仄暗い部屋から

神崎真紅

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第一章

act 10 刻まれた快楽

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  賢司はジャンキー程ではない。
  けれども薬を辞めようと思った事はなかった。
  ましてや今の賢司にとって、瞳と薬を使ってするドラッグセックスは、この上ない程の快楽だった。

  愛してる......。
  愛してる......。

  賢司の中で何度も木霊するその感情。
 そして、その感情が何時しか賢司の中で妄想化してゆく。
  賢司の下半身が挿入を待つ準備が出来たのは、28時間も経過してからだった。

 「瞳、イかせてやるよ」

  ズン!
 という感じで、瞳の下半身に賢司が入って来た。

 「くぁっ、ひっ、いいっ!」

   挿入の瞬間に瞳は軽い絶頂に達した。
   瞳の腰を抱えながら、賢司の両手は瞳の乳房を掴み、忙しなく揉みしだく。

 「あっ、はっ、乳首、苛めてっ」
 「乳首か、そんなに気持ちいいか?」
 「いいっ!もっと、もっと苛めてっ」

   賢司は瞳が気絶している間に、乳首に薬を打っていた。
   無論そんな事瞳が知る訳がない。
  どうしてこんなに気持ちいいの?
  ああ......。
  もっともっと苛められたい。

 「ひっ、いいっ、いいの」

   賢司が腰を振りながら、乳首を掴み捻る。
   膣と乳首、両方を同時に責め立てられ、瞳は声も出せない程に感じまくった。
   時折、歯を立てて噛まれる。
  それは、歯形が付く程の強さにも関わらず、瞳は歓喜の声を上げる。

 「噛んでっ、いいの、もっと痛くしてっ。あっあっあっ~」

   大きな快感の波に呑まれたか。
   瞳の身体が、ぴくっぴくっっと、痙攣している。
  それでもまだ賢司は続ける。
  中々射精出来ない。
  一段と腰の振りは大きくなり、瞳の乳首を捻る手にも力が入る。

 「ひぃっ、痛いっ、でもいいの、何で?」
 「それはお前がMだからだよ、瞳」

  にやり、口の端で笑いながら、尚腰を振りながら乳首を責める。

 「くっ....あっ、で、出る....」

  賢司の熱が、瞳の中に放出された。
  暫く重なったまま、身動き出来ない。
  このたった一度の射精の為に、男は何十時間も頑張るのだった。

 「瞳、何か食えるか?」

  一度放出してしまえば、元の賢司に戻って瞳の身体を気遣う賢司。

 「何も....いらない」

  この3日の間に、瞳はまた一段と窶れて(やつれて)肌は艶を失っていた。
  目は窪んで、その下には、くっきりと隈(くま)が出来ていた。
  このまま出勤させる訳にはいかない。

 「瞳、とにかく水分だけでも摂れ」
 「ううん....だるい....」

   急激に覚醒剤を立て続けに打たれて、瞳は急激な落ち目が来ていた。

 「じゃあこれ、睡眠薬だ。とにかく先ずは寝ろ」

   賢司はそう言って、瞳に睡眠薬と水を渡した。

 「眠れば少し食える様になるからな」
 「ん....」

   抑揚のない声で、辛うじて返事をし、賢司のくれた薬を飲んだ。

 「ね....むい....」
 「俺も何か食ったら寝るから、瞳はそのまま寝ろ。何も心配するな」

   急激に睡眠薬が効いて来た。
   瞳はそのまま深い眠りに堕ちていった。
   瞳が眠るのを見届けると、賢司はキッチンに向かい適当に(と言っても冷たい物しか食べられないのだが)腹に流し込んだ。
  それから瞳に飲ませた薬と同じ睡眠薬を飲んで、ぐったりと眠る瞳にキスをして、賢司も眠りに堕ちていった....。


...._....瞳は喉が渇いて目が覚めた。
   隣には、賢司が死んだ様に眠っている。
   何時だろう....?
   携帯のディスプレイを見て、瞳は困惑した。
   月曜日の夕方6時の表示....。
 (?????
  えっ?
  あたし確か木曜日に早退して、それからどうしたんだっけ?)
  必死に記憶を探る。

