Trip in the world ~性転換って、嘘だろ!?~

天海望月

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1章

1章おまけ フォルにとっての非日常

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「ねぇレイ」
「何さフォル」
「この空間は何?」
「あー…、この真っ白な砂漠のこと?」
「そう。…おや、レイ、これを見てみて」
「これって?…うわっ!凄い!私たちが何か喋ると!」
「砂漠に文字が刻まれるね」
「楽しいねこれ!うおぉぉぉぉぉぉい!ひゃっふぅぅぅっ!」
「やめようか」
「ごめんなさ…イタッ!叩くことは無いでしょ!」
「叩いておかないと終わりそうになかった」
「もう終わってたよ…」
「それより、ほら、あんなところに紙が置いてあるよ」
「ほ…?どれどれ」



 改めてこんにちは!作者の夜空のスイカでございます。
 この2人の茶番はあれです、やってみたかったんです、許してください。
 さてさて、やっと1章が終了しましたね!気力とか色々あって完結まで長かった!モチベーション大切!
 いやぁ、リアはどうなっちゃうんでしょうね?人間なら高高度から叩きつけられたらおしまいですが、竜の亜人なら…?
 まぁ、この後の展開は私と未来人のみ知ります!お楽しみに!未来人の皆さん、くだらない話だったらごめんなさい!
 ではでは、1章の締めくくりとして、お話をご用意しました。見納めください。
 あ。そこの2人、アイキャッチみたいなの、よろしくね。



「何これ」
「私たちまで巻き込んでまでやることかい?これ」
「多分違う」
「そうだよね」
「…あれ?なんか泣いてるような声が聞こえるよ?」
「多分それは作者のだ。これ以上やるとそいつのメンタルが持たないから、そろそろやるよ」
「はーい」


「おまけ、始まります」
「ピロリーンッ!シュウッ!」







「レイ、それはどこのネタだい」
「機動戦士」







 ここはデイライト家の屋敷。そして、今は朝。
 ジンとルナ、そしてその他多数は、仕事があり出掛けていた。
 そしてここは屋敷のフォルとレイの部屋。
 彼女らは、最愛の人――ルナがいないことによって、文字通り死ぬほど暇していた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ…。うへぇぇぇぇぇぇ」
「…レイ、語彙力が溶けてるよ…」
「だあってぇぇぇぇぇ、ルナちゃんがぁぁぁぁぁ、いないんだもぉぉぉぉん」
「うるさいな」
 フォルが手を振りあげ、レイにそれを叩きつける。
「いだっ」
「ルー姉がいないだけで溶けてたら、この先生きていけないよ」
「えっ、その言い様、もしかしてルナちゃん死んじゃうの?」
 フォルは腕を振りあげ、レイに鋼の拳を贈呈した。
「いったぁぁぁっ!ちょっと、何するのさ!」
 これには流石のレイも怒る。
 …元はと言えば、彼女の方に責任があるのだが。
「あぁー、暇だ。レイとかいう奴のおかげでもっと暇になった」
「えっそれひどい」
「ってことでちょっと散歩してくるね」
 そういってフォルは立ち上がり、ドアへと向かう。
「ちょっと待って私はどうなるの!?」
 理不尽な結果を避けるために、レイは立ち上がってフォルを制止しようとする。
「そうだね…」
 フォルは少し考え、
「君のご自慢の能力で会いに行けば良いんじゃない?」
「あ、そっか」
 フォルは部屋から出ていき、レイは能力によって消えた。
 ちなみにその後、レイはルナにこっぴどく怒られたというが、それはまた別の話である。



「全く…、広いな、この屋敷は」
 無意識に、彼女は屋敷に対して不満を漏らす。
 以前住んでいた場所は、四人で住むには少し狭い場所であった。
 いや、かなり、だろうか。その部屋は普通一人で住むような場所であったのだが、彼女らはそこで押し込められるように生活していた。
 今は亡き姉妹達と過ごせたので、あまり気にはしなかったが。
 しかしそれでも、この屋敷はあまりにも広すぎた。彼女にとって、ここは迷宮のようなものである。
 使用人たちが見当たらない屋敷の廊下を、フォルは部屋を流し見るようにして歩く。
「おや」
 彼女は何かに気付く。
「厨房…?へえ、面白そう」
 そしてその厨房に、遠慮せずに侵入した。



