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6.実験室
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今日の1時間目は生物で、授業は実験室で行われる。
教室に行かずに直接実験室に向かった。そんなに早い時間じゃないが、みんな教室に行っているから誰もいない。
普段使わない実験室のような特別な教室に、一番乗りして一人でいるのが好きだ。知らない場所ではないが、馴染みがあるともいえない。ひとつまみの非日常感が楽しい。ひょっとしたら間違った場所にいるのかもしれないという少しばかりの不安感と、だんだん人がやってきて少しずついつもの日常に戻っていく感じが好きなのだ。
それにあまり使われていない場所には残像も少なくて気もラクだ。
「なんで先に行くんだよ」
一人の実験室を今から堪能しようと思ってたとこなのに教室の扉が開けられた。
「早かったね」
「なんで先に行くんだよ」
「だって女子に話しかけられてたし……」
「ジャマじゃない、なんで置いていくんだよ」
「え……そんなんじゃないんだけど……ごめん」
「別に怒ってない、けどもう1人で先にいくな」
「……わかった」
置いていったつもりはなかったし、ジャマしちゃ悪いなと思っただけなのだけど気を悪くしたようだ。怒ってないと言ってるけど明らかに不機嫌だ。気まずくてつい「実験室に1人でいるの好きなんだよ」と口にした。
永准は変な顔をしていた。
2人とも黙ったままで、微妙な空気が流れていたときガラッと教室の扉が開いた。
「2人とも早いな」
助かった、森が入ってきた。
一度教室に行ったようだ、教科書と筆箱だけを持ってきている。
さすが学級委員長だな。
すぐに「うぇーい」とぐっちーもやって来て、気まずい雰囲気は完全にどこかに行ってしまった。次々やって来るクラスメートたちと朝の挨拶をする。
まだ1週間しか経っていないのに、永准やグッチーたちのおかげでクラスにもすっかり馴染むことができた。
今までの転校人生の中で一番のスムーズさと馴染みっぷりだ。もう満点だ。
教室に行かずに直接実験室に向かった。そんなに早い時間じゃないが、みんな教室に行っているから誰もいない。
普段使わない実験室のような特別な教室に、一番乗りして一人でいるのが好きだ。知らない場所ではないが、馴染みがあるともいえない。ひとつまみの非日常感が楽しい。ひょっとしたら間違った場所にいるのかもしれないという少しばかりの不安感と、だんだん人がやってきて少しずついつもの日常に戻っていく感じが好きなのだ。
それにあまり使われていない場所には残像も少なくて気もラクだ。
「なんで先に行くんだよ」
一人の実験室を今から堪能しようと思ってたとこなのに教室の扉が開けられた。
「早かったね」
「なんで先に行くんだよ」
「だって女子に話しかけられてたし……」
「ジャマじゃない、なんで置いていくんだよ」
「え……そんなんじゃないんだけど……ごめん」
「別に怒ってない、けどもう1人で先にいくな」
「……わかった」
置いていったつもりはなかったし、ジャマしちゃ悪いなと思っただけなのだけど気を悪くしたようだ。怒ってないと言ってるけど明らかに不機嫌だ。気まずくてつい「実験室に1人でいるの好きなんだよ」と口にした。
永准は変な顔をしていた。
2人とも黙ったままで、微妙な空気が流れていたときガラッと教室の扉が開いた。
「2人とも早いな」
助かった、森が入ってきた。
一度教室に行ったようだ、教科書と筆箱だけを持ってきている。
さすが学級委員長だな。
すぐに「うぇーい」とぐっちーもやって来て、気まずい雰囲気は完全にどこかに行ってしまった。次々やって来るクラスメートたちと朝の挨拶をする。
まだ1週間しか経っていないのに、永准やグッチーたちのおかげでクラスにもすっかり馴染むことができた。
今までの転校人生の中で一番のスムーズさと馴染みっぷりだ。もう満点だ。
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