【完結】火を吐く土の国の王子は、塔から来た調査官に灼熱の愛をそそぐ

月田朋

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14、灼熱の炎/懊悩の泉

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 人が不快に感じるはずの悲鳴をあげまくったが、王子は動じない。蕩けるような炎をトウヤに吹きかける。
「あ、んぅ……何をする、卑怯者」
「これでも加減している。それよりそっちはその程度なのか。もうよいのか」
「何をっ」
 挑発にのったふりをすれば、案の定大きな体がかぶさってくる。手首を掴まれ、浴場の床におしつけられる。半竜のするどい爪が大理石を砕く。
「ぃ、……っ、あ、……あぁ……ん」
「さきほどは、わざと自分の快いところにあたらぬようにしただろう」
「あっ……あ、ぁっ、や……っ、な、ならぬ、やめ、……」
 ぐちゅりと深い部分をえぐった直後、ずるりと長く大きいものが出ていった。
「っ……は、……ぁ」
 出ていくときの刺激もつらく、トウヤは疼き苦しんだ。淫魔となっても敵わないとなると、負けを認める必要がある。
 しかしヨミ王子も苦し気に耐えている。ヨミ自身のそれもいっこうに萎えることを知らず、露をうかべている。
 トウヤは足を開き、自らの胎をさぐる。ふちが赤く腫れ、ぱくりと口を開けているそれをみせつける。
 それを目にした王子は、金赤の目を血走らせる。バチバチと火花があがって、すぐにも爆ぜそうだった。
 耐えているのはおそらく、トウヤが「ならぬ」と言ったからだった。
 トウヤは戯れをやめた。
 元の姿に身体を戻した。もう一度真意の湯に入る。最初は影響を受けたが、今はもうトウヤの力がそれらを越えたため、本当の姿をさらけだしてしまうことはない。
 ヨミ王子にみだらな黒淫魔の姿を見せたところで、たいした効果はないとわかった。
(こちらへ)
 許可をだしてやると、よろこびいさんでトウヤのそばに来る。
 竜ではなく仔犬のようではないか。
(そんなにわたしの伴侶になりたいか)
「すべてを捨てる覚悟である」
(捨てられては困る)
 自分からヨミ王子の腕の中に入る。濡れた体を密着させる。
(昔の後始末がある。塔に帰るにしても随分先のことだ。あなたもすべきことをすべきだ)
「すべきこととは」
(それは自分の胸に聞くがいい)
 ヨミ王子は、腕の中の愛しいかたちを確認しながら、トウヤが何を言いたいのか、わかっていた。
 母王を助ける。
 人々の信を得るには、正論と正しい行いだけではたちゆかぬ。民の心を集めとどめることが何よりも重要であった。
 自分の行う剣闘にはその力がある。表にでることを厭う母王のまつりごとを助けるために。
((それでよい))
 頭の中に直接話しかけられ、ヨミ王子がトウヤの目を確認するようにのぞきこむと、トウヤは今までみたことがないような屈託のない笑みをみせていた。
 言葉にしていないのに、胸の内が伝わったこと。
 この湯が原因で気鬱になったというならば、父王や犬蛇のゼイロ、ニト、彼らが影響をうけて自分が受けないのはなぜか。気鬱どころか、頭にたちこめていた不機嫌な何かが消え去っている。
 もう一度直接、((そこまで言うなら番になってやろう))という言葉が響いた。
((番となったなら、遠慮はいらぬ。存分にまぐわおうではないか))
 細い指が半竜の裂けた口を這いまわる。美しい顔が近づくと口の端に唇をおとしてきた。
(淫魔の姿とこの姿、どちらがいい)
「……黒い姿は愛らしかったが、身体が小さく壊してしまいそうで恐ろしい。いまの姿がよい。それより我が伴侶となる、というのは誠か」
(二言はない)
 爆発するような喜びとなぜ急に気が変わったのかという疑問にヨミ王子が浸る間もなく、トウヤは薄衣を完全に脱ぎ捨てた。惜しげもなく肌をさらすトウヤを目の前にして、ヨミ王子は、全部に触れたいと思った。
 あの時のように我を忘れたかのように交尾するのではなく、丁寧に大事にすることが、何かこの貴人の心をより強く自分につなげることができるような気がする。
 ゆえに黒い愛らしい肢体で上にのられたときに、強い意志であらがった。あれはもはや奇跡である。
 しかし今は興奮のため口は裂けたままであり、するどい爪もますますするどく、人に戻せない。これでは傷をつけてしまう。
 そんなヨミ王子に構うことなく、トウヤは再び足を広げて準備の体勢になろうとしていた。ふと淫魔の尾が残っていた。さっきはヨミ王子を打擲できるほど長かったのに、とても短い。
「これは」
 トウヤは何を言われたかわかっていない様子だった。
 竜の翼で囲うようにして、トウヤの口を長い舌で舐めた。そして首筋、淡い色の乳の先端、へそ、下腹部におり、雄の証であるものを舐め上げた。
「あ、熱、っ……ぁ」
 トウヤがたまらず声をあげる。
 もともと湯でぬれていたものが、さらに粘りのある竜の唾液でぐしゅりと濡れる。
 低くうなるトウヤの様子に、火吐山が変わってしまったことを思った。この浴場も王宮もどうなってしまうかわからないと思ったが、もはやどうなってもよい。破壊されたなら作り直せばいい。
 長い脚ががくがくと痙攣するさまは、この上ない極上の光景だった。そのまま下におり、先ほどみせつけるようにされた孔に舌をつっこんだ。
「んぅ……うっ」
 指でやれないので、舌を使っているが、あからさまに声を我慢できなくなっているのを知ると、さらに奥へとつっこむ。
「う……っ、ぐ、……あ、ぁ……んあん」
 舌で犯しながら、短いしっぽに触れると、びく、と身体が跳ねた。
 吐精の瞬間を目にするのは、はじめてだった。最初まぐわった時は、ただ腰をふるだけで精一杯であった。余韻に放心しているトウヤを抱き起す。
「なにか障りはないか」
 トウヤは大きく深く息をつく。芯からの満足をあらわすそれは、特別な吐息で、それをうっかり吸ったヨミ王子は、まともにくらった。
 先ほど淫魔だった時より何倍もくらった。むせるように甘やかな吐息だった。
 たまらぬ、もっとと顔を寄せると、トウヤはみじろぎする。手探りでヨミ王子の分身にふれ、撫でさする。
「こんな、すっかりおとなになられて」
 声に出している自覚もないようで、言葉がまろびでた。結果、ヨミ王子はトウヤの身体、肌、くぼみ、突起、孔、すべてをあますことなく舐めあげることとなった。
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