 今は朝食を作り終え、かなりたった時間。今いるのは、昼食に向け、仕込みをしている者だけだ。
 フォルに気付いたものが、こちらに近づく。
「おや、フォルちゃん、どうしたのかな?今は仕込み中だよ」
「私はそこまで子供ではないはずだけど」
 話しかけてきたのは料理長であった。
 彼は料理長の名に恥じぬほどの腕前で、人情にも厚い。性格や人当たりも良く、まさに人間の鏡である。
 しかし、彼はフォルを子供のように扱う。
 いや、それが普通なのだろう。フォルは見た目だけならば子供である。
 精神年齢はその例には収まらないのだが。
「まぁいいか…。――おや」
 フォルは紙を手に取った。
 どうやらそれには、レシピが書いてあるようだった。
「料理長。これは?」
 彼女はレシピを料理長に見せる。
「これ?どれどれ…、あっ」
「料理長?」
 彼は眉をひそめ、困ったように話し始める。
「このレシピ、ルナ様が書いたんだ。『ぷりん』って言うんだけどね…」
「ルー姉が?へぇ」
 ルナが書いたものとなれば、途端に興味が湧いてくる。フォルは話の続きを促す。
「レシピを書いてもらったとき、一緒にこの『ぷりん』も作ってもらったんだ。でも…」
 料理長は少し言葉に詰まり、
「何かが違う気がするんだよ」
 ため息をついた。
「何かが…違う?どういうことだい?」
「何というか…何かが足りないのかな?作り方は面白いんだけど、味が薄いというか…」
 そう言いつつ、彼は仕込みを続ける。
「料理か…。私は料理は苦手だし、このことにはあまり口出しはしないでおくよ」
 フォルは厨房の出口に向かう。
「あっ、そうだ。料理長」
 突然彼女は踵を返す。
「またいつか、昨日の『あれ』を出して欲しいね」
 料理長は嬉しそうに言葉を返す。
「『あれ』かい!嬉しいなぁ、また出すよ!」
 フォルはその言葉にうなずき、そして、
「多分『ぷりん』よりもいいものだろうからね」



「私はこの屋敷のことを知らないものだな…」
 フォルは廊下にいた。しかし、その廊下に見覚えは無く、ここがどこかも分からない。
 つまり言うと。
「迷った…」
 厨房を出た後、彼女は意味も無く廊下を渡り歩いていた。しかし、その行動が仇となったか、自分の現在地が分からない。
 フォルよ、君は方向音痴かい?彼女は自問自答した。
「――どうするか」
 まさか屋敷で迷子になり、そして行き倒れる訳にはいかない。それは恥というレベルでは無くなる。
 とりあえず、フォルは近くの部屋に入ることにした。



 そこは恐らく書庫であった。
 本棚が無数にあり、読書用なのか、大きめの机と椅子が部屋の中央に鎮座していた。
 日当たりは丁度よく、読書の邪魔にならない程度の光が入って来ていた。
 そして部屋にはメイドが一人。
 彼女は桃色の髪をし、青い目をしていた。
「あの人は…確か、フレイヤ?」
 フォルには少なからず見覚えがあった。
 記憶を辿れば、彼女は色々な所にいた気がする。
 掃除をしていたり、洗濯をしていたりと、様々な場面で目撃している。
 言わば彼女は『雑用係』のようなものだろう。
「――あれ、本の並びが変わってる…?誰か読んだのかな」
 彼女は今、本の整理をしている所だった。
「ねぇ、フレイヤ」
「んぇ?…わわっ!フォルちゃん?」
 フォルが背後から不意打ちを掛けると、フレイヤは文字通り飛び跳ねるほど驚いた。
「びっくりしたーっ…!もぉー!ドキドキしちゃったよぉ!」
「ふふっ、悪いね」
 この反応…どことなくルナと似ているような…?フォルはそう思い、さらに世界はまだ広いとも思った。
 フォルが尋ねる。
「実は私、道に迷ったんだ。エントランス辺りでいいから、道を教えてくれないかい?」
「道?ありゃ、フォルちゃんもまだ子供だねぇー」
「私は子供じゃ…」
 またも子供扱いされ、フォルはため息を吐いた。
「あ、それより道だね?ごめんね、えっと、まず部屋を出て――」



「見覚えがある廊下…やっと着いたのか」
 フォルが歩き続けて数分。やっとよく見る廊下が出てきた。
 数分も歩かなければならないのだから、いかにこの屋敷が広いかが分かるだろう。
 そしてもうしばらくフォルが歩いていると、エントランス、そして――
 黒装束の人間が複数見えた。
「っ!」
 フォルは驚きのあまり息を詰まらせる。
 数は三名。その黒装束は、目元以外を黒い布で覆い、時間が時間なら闇に溶け込んでしまうような恰好だ。
 さらに、領主と多くの使用人が外出しているときに侵入したのだから、何か計画性があるように思える。
 泥棒だろうか?
「君たち…、何を…?」
 どう見ても怪しすぎて、逆に反応に困ってしまう。
 すると黒装束達は近づいてくる。
「怪我はさせるな」
「あいよ」「了解」
 この会話の様子だと、彼らは穏便に済ませる様子は無いようだ。
 フォルは身構える。
 すると、黒装束達はにやりと笑った…ように見えた。
「『拘束』」
「なっ!?…むぐっ!」
 黒装束の一人が魔法を詠唱し、魔法を発動した。
 その魔法が発動した瞬間、どこからともなく半透明の縄のようなものが具現する。
 その縄はフォルをあっという間に後ろ手にきつく巻き上げ、足の拘束、猿ぐつわまで施した。
「一応やっとくかね…『魔力減衰』」
「むぁっ…」
「おいおい…子供相手にやりすぎだろう?」
 黒装束がフォルにまた魔法を掛けると、今度は体が重くなる。どうやら体の中の魔力が失せたようだ。
 しかし、また子ども扱いされてしまった。もはや言い返せないので、睨んでおく。
「何があるか分からない。この判断は間違いでは無い。さて、行くぞ」
「このガキはどうするんすか?」
「見つかるとまずい。担いでいけ」
「あいよ」
 そう指示が下ると、フォルは軽々と持ち上げられる。
「ふぉろふぇ…っ」
 降ろせ。そう言ったつもりだが、猿ぐつわのせいで上手く話せない。
 せめてもの抵抗で腕の中でもがくが、黒装束は動じない。
 そのまま、フォルは連れて行かれてしまうのだった。



