【奨励賞・受賞】彼氏がイケメンなのは絶対ヒミツ

第49話 白鷺学園の実態

「…じゃあこれからは、いままでみたいに普通の高校生活が送れなくなるってこと？」

紗里の問いに戸惑うこともなく
「そうよ」
頷く皇帝。

「ちょっと待って。それって学校にいるときも、今日みたいに毒針が飛んできたりする可能性があるってこと？」
「そういうこと」

「学校の中で？」
「だから、そうだって言っているじゃない。何？そんなに不思議？」

「…なんか想像できなくて。この現代にそういうことあるのかな？って考えちゃう」
「まぁ無理もないかもしれないけど、実際にそういう状況になればそんなこと言っていられなくなるわよ」

「皇帝は詳しいんだな」

感心したように言った柚吏に、
「あらぁ～ん、当たり前ですわ。アタクシはこの白鷺しらさぎ学園で、ずっとこの状況を待ち続けていたのですから」
あらためてドヤ顔をした。

「待ち続けていたって…？」
「留年を繰り返してもう10年。私も今年で28歳になるわ」

「あ、やっぱり。それで老けてたのか。高校生には見えないもんね」
「高野紗里こうのさり、こ、言葉を慎みなさい。アタクシの心が傷つきます」

「ごめん、ごめん。そんなことより…、ちょっと話が見えないんだけど…？」

「あぁそうね。簡単に説明すると、もともと白鷺しらさぎ学園は腐敗した政治界に変革をもたらすべく、偉人の子孫や末裔をこっそり受け入れて財政界に排出する目的で建てられた学校なの。対象の生徒には特別授業をおこない、自我を封じ込めるなどの対応もおこなってきた」

「そうなの？普通の高校とまったく変わらなかったけどな」

「そりゃあそうよ。これまではひっそりと経営してきたし、卒業後は各々が選んだ普通の大学へ行くこともあって、白鷺しらさぎ学園の実態が表沙汰になることはなかった。でも、状況が一変したの」