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第2章 剣を振るう理由
34.どこの世界も同じ理不尽が存在する
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正直、かなりキツイ。
女性の体力では男性の体力についていけない。ましてや、私は令嬢でアイルがいなければ剣を握ることもなかったのだから。
キツイのは体力面だけではない。精神面もだ。
粗を探そうとたくさんの目が私に向いているからだ。見られているというのはそれだけで精神を削っていく。
「レイファン、できるだけ私の後ろに」
アレックがみんなの視線から私を守ろうとしてくれる。それだけで涙が出そうになった。
ダメだ。心が弱っている。弱っている暇なんてないのに。
「ありがとう。でも、私なら大丈夫だから」
「レイファ、私は頼りない?」
困ったような顔をされると私も困る。
彼に迷惑をかけるわけにはいかない。私を庇う程彼の立場は悪くなる。
私は良い。
ずっと騎士団にいるわけではない。でも彼は騎士になる為に騎士団に入ったのだ。これからもずっと騎士でいるつもりなら私に構うべきではない。
突き放すべきだろう。
「いいえ、そういうわけではないわ。必要があれば頼るつもりよ。ただ、悪意から守る必要はないわ。この程度自分でどうともできる」
突き放すべきなんだ。
「本当にそう思ってる?」
「えっ?」
なぜかアレックは怒ったような顔をしている。そして私の手首を強く掴む。
あまりの強さに驚いたのと、掴まれた手首が痛くて僅かに顔を顰めた。
今までずっと紳士的に接してくれていたからこんな彼は初めて見る。
「君は強い。剣術の才能がある。彼らが君に向ける悪意の殆どは令嬢が遊び半分で騎士の領域を犯したと思っているからではない。君の才能に嫉妬して向けられているからだ」
それは何となく感じていたし、そうだろうなとは思っていた。
卑怯なのは分かっている。
私の才能は言葉通り天からの捧げものだ。
神様の友達がやらかしたことへの尻ぬぐいと同情でくれた才能で私の実力ではない。
だから文句を言われても強くは言い返せない。
「だけど、どんなに剣の腕が良くても、どんなに強くても力で女性が男性に勝てるわけがない。ましてや相手が同じ騎士団所属なら尚更。体のつくりが違うんだから」
アレックが何を心配しているのか分かった。
「彼らが直接的な行動をとると?私は公爵令嬢よ。リスクが高すぎる」
「そうだね。だから彼らも騎士団の中では大っぴらには何もして来なかった。でも外ではどうかな?」
アレックは監督としてすく先輩騎士に目を向けた。
「総責任者も私たちについている監督者もレイファのことをよく思ってはいない。それ故に働く貴族らしい配慮がされることもある」
外なら何が起きてもおかしくはない。
私の身に何か起きたとしても誰も真実を言わない。アレックが証言したとしても誰が妾腹の言葉など信じるだろう。
罪悪感から真実を告げようにも自分たちよりも上の身分から圧力がかかれば黙るしかない者だっているだろう。沈黙は金だ。
それがアレックの言う貴族らしい配慮。
この世界は腐っている。
でも、私がいた日本も同じだった。誰も私の言葉に耳を傾けてくれなかった。マヤという権力者の言葉に正確には彼女の家族の言葉にばかり耳を傾け、私の訴えは些末事と処理された。
どこだって同じ。
そう考えると今の状況に絶望するも恐怖する必要もないのかと思う。すると少しだけ心が軽くなった。
「‥‥レイファ、どうして笑っているんだい?」
自分が無意識に笑っていることに気づかなかった。アレックに指摘されるまで。
「ありがとう、アレック。あなたのおかげで忘れかけていたことに気づいた」
「何に気づいたの?」
「この世界は理不尽でしかないということに。今の状況はあなたの言うように危機的なのかもしれない。でも、その危機から逃れた先に安寧の地はない。更なる理不尽が続くだけだ」
ここは特にアイルの為に用意された世界だからね。まぁ、そんな荒唐無稽な話をしたところで誰も信じないだろうけど。
「アレック、あなたの忠告を受けて極力気をつけるよ。ありがとう」