 『帰ったら睡眠薬を飲んで寝ろよ』

  (あぁ、そうだ。
あたしは睡眠薬を飲んであの日眠った筈だった。
 なのに何故?
 今日はもう月曜日なの?)
 4~5日間の記憶がすっぽり抜け落ちている。
  瞳はその事に、酷く違和感を感じていた。
 バスルームに入って行った。
 鏡に写る自分の顔が、まるで別人の様に変わっている。

 「な....に、これ?」

  窶(やつ)れて、肌は荒れ、頬は痩けている。
  以前の瞳の面影が、何処にも見当たらない。
  何か....?
  大事な事を忘れている気がするんだけど....?
  何だろう?
 ふっと、自分の左腕が目に止まった。
 内肘の、静脈に沿って注射の痕が幾つも付いている。その周りは青痣になっていた。

 「これ....は....?」

  頭の片隅の記憶の断片に、賢司の言葉が聞こえて来た。

 『瞳、これは媚薬じゃねぇ、覚醒剤だよ』

  覚醒剤....?
  覚醒剤....。
  あたしは....?
  犯罪者になってしまった....。

  ふと、気付くと瞳の着ていた賢司のTシャツが、汗でびっしょりと濡れていた。
  しかもその汗は、独特の異臭を放っていて、髪の毛まで汗で濡れている。
  気持ち悪い。
  咄嗟にTシャツを脱ぎ捨て、バスルームへ入り、思いっきり頭からシャワーを浴びた。
  ゾクリ....。
  寒気が瞳を襲った。
  瞳は慌ててバスタブに熱いお湯を溜める。
 その間に、全身の異臭を取る様に、ゴシゴシと身体を洗った。
 バスタブに身を沈める。
  痺れる程に冷たくなっていた四肢が、ようやく温まって来た。

 「ふぅ....」

  溜め息をひとつ、吐いてみた所で状況は何も変わらない。
 それより喉が渇いた。
 お腹も空いた。
 瞳はバスローブを羽織ってキッチンに向かった。
 が、足が異様に冷たくて、裸足で歩くのが辛い。
  寝室では賢司が相変わらず死んだ様に眠っている。
  瞳は賢司の靴下を借りて履いた。
  冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出し、グラスに注いだ。
  それを一気に飲み干した。けれども一向に渇きが取れない。
  瞳は無償に甘い物が食べたくて、近くのコンビニに行こうと着替え始めた。

 「....何処行くんだ?」
 「びっくりした、賢司起きたの?コンビニに行こうと「お前は此処から出るな。俺が買って来る」」

  えっ?
  賢司何だか様子が違う?

 「何が欲しいんだ?」
 「あ、甘い物が食べたくて....」
 「だろうな、判った。待ってろ」

   瞳を部屋に残して賢司は出掛けて行った。
  ひとり部屋に残された瞳を、淋しさと恐怖の入り雑じった混沌とした感情が支配してゆく。
  賢司。
  早く帰って来て。
  ひとりは恐いの....。

  賢司が瞳を残して買い物に出掛けた事には、賢司なりの理由があった。
  ひとつは、今の瞳の姿を誰にも見せない為に。
  もうひとつは、未だ完全に薬の抜けてない瞳をひとりぼっちにして、賢司の存在価値を高める事だった。
   案の定、瞳は取り残されて不安は極限状態だった。
   出掛けるつもりで着替えた前ボタンのカットソーにミニスカート。
   瞳の手は何時しか自分の胸元のボタンを外していた。
   露になったブラジャー。
   それだけでも充分淫靡な気持ちになっていた。
  ブラジャーの上部から、乳首を出して自分の指で刺激してみる。

 「あっ....、はっ....」

   痺れる様な気持ちよさ。
   何時しか瞳はその快楽に浸りきっていた。
   何の不審をも持つ余裕すらなく、ただ自身の手でその乳首を刺激し陶酔していた。
  あぁ....。
  これが賢司の指ならばもっと気持ちよくさせてくれるんだ。
   瞳の身体の奥底で、燻(くすぶ)っていた欲求が燃え広がっていた。

