【奨励賞・受賞】彼氏がイケメンなのは絶対ヒミツ

竹柏凪紗

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第133話 完全覚醒の前に消す

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振り返ると、タトゥーがうっすらと透けた白のシャツを着た線の細い男と目が合う。

月あかりが男の白い肌と整った顔立ちをくっきりと照らしている。
ザワーッと周囲に生温かくて不気味な風が吹き、それが肌を舐めるようにして流れていく。

目の前にいるのが、たいがいの雑魚ではないことはすぐにわかった。

「はじめまして。一応、自己紹介しておくよ。俺は相葉恭介あいばきょうすけ。いまから忍術を使ってあんたをぶっ殺すけど、俺は忍者の家系に生まれたわけじゃないぜ。俺は元受刑者。要は犯罪者ってやつ。よしっ、丁寧に自己紹介できた」

恭介はそう言うと親指の第二間接に軽く唇を当て、ジロジロと末明を見つめる。

「あ、あんたの自己紹介はいらないから。覚醒寸前の白波末明さん」

ニヤリと嗤ったかと思うと、
「なぁ、元受刑者が再犯したときに無職だった割合ってどれくらいだと思う?」
質問しながら姿を消したかと思うと、スッと目の前スレスレに現れて質問。

「ブー、時間切れ。再犯時に無職だった出所者の割合は約7割でした。まぁ、法務省が出してるすっごい昔のデータだけど」
そう言うと末明の腹部に拳を捩じ込ませて微笑む。

「うっ…」

殴られた拍子に後ろへ吹き飛びそうになった末明は転倒しそうになりながら、左手で地面に手を突き、両足で踏ん張った。

「なんだよ、転ばねぇじゃん」

恭介は面白くないという表情を見せたあと、またしゃべりはじめる。

「さっきの話の続きなんだけど、再犯を繰り返して刑務所のタダ飯で税金を食い潰す犯罪者たちにどうにか金を生ませようと考えた国は躍起になって忍者たちと手を組みました。さて、それぞれにどんなメリットがあるでしょうか?」

また質問をしてきた恭介は
「あ、先に言っておくけど、別にクイズしに来たわけじゃないぜ。あんたが完全に覚醒する前に消しにきたんだ」
唇を舐めて興奮した様子を見せた。
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