 やはり、黒装束達の目的は窃盗だったようだ。
 やけに手馴れた動きで棚などを物色し、足音を立てずに歩いていく。道中誰にも見つかることは無かった。
 そして黒装束達は、ある部屋の前にたどり着く。
「っ!」
 そこは、ルナの部屋であった。自分達の部屋と隣接し、何かあれば、――無くとも遊びにいく、あの部屋に。
「やふぇお!やふぇてくえ!…ぐぁっ!」
 何とか懇願するが、黒装束は無視する。それどころか、魔法でフォルの魔力を操作さえしてくる。
 そして、黒装束達が部屋へと侵入する瞬間――
「あーっ、思いっきり怒られちゃったよぉ…」
「!――身を潜めろ…!」
 聞きなれた声が聞こえてきた。
 黒装束達は即座に物陰へ隠れる。
「はぁー…、ん、あれ?何でルナちゃんの部屋のドア開いてんの?フォルーっ、いるのー?」
「んっ…あぐっ…」
 助けを求めたいが、黒装束によって魔力を弄られ、思うように声すら出せない。
「あるぇ?おかしいな…――『足跡探索』」
「はっ…」
「…戦闘準備をしておけ」
 その詠唱が聞こえた瞬間、黒装束達の顔つきが変わった…ように見えた。
「…誰」
 彼女の声が、一気に冷たさを増す。
「…ばれたのか、クソッ」
「ダイヤさぁーん?」
『…起動』
「――私に、魔力を与えて。できるだけ強く」
『了解。最大出力で付与します』
 あの魔法石がそう告げた後、その場には、

 ――激しい魔力と風が吹き荒れた。
「うおぁっ!?」
「なんだこの威力は…!?」
「ぐっ…」
 黒装束達は苦しみ、フォルへの魔力操作も止んだ。
 そしてこの気迫から、彼女が迫ってきていることが分かる。
「死ねぇ!」
 急に一人が飛び出す。奇襲を狙ったのだろう。
 だが驚かされるのは、黒装束達の方だった。
「『衝撃波』」
「がぁっ…」
 黒装束が宙を舞った。重い音を立て地面に落ちる。
 仲間達は、もはや絶句するしかなかった。
 彼女が、歩みを進める。
 彼女が、歩みを進める。
 彼女が――
 
「…」
 死神は黒装束を冷たく見下ろし、そして鎌を振り上げ――
「レイ!」
「――っ」
 フォルがそれを止めた。たった一言で。
「やっと外れた…。ねぇ、レイ?殺す必要はないでしょ?」
「…ダケ…ド…、コロ…サナ…キャ」
「君は、そういう所がダメだ。こいつらなんて――」
 そういってフォルは何かを呟き、そして彼らを昏倒させた。
「これで充分だ。おやすみ、『休息』」
 レイが倒れた。



「そんなことがあったの!?」
「そうだよ、ルーね…」
「そうなのっ!いやー、フォルちゃんが止めてくれなきゃ、どうなってたかなっ!?」
 ルナへの言葉を、レイに綺麗にさえぎられる。
 今は夕方。外出していた者も帰ってきている。
「――とりあえず、奴らは確保した。今は多分、収容所へ送られている頃だろう」
「あ、ジンさん」
 そう言うのは、この屋敷の持ち主であり、領主でもある、ジン・デイライト。
「奴らは相当な悪党でな。出来るだけ身分の高い者の住宅に侵入し、金品を盗む。しかも、相当な計画性がある」
「それを、二人は捕まえたんですね」
「そうだ」
 そういうと、ルナは二人を輝いた目で見る。フォルは少し、本当に少しだが、照れくさく感じる。
 レイは…いつも通りのようだった。
「とりあえず、助かった、二人とも。感謝する」
 そういうとジンは、頭を垂れた。
 それに釣られたのか、ルナも礼をする。
 その姿を見て、フォルは少し面白くなる。
 レイは…今にも吹き出しそうだ。
「ふふっ」
 やはり、ルナは何か魅力があるようだ。

「――あぁ、可愛い」



「…ん、何か言った?」
「いや、何も言ってないよ。それより、今度私にも『ぷりん』ってのを食べさせてほしいね」
「おっ、本当?いいよいいよ、作ってあげる!」
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