【奨励賞・受賞】彼氏がイケメンなのは絶対ヒミツ

竹柏凪紗

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第129話 覚醒

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殴られ蹴られ、ボコボコにやられて床に倒れ込んでいる紗里や扇の治療にあたる爪子たち。

そして影薄先生を抱きかかえながら
「…影ちゃん…」
名前を繰り返し呼ぶ皇帝の姿。

平凡だった日常と大切なものが傷つけられていくのを実感させられる。

どうしてこんなことに…?

ふつふつとカラダの底から怒りのようなものが込み上げてきたとき、足元から静電気のような気持ちの悪い空気があがってくるのを感じた。

「…し…、し、白波さん…、ダメ…。気分を鎮めて…」
微かに影薄先生の声が聞こえたような気がしたけど、もうどうにもならない何かがカラダの中に熱い塊として広がっていく。

「し…白波末明…?!」
慌てたような皇帝の声も聞こえてきたけど、ぜんぜん冷静になんかなれない。

誰がこんな酷いことをしたの?
みんなをこんなボロボロに…。

涙がこぼれそうになったとき、教室中のガラスというガラスすべてに亀裂が入って派手に飛び散った。
そしてその飛び散ったガラスたちがまるで生き物のように浮かび上がってうねりだす。

「ちょっ…、白波末明…!」

皇帝が再び叫んだとき、教室に飛び込んできた白川先生にペットボトルの水をドバっとかけられて我に返った。

「…あれ…?私…」
ハッとした様子で周囲を見回すと、全員が目を見開いて末明を凝視。

「…ちょっと怒っただけでここまでとは想像以上やったわ…」
來甲らつめに言われ、さらに冷静になる。

いまの…、何…?

「覚醒しつつあるわね…」

爪子の言葉に
「あなたたち、何か知っているの?」
影薄先生が聞く。

その瞬間、爪子たちは煙玉を教室の床にぶつけて煙幕を張り、姿を眩ませてしまった。
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