刀鍛冶の黒子があやかしと夢見た未来

竹柏凪紗

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第1話 キスをするためだけに生かされる

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好きな人の役に立てるなら、たとえキスをするためだけに生かされているとしても苦ではない。
むしろ、喜んで受け入れる。

たとえこの想いが届かないとしても──。


「最近は山に籠りっきりみたいだな?」

山奥で刀を打つ刀磨とうまの姿を見つけた紫炎しえんは不満そうに聞いた。

切れ長の目をした端正な顔立ちの紫炎に見つめられ
「ま、まぁな。町へ行っても、俺みたいな刀鍛冶の黒子にはやることもないからな」
きれいな瞳をチラリと向けて返したのは刀磨。

「俺と食事や娯楽を楽しめばいい」
「あはは。なに言ってんの?紫炎なんかといっしょにいたら、女の子たちに囲まれて大変でしょ?勘弁して」

笑い飛ばした刀磨の透きとおるような白い肌が真っ赤になっているのを見て頬に手をやった紫炎は
鍛錬たんれんをしていたのか…。暑いから大変だろう?少し冷やすか?」
手に持っていた桶を差し出しながら言う。

相変わらず紫炎はやさしい。
来る途中にある川で水を汲み、わざわざここまで持ってきてくれたのだろう。

刀磨は少し奥にある湧き水を見つけないようそっと紫炎を誘導。
湧き水を飲んで休憩しようとしていたことを悟られないよう少し離れた場所で腰をおろす。

「熱した鋼を打っては折り返してまた打って…。しんどい作業だけど、刀を打つなかでいちばん重要な工程だと思っているからな。けど暑かったから水、助かる!」

にっこりと微笑んで説明を終えた刀磨の唇は次の瞬間、紫炎に奪われていた。

「いきなりで悪いが刀磨、もう少しこのままでいさせてもらうぞ」
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