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第1章
13.巻き込めるのなら巻き込んでおこう2
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「王女殿下、おそらくそれは陛下がお許しにならないかと思われます」
「どうして?私が望んでいるのよ」
そんなの関係あるわけないじゃん。
自分の望みが全てこの世界で叶うと本気で信じているのだろう。この世界は確かに彼女に惚れた神様が彼女の為に創った世界だからある程度は思い通りになると思う。
でも、望んだこと全て叶うわけない。
「御身はルシファーノ国にとって最も大切な存在です。何か間違いがあっては困りますから」
「?。言っている意味が分からないわ」
分れよ。
見た目は兎も角、中身は十八歳なんだから。精神年齢は見た目通りだと思うけど理解力や知識力は見た目通りじゃないでしょう。
それとも、乙女ゲームのヒロインというポジションは人をその程度も理解できないぐらい愚か者にするのだろうか。
「私はこの世界のヒロインよ。だから、攻略対象者である彼と私の間に間違いなんて起こらないわ。だってイベントが起こったとしてもそれは全てシナリオに描かれていることじゃない」
アイルにとってシナリオに描かれているかどうかが正当か否かを決める基準になっているようだ。
それはとても危険なことだは考えもしない。
私の立場上、アシュベルも助けを求めてきたから一応、アイルの我儘を止めることはした。
正直、アイルとカーディルがどうなろうがどうでもいい。
ただ二人が早めに会うということは私も会うということになる。そしてカーディルはアシュベルの従兄だ。
カーディルに近づいてアシュベルのストーカーを一緒に警戒してもらうつもりだったからこれは私にとって良い流れではある。
「カーディル殿下とお会いになりたいのであれば陛下にお願いしてみてはどうでしょう。私やバルトロマイ伯爵令息では陛下の決定に意見を言える立場ではありませんので」
「そうなの?」
当たり前でしょう。
私たちはただの子供なんだから。本当に考えが足りない。アイルと話していると無駄に疲れるな。
「分かったわ。行ってくる」
思い立ったが吉日。
アイルは私たちが部屋にいるのに退室の許可も出さずに行ってしまった。おかげで私とアシュベルはここでアイルが戻って来るのを待つ羽目になった。
「あの、王女殿下の言っている意味がよく分からないのですが。“ヒロイン”とか“攻略対象者”とはどういう意味でしょう」
「存じません」
「えっ」
本当は知っているけど私まで変人扱いはされたくないので一生、自分が彼女の同郷人ということは隠し通すと決めた。
「王女殿下の言葉を全て理解している人は王宮内にはいません。説明を求めたところで荒唐無稽で理解できないので理解することは止めて、適当に合わせているだけです」
「そ、そうなんですね。では、その髪も?理不尽だと思わないのですか?折角綺麗な髪なのに」
「褒めていただきありがとうございます。思う所がないわけではありませんが今日一日だけでも分かったと思いますが逆らう方が面倒なので」
「それで専属侍女も?」
「ええ」
アシュベルも他人事ではなくなるだろう。彼は攻略対象者だ。嫌でもアイルの我儘に振り回されることになる。
「カーディル殿下とはどういう方なんですか?」
「姫様とは合わないと思います。二人の関係がこじれなければいいのですが」
カーディルは帝国の跡継ぎ。アイルもこの国の長子で一人っ子だから二人が婚約することはないと思うけど今まで良好な関係を続けていた国だ。
その国の後継ぎたちの仲が険悪であっていいはずがない。カーディルはそこら辺を分かってくれていると思うけどアイルは全くの考えなし。何なら自分はヒロインだから何をしても許されると思っているだろう。
二人を会わせるのはいろいろと不安だけどいつかは会う運命なのだ。だったら早々に会って私の助けになってもらおう。
「どうして?私が望んでいるのよ」
そんなの関係あるわけないじゃん。
自分の望みが全てこの世界で叶うと本気で信じているのだろう。この世界は確かに彼女に惚れた神様が彼女の為に創った世界だからある程度は思い通りになると思う。
でも、望んだこと全て叶うわけない。
「御身はルシファーノ国にとって最も大切な存在です。何か間違いがあっては困りますから」
「?。言っている意味が分からないわ」
分れよ。
見た目は兎も角、中身は十八歳なんだから。精神年齢は見た目通りだと思うけど理解力や知識力は見た目通りじゃないでしょう。
それとも、乙女ゲームのヒロインというポジションは人をその程度も理解できないぐらい愚か者にするのだろうか。
「私はこの世界のヒロインよ。だから、攻略対象者である彼と私の間に間違いなんて起こらないわ。だってイベントが起こったとしてもそれは全てシナリオに描かれていることじゃない」
アイルにとってシナリオに描かれているかどうかが正当か否かを決める基準になっているようだ。
それはとても危険なことだは考えもしない。
私の立場上、アシュベルも助けを求めてきたから一応、アイルの我儘を止めることはした。
正直、アイルとカーディルがどうなろうがどうでもいい。
ただ二人が早めに会うということは私も会うということになる。そしてカーディルはアシュベルの従兄だ。
カーディルに近づいてアシュベルのストーカーを一緒に警戒してもらうつもりだったからこれは私にとって良い流れではある。
「カーディル殿下とお会いになりたいのであれば陛下にお願いしてみてはどうでしょう。私やバルトロマイ伯爵令息では陛下の決定に意見を言える立場ではありませんので」
「そうなの?」
当たり前でしょう。
私たちはただの子供なんだから。本当に考えが足りない。アイルと話していると無駄に疲れるな。
「分かったわ。行ってくる」
思い立ったが吉日。
アイルは私たちが部屋にいるのに退室の許可も出さずに行ってしまった。おかげで私とアシュベルはここでアイルが戻って来るのを待つ羽目になった。
「あの、王女殿下の言っている意味がよく分からないのですが。“ヒロイン”とか“攻略対象者”とはどういう意味でしょう」
「存じません」
「えっ」
本当は知っているけど私まで変人扱いはされたくないので一生、自分が彼女の同郷人ということは隠し通すと決めた。
「王女殿下の言葉を全て理解している人は王宮内にはいません。説明を求めたところで荒唐無稽で理解できないので理解することは止めて、適当に合わせているだけです」
「そ、そうなんですね。では、その髪も?理不尽だと思わないのですか?折角綺麗な髪なのに」
「褒めていただきありがとうございます。思う所がないわけではありませんが今日一日だけでも分かったと思いますが逆らう方が面倒なので」
「それで専属侍女も?」
「ええ」
アシュベルも他人事ではなくなるだろう。彼は攻略対象者だ。嫌でもアイルの我儘に振り回されることになる。
「カーディル殿下とはどういう方なんですか?」
「姫様とは合わないと思います。二人の関係がこじれなければいいのですが」
カーディルは帝国の跡継ぎ。アイルもこの国の長子で一人っ子だから二人が婚約することはないと思うけど今まで良好な関係を続けていた国だ。
その国の後継ぎたちの仲が険悪であっていいはずがない。カーディルはそこら辺を分かってくれていると思うけどアイルは全くの考えなし。何なら自分はヒロインだから何をしても許されると思っているだろう。
二人を会わせるのはいろいろと不安だけどいつかは会う運命なのだ。だったら早々に会って私の助けになってもらおう。
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