 「あっ、あっ....」

   瞳は相変わらず自分の乳首を苛めていた。
   知らずに漏れる声。
  どうして?
  もう賢司が帰って来るから、こんな所見られたら何て言い訳するの?
  なのに止められない。

 「ただいま」

  はっ!
  賢司が帰って来ちゃった。どどどとうしよう?
  瞳の服は乱れ、それを直す時間すらなかった。
  賢司は買って来た物をテーブルに置くと、瞳の姿を見て言う。

 「瞳、その淫らな格好は何だ?」
 「あ、の....」
 「答えないのか?ならばその狂った乳首に聞いてやろう」

  賢司の手が瞳の乳首を捉える。
 それからじっくりと時間を掛けて、瞳の乳首の調教が始まった。

 「俺の居ない間に、自分で乳首を苛めていたのか?」

  そう言いながら、瞳のブラジャーからはみ出した乳首を掴み捻り上げる。

 「ひっ、あぁっ、いいっ!もっとして~」

   半狂乱になって、身悶えする瞳。
   賢司はその様子を伺いながら、瞳は完全に俺の存在なしでは生きられない、そう確信していた。

 「さ、みし、かった....」
 「俺が居なくてか?」
 「う....ん....」

   瞳自身こんな感情は、初めてだったのでかなり戸惑っていた。

 「それはな、瞳が俺に苛めて欲しくて仕方がないからだよ」

  言いながら、今度は乳首を洗濯挟みで挟んだ。

 「ひっ、い、たい~」
 「痛いか?じゃあ気持ちいいんだろう?」
 「い、たすぎるよ、賢司」
 「そうか?じゃあ外してやるか」

  さすがに洗濯挟みは行き過ぎか。
  やっぱり指が一番狂うか。
  ま、もうかなり狂って来てるけどな。
  まさか瞳が自分で乳首を苛め出すとはな。
  それにしても....。
   瞳が自分で苛め出す姿、録画したかったな。

  ソファに倒され、瞳はまだ賢司からの凌辱をその身に受けていた。
   凌辱、だろうか?
   瞳は幾度も絶頂を迎えている。
   賢司からの凌辱によって。

 「瞳、いい顔してるぜ。淫らで色気抜擢だ」
 「あっ、あっ、あっ、もっと苛めて~」

   髪を振り乱し、狂った様に苛めて欲しがる瞳の姿は、賢司にとって初めて愛した女の姿だった。
   誰にも渡さない。
   賢司の中でそれは、独占欲という形に変化してゆく。

 「瞳、何処が気持ちいいんだ?」
 「あ、乳首、が、いい....」
 「そうか。狂う程に苛めてやるよ」

   賢司の手が瞳の乳首を掴み、もう片方の乳首は口に含んだ。

 「あっ、噛んでっ!もっと噛んでっ!」

   賢司の指が片方の乳首を捻り上げ、もう片方は歯を立てて噛んだ。

 「ひぃっ、いいっ、いい~。もっと~」
 「狂ってもいいな?」

   狂っても?
  クルッテモイイ!

 「狂っても、いい....」

   その言葉を聞くや否や、賢司は瞳のショーツを剥ぎ取って、その身を突き立てた。

 「ひっ、あぅっ!」

   腰を抱え、賢司は勢い良く振りだした。
  その間も、乳首を苛める手は休まる事なく続いている。

 「あっ、噛んでっ、いいっ、いっちゃう~!」

  頂点に達したのか、瞳の身体が痙攣していた。
  それでも賢司はまだイってない。
  腰の動きはまた一層激しくなり、瞳の胸を両手で鷲掴みにして、滅茶苦茶に揉みしだいた。

 「ひっ、あっ、あっ、いいっ、おかしくなっちゃう」
 「瞳、俺もおかしくなりそうだ....。くっ、出る....」

   漸く(ようやく)の思いで、賢司は瞳の中に熱を放出した。
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