【奨励賞・受賞】彼氏がイケメンなのは絶対ヒミツ

竹柏凪紗

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第43話 契約の矛盾

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「でも相手の正体をあぶり出すのは至難の業かも…」
普段は見せないような弱気な表情で紗里が言う。

「実はさっき襲われたとき、吹き矢での攻撃中も逃げていくときも、後ろ姿さえ捉えることができなかったんだよね。だから相手は、身を隠しながらの攻撃や俊敏な動きにも相当慣れていると思う。たとえ相手が忍者でもそうでなくても、相当やばいヤツ…」

紗里は続けてそう言うと唇を噛み、
「末明のおじぃちゃんは、こうなるってこと知ってて契約したってことだよね…?何考えてるんだろ。なんか、腹立ってきたな」
深く息を吐き出した。

「そうだよね。本当に、あのクソじじぃは何を考えてるんだか。帰ったら柱に縛りつけとく。本当にごめん!」
「末明が謝ることじゃないから気にしないで。そんなことよりふと思ったのは、末明のおじぃちゃんに今回のことを相談したほうがいいかどうかってこと」

「ん?」
「末明のおじぃちゃん、自由奔放でだらしなくて末明にいつも迷惑ばっかりかけてるけど、孫の命が危険に晒されるような任務を引き受けてくるかな?って思うわけ」

「あ、それはさ、お酒とかギャンブルとか、女の人に貢いで作った借金が膨れ上がって返済できなくなったから、そのお金を忍者協会に肩代わりしてもらうためだったらしいよ」

「う~ん…。たとえ自分の借金を肩代わりしてもらうためとはいえ、末明のことを危険に晒すような人ではないと思うんだよね…」
「そうかなぁ…?」

「うん。末明は気づいてないかもだけど、あんたのおじぃちゃん、末明のこと結構大事に思ってるよ。だから、もしかしたら何か…。この任務には何か、相当な事情があるんじゃないかと思ってしまうんだよね…」
「なるほど。じゃあそれも含めて、まずは俺たちだけで動くか」
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