私は彼の忠告を素直に聞くことにしたのに、どうして彼は先ほどよりも心配そうな顔をしているのだろう。
「さぁ、早く行きましょう。遅れてしまうわ」
「あ、ああ」
女性の体力では男性の体力についていけない。ましてや、私は令嬢でアイルがいなければ剣を握ることもなかったのだから。
キツイのは体力面だけではない。精神面もだ。
粗を探そうとたくさんの目が私に向いているからだ。見られているというのはそれだけで精神を削っていく。
「レイファン、できるだけ私の後ろに」
アレックがみんなの視線から私を守ろうとしてくれる。それだけで涙が出そうになった。
ダメだ。心が弱っている。弱っている暇なんてないのに。
「ありがとう。でも、私なら大丈夫だから」
「レイファ、私は頼りない?」
困ったような顔をされると私も困る。
彼に迷惑をかけるわけにはいかない。私を庇う程彼の立場は悪くなる。
私は良い。
ずっと騎士団にいるわけではない。でも彼は騎士になる為に騎士団に入ったのだ。これからもずっと騎士でいるつもりなら私に構うべきではない。
突き放すべきだろう。
「いいえ、そういうわけではないわ。必要があれば頼るつもりよ。ただ、悪意から守る必要はないわ。この程度自分でどうともできる」
突き放すべきなんだ。
「本当にそう思ってる?」
「えっ?」
なぜかアレックは怒ったような顔をしている。そして私の手首を強く掴む。
あまりの強さに驚いたのと、掴まれた手首が痛くて僅かに顔を顰めた。
今までずっと紳士的に接してくれていたからこんな彼は初めて見る。
「君は強い。剣術の才能がある。彼らが君に向ける悪意の殆どは令嬢が遊び半分で騎士の領域を犯したと思っているからではない。君の才能に嫉妬して向けられているからだ」
それは何となく感じていたし、そうだろうなとは思っていた。
卑怯なのは分かっている。
私の才能は言葉通り天からの捧げものだ。
神様の友達がやらかしたことへの尻ぬぐいと同情でくれた才能で私の実力ではない。
だから文句を言われても強くは言い返せない。
「だけど、どんなに剣の腕が良くても、どんなに強くても力で女性が男性に勝てるわけがない。ましてや相手が同じ騎士団所属なら尚更。体のつくりが違うんだから」
アレックが何を心配しているのか分かった。
「彼らが直接的な行動をとると?私は公爵令嬢よ。リスクが高すぎる」
「そうだね。だから彼らも騎士団の中では大っぴらには何もして来なかった。でも外ではどうかな?」
アレックは監督としてすく先輩騎士に目を向けた。
「総責任者も私たちについている監督者もレイファのことをよく思ってはいない。それ故に働く貴族らしい配慮がされることもある」
外なら何が起きてもおかしくはない。
私の身に何か起きたとしても誰も真実を言わない。アレックが証言したとしても誰が妾腹の言葉など信じるだろう。
罪悪感から真実を告げようにも自分たちよりも上の身分から圧力がかかれば黙るしかない者だっているだろう。沈黙は金だ。
それがアレックの言う貴族らしい配慮。
この世界は腐っている。
でも、私がいた日本も同じだった。誰も私の言葉に耳を傾けてくれなかった。マヤという権力者の言葉に正確には彼女の家族の言葉にばかり耳を傾け、私の訴えは些末事と処理された。
どこだって同じ。
そう考えると今の状況に絶望するも恐怖する必要もないのかと思う。すると少しだけ心が軽くなった。
「‥‥レイファ、どうして笑っているんだい?」
自分が無意識に笑っていることに気づかなかった。アレックに指摘されるまで。
「ありがとう、アレック。あなたのおかげで忘れかけていたことに気づいた」
「何に気づいたの?」
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「アレック、あなたの忠告を受けて極力気をつけるよ。ありがとう」
私は彼の忠告を素直に聞くことにしたのに、どうして彼は先ほどよりも心配そうな顔をしているのだろう。
「さぁ、早く行きましょう。遅れてしまうわ」
「あ、ああ」
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