【完結】火を吐く土の国の王子は、塔から来た調査官に灼熱の愛をそそぐ

月田朋

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5、追う者、追われる者

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 ヨミ王子がようやく部屋を去ると、トウヤは通気口から屋根に出た。すると有能な副官が、外壁にへばりついていた。
 トウヤが手をふると、怪訝な顔で目を細め小さい何か動くものを見つめる。それがトウヤであるとわかり、口をあんぐり開けた。そしてむせび泣いた。
 トウヤはひょいひょいと外壁のへりをつたい渡り、ザミドの元へ行った。ザミドは涙をひっこめて青くなったり赤くなったりしながら、危険です、わたしが行きますと、必死に伝えてくる。
 そうこうするうちに、トウヤはザミドのもとまでたどりつき、ザミドの耳に掴まった。
「き、肝を冷やしましたぞ……! 生きた心地がしませんでした。何よりご無事で……すべてこのザミドが狩りなどにうつつをぬかしたせいで……」
(ザミド)
「は」
(地上に降りたら早めに浴場に行くのだぞ)
「……いや、トウヤ様、こんなにお小さくては、とてもじゃ」
(いやいやお前だけが行くのだ。わたしは手桶いっぱいの湯があれば事足りる)
「のんきに湯を楽しむなど。もうひと時も離れずお守りいたします」
(わたしはしばらくこの姿のままでいる。お前の肩の上や時には懐にでも入って移動をせざるをえないこともあろう。身ぎれいにしてもらわないとわたしが嫌なのだ)
「はっ、承知しました!」
 狩りに行ったことを後悔しながら、いなくなったトウヤを探し続けたのだろう。ザミドは、実際だいぶ獣臭く、そして休息が必要だった。

 身ぎれいになったザミドがトウヤのために買い求めたのは小さな鳥籠だった。トウヤがその中に入ると籠に薄布をかぶせ背中の荷物にいれた。
 この国にこれ以上長居をするべきではない。トウヤの力、つまり塔の加護が通用しないあの手かせが、いったい何なのかわからない以上、危険は侵せない。
 小さいほうが目立たずにすみ、隠れていれば、うっかり誰かに同情して病を治してやるために加護を使うこともない。ザミドの荷物にでもまぎれこんで、早く発ったほうがよいという判断だった。
 籠の中でこの国と王と、二人の王子について考えていたが、やがてトウヤはうとうとし、大昔の夢を見た。

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