【奨励賞・受賞】彼氏がイケメンなのは絶対ヒミツ

竹柏凪紗

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第3話 別人すぎる柚吏と柚吏

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いろいろと思い出して悔しがっていた私に、
「じゃあ末明さんは、いまから僕の彼女さんという設定ですね」
にこにこと笑顔を向ける柚吏。

その見た目は、なんとも冴えない。

まったく似合ってないメガネがすべてを台無しにしているという感じ。
ここまで別人みたいになるかというぐらい、さっき私を助けてくれた柚吏とは、まったく似ても似つかない。

しかも、性格が恐ろしいほど別人。

私を助けてくれた柚吏は、俺様系な印象だったけどやさしさもあってモテオーラが半端なかったし、大人っぽさとセクシーを掛け合わせたような雰囲気だった。
それに加えて整った顔立ちのイケメン姿は、どこにいても目立ってしまうという印象。

でもいまの柚吏は、おとなしくて存在感がなく消極的って感じ。

やっぱり呪術って、怖い。

感心していると、
「末明、ボーっとしてないで学校へ急ぐよ」
スマホで時間を確認した紗里が焦った様子で声をかけてきた。

さらに、
「わかってる?転校初日に迷っていた末明に馬戸柚吏が道を教えてくれたことがキッカケで運命を感じて速攻で付き合い始めたって設定だからね!」

誰が考えたのかと思うほど安っぽい設定を説明し、
「私も2人と同じクラスだから、とりあえず安心して」
スタスタと歩き出す。

「じゃあ、僕たちも行きましょう。…えっと、末明さんは彼女さんなので…、て…、て、手…、手とかつないで登校したほうがいですかね?」

オドオドしながらもそんなことを聞いてきた柚吏にイラっとしたので、ひと言。

「私が手をつなぐのは、好きな人とだけ。任務で手なんかつながないから覚えておいて」
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