる全ての人間の視線が舞台上のメロディへ向けられた。
メロディは恥ずかしそうに頬を染めながらも余裕の笑みを浮かべて会場を見渡す。
先日まで平民として暮らしてきた少女にできる態度ではなかった。
自信に満ちたその顔にはこういった場が不慣れだということを全く感じさせない。生まれながらの王女だと人々に思わせるには十分な笑みだった。
ただこの場に王妃がいない。つまり彼女はメロディの存在を認めていないと公言しているのだ。
メロディを溺愛している国王としては何としても王妃をこの場に連れて来たかっただろうけどいくら国王でも王妃を無理やり連れてくることはできない。
「暫く社交界が荒れるわね」
「義姉さん、まさか頻繁に社交界に出入りするわけじゃないよね」
眉間に皴を寄せるレオン。
彼はどうしてか私が社交界に参加することをよく思ってはいないのだ。
「情報はちゃんと持っておかないと」
「それなら俺がします」
「女性にしか得られない情報というのがあるのよ」
「でも」
「社交界に参加するのは貴族の義務でもあるんだから」
「どこに不逞の輩がいるか分かりません」
「婚約者がいる私に、しかも公爵家の令嬢である私に手を出す馬鹿がいると?」
どうしてこんなに心配症に育っちゃったのかしら。
「ええ。あなたが想像するよりもはるかに人間というのは悪徳で陰湿ですから」
「あなたの人間観がひどく歪んでいる気がする。ならあなたかハロルドと一緒ならいいんじゃない?」
「ハロルドは役に立ちません。俺が一緒の時だけにしてください」
「はいはい」
私の夫になるのだから義弟としてもう少し仲良くしてくれたらと思うけど昔からレオンはハロルドのことが嫌いなのだ。
気持ちを無理強いすることはできないから仲良くしてと言わないようにはしている。
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