豚侍

コウスケ

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侍、トン助

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 トン助「ダメだ、腹へった。死んでしまう。」
トン助は、三日間何も食べていない。道端で大の字に倒れていると、一匹の猫が話しかけてきた。
猫「御ぶたさん大丈夫ですか?」
トン助は言葉を返した。
トン助「そこはお侍さんでしょー。」
猫「・・・」
猫「大丈夫そうですね。」
猫は苦笑いを浮かべ行こうとした。
トン助「冗談です。冗談です。お腹がすいて死にそうなんです。」
猫「御団子でよければありますが?」
トン助「団子大好きです。ありがとうございます。」
トン助はもの凄いスピードで食べた。
トン助「いやー。生き返った。助かりました。」
猫「それは良かったですね。」
トン助「御嬢さん御名前は?」
ミウ「ミウと申します。」
ミウ「おぶ、御侍さんは?」
トン助「トン助と申します。」
トン助「ミウさんは命の恩人だから、何か手伝えることがあれば言ってください。」
そう言うと、ミウが下を向いて何か言いたそうにしている。
トン助「拙者、こう見えても強いんですよ(笑)」
するとミウが、
ミウ「本当に強いんですか?」
ミウが涙目で聞いてきた。
トン助「えっ?つっ強いですよ。どうしました?」
ミウ「私の村が最近おかしいんです。夜になると大きな鳴き声が聞こえてきて、その後、村猫たちが白目をむいて村を徘徊しているんです。朝になると女、子供がいなくなっているんです。」
トン助「一日何匹ずついなくなるんだ?」
ミウ「一匹~二匹です。日によって違います。」
トン助「・・・」
トン助「よし、村に行こう。拙者に任せろ。」
ミウ「ありがとうございます。御案内します。」
ミウは嬉しさと悲しさで、泣いていた。
トン助「ところで、村はどこにあるの?」
ミウ「目の前の山の中にあります。」
トン助「えっ!遠くない?」
ミウ「そんなことないですよ。まさか!行かない気ではないでしょうね?」
ミウは怒っていた。
トン助「そんなことないよー。嫌だなー。」
トン助心の声「マジかよー。行くだけで疲れるよ。」
歩き始めて2時間がたった。
トン助は、汗だくだった。
ミウ「着きました。猫の村、ニャーソンです。」
トン助「やっと着いた。」
ミウ「日が暮れてきましたね。私の家にいきましょう。」
村に入り、ミウの家に向かった。
ニャーソンは、同じような家が連なっていて、間間に小さな店がある。小さな村だが、活気があり、とても事件が起こるような村には見えない、そんな村だった。
ミウ「ただいま。」
猫「お帰りなさい。ずいぶん遅かったね?あれ?お客様?」
ミウ「ただいま。こちらは、トン助さん。お願いして来てもらったの。」
トン助「はじめまして、トン助です。」
猫「はじめまして、妹のミーです。」
ミー「お姉ちゃん、お願いしてってどう言うこと?」
ミウ「村を救ってもらうのよ。トン助さんは強いみたいだし(笑)」
ミー「本当に強いの?何だか鈍そうな気が・・・。」
トン助「ミーちゃん、見かけで判断しちゃダメだよ。拙者は・・・強い。」
ミウ「私も見てないけど、強いと思う。取り合えず、今から御夕飯作りますね。」
ミウは台所に向かい料理を始めた。
料理を待つ間、ミーとトン助は楽しく話をしていた。 
ミー「トン助さんは何で旅をしてるの?」
トン助「いろいろあったんだけど・・・長くなるよ?」
ミー「いいよ。聞きたい。」
トン助「1ヶ月ぐらい前なんだけど・・・。」
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