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第18話 事情を持つ一般庶民と特殊任務
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「事情を持つ一般庶民っていうのは、公的扶助制度の対象者。国や各都道府県にある自治体が国民に対して最低限度の生活を保障、自立を支援する社会保障制度のひとつで、たとえば生活保護とか…。俺ら山浦家みたいに児童扶養手当をもらっている家庭も含まれる」
「それが事情を持つ一般庶民?」
「嫌な言い方だろう?ただ国としては国民から集めた税金をなるべく使いたくない。税金を払ってくれるだけの国民と公的扶助制度の対象者とは区別しておく必要があるってわけ。特殊任務は、そういった事情を持つ一般庶民から選ばれた人間が請け負ってる」
「…なんのために…?」
怪訝な表情で喉の奥に溜まった空気を呑んだ莉久をチラリと見た里桜は軽く溜め息。
「こんな話くらいで青ざめてるんだ、莉久はこれ以上詳しく聞かないほうがいい。そんなことよりも、だ。笹山拓斗の復讐をする気になったら連絡してこいよ。いつでも協力してやる」
そう言って残りのカレーライスを口の中にかけこんだ。
「はぁ~あ、その下品な食べ方、どうにかならないものかね?」
呆れた加代に
「はい、はぁ~い」
心のこもっていない返事を返しながら
「ぷっはぁ~っ!食った、食った」
満面の笑みでお腹をさすりながら里桜。
ご飯の入っていたパックとレトルトカレーの入っていたパウチ袋をキッチンへと持って行き、きれいに洗ってゴミを分別した。
「な、なぁ、この団地に住んでいるヤツら全員が別の意味で監視対象って言ってたけど、それって俺も入ってんの?」
「それが事情を持つ一般庶民?」
「嫌な言い方だろう?ただ国としては国民から集めた税金をなるべく使いたくない。税金を払ってくれるだけの国民と公的扶助制度の対象者とは区別しておく必要があるってわけ。特殊任務は、そういった事情を持つ一般庶民から選ばれた人間が請け負ってる」
「…なんのために…?」
怪訝な表情で喉の奥に溜まった空気を呑んだ莉久をチラリと見た里桜は軽く溜め息。
「こんな話くらいで青ざめてるんだ、莉久はこれ以上詳しく聞かないほうがいい。そんなことよりも、だ。笹山拓斗の復讐をする気になったら連絡してこいよ。いつでも協力してやる」
そう言って残りのカレーライスを口の中にかけこんだ。
「はぁ~あ、その下品な食べ方、どうにかならないものかね?」
呆れた加代に
「はい、はぁ~い」
心のこもっていない返事を返しながら
「ぷっはぁ~っ!食った、食った」
満面の笑みでお腹をさすりながら里桜。
ご飯の入っていたパックとレトルトカレーの入っていたパウチ袋をキッチンへと持って行き、きれいに洗ってゴミを分別した。
「な、なぁ、この団地に住んでいるヤツら全員が別の意味で監視対象って言ってたけど、それって俺も入ってんの?」
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