【奨励賞・受賞】彼氏がイケメンなのは絶対ヒミツ

竹柏凪紗

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第94話 気になるカード

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少し悩んでいた影薄先生だったが、
「仕方ないわね」
と了承。

「約束ですよ」

紗里はそう言うと、率先して更衣室でスカートの下にジャージズボンを履いてくると、掃除用具入れからバケツを取り出して廊下へ。

水を入れてきたバケツに雑巾を浸して強く絞り、床を磨きはじめた。
一応みんなも紗里に続く。

様子がおかしすぎる紗里に事情を聞きたいけれど、地獄耳よりもヤバそうな影薄先生がいるから言葉に出して聞くことができない。
影薄先生の前で“葉擦れの術”を応用したマスクを使うわけにもいかないし…。

どうにか近づいて、理由を聞き出したいもの。
でも、言葉はしゃべれないし、手も塞がっているから合図も送れない。

どうすれば…?

考えていると、
「忍者なのに、目でしゃべるということもやってこなかったの?」
ふっと鼻で笑ってくる影薄先生。

この先生、時々すごく感じ悪いんですけど!

心の中でイライラしていると、
「ちょっと末明、ちゃんと真剣に掃除してよね。イケメンカードがもらえなくなるじゃん」
紗里に怒られた。

いや、イケメンカードが目的なわけはない。

だってついさっき、資料室で世のイケメン信者に言及し、
「長くいっしょにいるなら、絶対中身だと思うけどな」
なんて言っていた紗里が、イケメンカードを欲しがるなんて絶対におかしいもん。

…それとも、実はこっそりイケメン好きだったとか?
いやいや、ないない。

じゃあ、なぜ…?

その謎は、掃除が終わって紗里がイケメンカードを手にしたときに判明した。

「悔しい~!取られたわ…」

影薄先生は悔しがっていたけど、
「あれは演出。たぶん影薄先生は、最初からこのカードを私たちに引かせるつもりだったはず…」
紗里はそう言うとそのカードを表に向け、机の上に置いた。

「この写真って…」

「写真だけじゃない。このカードには写真に写っているイケメンについての説明書きがあるんだけど、この部分、見て」
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